採用サイトの打ち出すコンテンツ全体像を解説
直近、ポテンシャライトでは採用サイトを制作してほしい、というニーズが急激に増えました。
ただ、ゼロから採用サイトを作りたい企業様や採用サイト作成の経験がない方にとっては何をどのように打ち出すべきか悩む方も多いようです。
また、採用サイトは充実させた方がいいと認識しつつも、採用媒体やスカウトへの投資重要度が高く、採用サイトは後回しになってしまう。もしくは「コーポレートサイトに採用ページがあるからいいか」という状態のまま、気づけば何年も更新されていない…そんな企業さまも多いのではないでしょうか。
ただ、ポテンシャライトとしては、採用サイトは「情報をまとめておく場所」ではなく、求職者さまが不安を解消し、自分なりに納得して意思決定するための重要な手段として考えています。
スカウトや媒体で生まれた求職者さまの「ちょっと気になる」という関心を、最終的な「入社したい」という意思決定につなげる、重要な接点なのです。
では実際に、他社さまはどんな採用サイトを作っているのか。
ポテンシャライトでは過去100社ほど調査したことがあるのですが、その中でも特に参考になりそうな30社をピックアップして徹底的に調査しました。
国内のIT・スタートアップ・ベンチャー企業を中心にページ構成・コンテンツの傾向・トップページのコピーについて一次情報をご紹介します。
本記事では、その調査データをもとに「採用サイトに何を載せるべきか」の全体像をお伝えしていきます。
▼今回調査させていただいた企業さま
株式会社ベイジ
グーグル合同会社
株式会社グッドパッチ
株式会社ビズリーチ
株式会社一休
株式会社マネーフォワード
株式会社ドワンゴ
サイボウズ株式会社
株式会社カカクコム
株式会社エニグモ
株式会社Speee
Sansan株式会社
株式会社Gunosy
株式会社kubell
株式会社Finatextホールディングス
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
株式会社エブリー
株式会社リクルート
株式会社NTTデータ先端技術
フリー株式会社
株式会社スタメン
スマートニュース株式会社
株式会社ディー・エヌ・エー
クックパッド株式会社
チームラボ株式会社
株式会社メルカリ
LINEヤフー株式会社
株式会社COMPASS
株式会社アクセルラボ
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
1. 「独立した採用サイト」と「コーポレートサイト内の採用ページ」の違い
今回調査した30社を見ると、大きく2つの形態に分かれました。

「どちらが正解か」という問いに対しては、一概には言えないというのが正直なところです。
採用サイトを独立させると、採用文脈に特化した情報設計ができ、求職者さまの体験を最適化しやすくなります。
一方、コーポレートサイト内に採用ページを設ける場合、事業や会社の信頼性をそのまま採用に活かせるメリットがありますし、企業の規模・採用ポジション・予算・採用フェーズによって、どちらが適しているかは変わってくるかと思います。
本記事では、どちらの形態であっても「何を載せるか」という観点で調査した内容をベースに解説していきます。
2. 30社調査でわかった採用サイトの「4大ページ構成」パターン
30社の採用サイトのナビゲーションを整理したところ、ほぼすべての企業が以下の4つの軸でページを構成していることがわかりました。
▼採用サイトの4大ページ構成
① 会社を知る(企業理念・事業・経営陣・ビジョン)
② 仕事・人を知る(職種紹介・社員インタビュー・座談会)
③ 働く環境を知る(制度・福利厚生・カルチャー・オフィス)
④ 選考・応募する(募集要項・選考フロー・エントリー・FAQ)
各社のナビゲーション名称を見ると、この4軸がそれぞれ異なる言葉で表現されていることがわかりました。

トピックの名称には個性はありますが、構造としては共通しています。
言い換えると、採用サイトを設計する際にまず考えるべきは、この4軸をどれだけ充実させるかです。
3. 各軸ごとの「差がつく」コンテンツを深掘りする
4つの軸の中身を見ると、各社の個性や工夫がよく見えてきます。
3-1. 会社を知る軸|「信頼の土台」をどう作るか
ほぼすべての企業が掲載していた定番コンテンツは以下の内容でした。
・ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
・事業内容・サービス紹介
・会社概要
その上で、差がついていたコンテンツとして注目したのが次の3つです。
▼数字で見る●●
ビズリーチ社・マネーフォワード社・グッドパッチ社・COMPASS社などで採用されています。
社員数・平均年齢・女性比率・有給取得率など、定量的なファクトを示すことで、「なんとなく良さそう」から「具体的にイメージできる」へと求職者さまの理解を深める効果があります。
▼ 1ページで●●がわかる
ベイジ社の「1ページでわかるベイジ」、グッドパッチ社の「1ページで分かるグッドパッチ」、スタメン社の「1ページでわかるスタメンの魅力」など、複数の企業さまにて記載されていました。
しかし、今回調査した企業さまの中ではあまり多くはなく、意外とここまで設計している企業さまは少ないようです。
採用サイトに初めて訪れた求職者さまに対して、「まずここを読んでほしい」という入り口を作る設計です。
▼ ストーリー・歴史
グッドパッチ社は「グッドパッチの10の噂」「ストーリー」「歴史」「未来」など、会社の歴史や成長ストーリーを豊富に掲載されていました。
DeNA社も「DeNAの挑戦の歴史」を独立ページとして設けています。
単なる事業説明ではなく、「なぜこの会社が存在するのか」を伝えることで、共感ベースの採用につながります。

3-2. 仕事・人を知る軸|「インタビュー」から「クロストーク」へ
社員インタビューはほぼ全社が掲載していますが、ここでも各社の工夫がありました。
▶ 座談会・クロストーク
フリー社・グッドパッチ社・ビズリーチ社などが採用しています。
異なる職種・バックグラウンドのメンバーが語り合う座談会形式は、1対1インタビューでは見えにくい「チームの雰囲気」や「仕事の連携イメージ」を伝えるのに効果的です。
ビズリーチ社では「クロストーク」として職種横断の協働事例を紹介していました。
▶ 職種ごとの独立ページ
グッドパッチ社は32職種それぞれに「この職種の魅力」ページを設置されていました。
グッドパッチ社は「事業から探す」という切り口で、サービス別にチームを紹介しています。
職種ごとの独立ページを作成するには一定の体力が必要になりますが、求職者さま視点で言うと「自分が入るのはどんなチームか」をかなり詳細にイメージさせやすく、求職者さま体験としてはとても効果的だと考えています。
▶ テーマトーク・座談会テーマの多様化
スタメン社では「TUNAG事業TOPインタビュー」「エンジニア座談会」「大手からベンチャーへの転職座談会」など、テーマ別に複数の座談会コンテンツを用意されていました。
求職者さまの関心・状況に合わせた情報が届きやすく設計されていました。
③ 働く環境を知る軸|「制度の羅列」から「文化の体現」へ
福利厚生・制度の一覧はほぼ全社が掲載していますが、ここでも差が見えます。
▶ カルチャー・バリューの深掘り
SmartNews社はトップページ直下に「Core Values(共通善のために・結果への執着・ひと事なんてない)」を訴求しており、採用サイト全体をバリューの体現として設計していました。
メルカリ社は「ファンデーション(行動指針)」「D&Iレポート」を独立ページ化されており、フリー社は「社内用語」ページで独自カルチャーをそのまま見せています。
▶ 数字で見る働く環境
「有給取得率」「残業時間」「男女比」などを開示している企業さまはほとんどの企業さまで訴求していました。
マネーフォワード社・ビズリーチ社・カカクコム社などが「データで見る〇〇」として掲載しています。
定量的な情報をまとめて表示している点は、求職者さまの「この会社、実態はどうなんだろう」という不安を解消するのに一番わかりやすく効果的です。
▶ DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)
マネーフォワード社・フリー社・メルカリ社などが専用コンテンツを設置されていました。
ただ制度を紹介する、ではなく「この会社が多様性をどう捉えているか」というカルチャーレベルの訴求になっていたことが特徴です。

④ 選考・応募軸|「よくある質問」と「動線設計」
・よくある質問(FAQ):ほぼ全社が掲載
・選考フロー・スケジュール:大多数が掲載
・カジュアル面談の導線:ベイジ社・Sansan社・スタメン社・フリー社などが積極的に設置

各職種の募集要項、面談導線、エントリー導線が引かれている点が特徴的で、
一際わかりやすい設計でした。
特徴的だったのが、チームラボ社の「書類選考なし!プログラミングスキルで面接までスキップ!」というイベントでのアプローチです。中途・新卒どちらも該当するイベントのようで、選考フローそのものを差別化ポイントとして最前面に出しています。

またNTTデータ先端技術社では「はじめて訪問された方はこちら」という専用の入り口ページを設けており、初訪問者の動線を丁寧に設計している点が印象的でした。

個人的に一番好きなUIデザインです。
何がどこにあるのかが、スクロールしなくても一目でわかる。
この体験は個人的にとても好みです。(あくまで個人的にです。)
4. トップページ|各社が「何で勝負しているか」を分類する
採用サイトのトップページに掲載されているキャッチコピーを分類すると、大きく4つのパターンに整理できます。
4-1. パターンA:ミッション直球型
自社のミッションやビジョンをそのままトップコピーに据えるパターンです。
「チームワークあふれる社会を創る」(サイボウズ社)
「だれもが自由に経営できる社会へ。」(フリー社)
「毎日の料理を楽しみにする」(cookpad社)
「私たちが何のために存在するか」を、飾らずそのまま示すアプローチです。
魅力を語る前に、まず「この会社の存在理由」を提示することで、求職者さまに「自分はこのミッションに共感できるか」を最初に問いかける設計になっています。
どんな求職者さまに届くか
ミッションへの共感度を、採用の重要な基準に置いている企業に多く見られます。
事業内容や待遇よりも先に「Why(なぜ)」を問うコピーは、「何のために働くか」を真剣に考えている求職者さまに刺さります。一方で、ミッションに共感できない方は早い段階でフィルタリングされるため、ミスマッチの防止にも機能します。
このパターンを選ぶ際の注意点
ミッション直球型が機能するのは、そのミッションが求職者さまにとって「解像度高くイメージできる言葉」であることがポイントです。
抽象度が高すぎると、他社との差別化ができず「どの会社も同じことを言っている」という印象になりかねません。ミッションをトップに据えるなら、その言葉が本当に自社固有のものかどうかを問い直す必要があります。
4-2. パターンB:情緒・詩的型
感情に訴える言葉で、働くことの意味や会社の熱量を伝えるパターンです。
「好きなことを、好きなままじゃ終わらせない。仕掛ける力が、ここにはある」(ドワンゴ社)
「未踏に、立とう。」(TAKE AND GIVE NEEDS社)
「BET ON PASSION『もっと、こうしたい』と思うことは、ありませんか。」(リクルート社)
論理や情報ではなく、「感性」で会社の気質を伝えるアプローチです。
事業内容や制度を説明するよりも先に、「この会社にいる人たちが何を大切にしているか」「どんな温度感で働いているか」を、言葉のリズムやトーンで体感させることができます。
どんな求職者さまに届くか
「どんな人たちと、どんな姿勢で働くか」を重視する求職者さまに届きやすいパターンです。
事業内容や待遇の詳細の優先度は低く、「この会社の空気感に共鳴できるか」を直感的に判断したい方に効果的です。採用ブランドとして「語られる企業」になることを意識した設計とも言えます。
このパターンを選ぶ際の注意点
情緒・詩的型は印象に残りやすい反面、「結局この会社は何をしている会社なのか」が伝わりにくくなるリスクがあります。トップページのコピーで感情を引きつけた後、次の階層でしっかりと具体情報を届ける導線設計がセットで必要になります。
4-3. パターンC:ターゲット訴求型
「こんな人に来てほしい」「あなたのことを指している」を明確に打ち出すパターンです。
「あなたのやりたいことは、デザインかもしれない」(グッドパッチ社)
「『出会い』の可能性を切り拓く人へ。」(Sansan社)
「Gunosyの夢は遠くにあります。近道はありません。ここで働くために求められるレベルは高い」(Gunosy社)
会社のことを語る前に、「あなた」に語りかけるアプローチです。
ターゲットとなる求職者さまの現状・悩み・志向性を先回りして言語化することで、「これは自分に向けられたメッセージだ」という感覚を与えやすいです。
採用サイトの重要性を論じる文脈でいえば、求職者さまが抱えている「インサイト(転職活動のもやもや)」に直接語りかける設計です。
どんな求職者さまに届くか
「自分がそこに当てはまるかどうか」を直感的に判断できるため、ターゲット層には深く刺さります。
特にグッドパッチ社の「あなたのやりたいことは、デザインかもしれない」は、「デザイナーになりたいと思っているが踏み出せていない人」という層へのアプローチです。一方、ターゲット外の方は早い段階で離脱してしまう可能性があり、N数を絞った採用戦略を取っている企業に向いています。
このパターンを選ぶ際の注意点
ターゲット訴求型が機能するには、「誰に来てほしいか」が事前に明確に設計されていることが前提です。ターゲット像が曖昧なまま「あなたへ」と語りかけても、誰にも刺さらないコピーになってしまいます。
採用ターゲットを明確に設計してからコピーを考える順序が重要です。
4-4. パターンD:挑戦・変革型
事業や社会へのインパクトを前面に出し、「この会社で何を成し遂げるか」を語るパターンです。
「私たちが挑むのは、誰も変えられなかった中小企業の働き方。」(kubell社)
「金融の未来を、あなたの手で創る。」(Finatext社)
「エンタメから社会課題解決まで、DeNAらしく挑戦する」(DeNA社)
「この会社で何ができるか(環境・待遇・成長機会)」ではなく、「この会社で何を成し遂げるか(社会・事業へのインパクト)」を語るアプローチです。求職者さまに対して、入社後のキャリアではなく「ここで戦う意味」を最初に提示します。
どんな求職者さまに届くか
「自分の仕事が社会とどう繋がっているか」を重視する求職者さまに届きやすいパターンです。
特に、現職で「自分の仕事の意味が見えにくい」「大きな課題に向き合いたい」というインサイトを持つ方に刺さりやすくなります。また、スタートアップや事業フェーズが激しい企業において、「しんどさも含めた覚悟」を共有する機能も持っています。
このパターンを選ぶ際の注意点
挑戦・変革型は熱量が伝わりやすい一方で、「具体的に自分は何をするのか」が見えにくくなる場合があります。
トップページで大きな文脈(Why)を示した後、「仕事を知る」「職種紹介」のページで「具体的に何をするのか(What・How)」を丁寧に届ける構成がセットで必要です。
5. 採用サイト設計で外せない3つの視点
ここまでで「何が載っているか」の全体像はつかめたかと思います。
ただ、コンテンツを揃えることと、それが「機能する採用サイト」になることは別の話です。
ここまで整理+過去ベイジ社の採用サイトセミナーにて学んだことを踏まえポテンシャライトが採用サイト設計において重要と考えている視点を3つお伝えします。
5-1. 視点① 不安解消が先、魅力訴求は後
多くの企業が採用サイトで「自社の魅力をどう伝えるか」にフォーカスしやすくなりますが、実際の求職者さまの頭の中は「この会社、自分に合っているのか?」「入って後悔しないか?」という不安からスタートしています。
不安が解消されてはじめて、魅力が魅力として受け取られます。
「有給取得率」「残業時間」「社員インタビューでのリアルな声」「FAQ」。
これらをただ打ち出すコンテンツではなく、求職者さまの不安を一つずつ潰していくための要素として設計することが重要です。
5-2. 視点② インサイト起点でメッセージを設計する
「成長できます」「裁量があります」「フェーズが面白いです」。
これらは多くの企業が同じように打ち出しているため、求職者さまには「他の会社も同じことを言っている」という印象になりやすいです。
重要なのは、自社が採用したいターゲット像が現職で抱えているであろう「インサイト(もやもや・転職動機の本質)」に向けてメッセージを設計することです。
「あなたのそのもやもや、うちならこう解消できます」というアプローチが、刺さる採用サイトを作る鍵になります。
5-3. 視点③ 採用サイトは「孤立した情報置き場」にしない
採用サイトは、スカウト・媒体・採用広報などの施策で生まれた「ちょっと気になる」という関心を、意思決定につなげる役割を担います。
採用広報のnote記事・テックブログ・SNSなど、各コンテンツとの連携動線を設計することが重要です。
フリー社の「採用ブログ」、グッドパッチh社の「YouTube・note連携」、マネーフォワード社の「法人note・個人note・エンジニアブログ・デザイナーサイト」へのリンク集など、各社が採用サイトを「コンテンツの拠点」として機能させている設計は参考になります。
6. 「何を載せるか」より「誰のために何を解消するか」が先
今回の30社調査を通じて見えてきたのは、採用サイトの構成には共通のフレームがあるということです。
① 会社を知る
② 仕事・人を知る
③ 働く環境を知る
④ 選考・応募する
この4軸を起点に、自社のターゲット・フェーズ・採用課題に合わせて「何を深掘りするか」「何を差別化ポイントにするか」を決めていくのが、採用サイト設計の現実的なアプローチかと思います。
ただし、コンテンツを揃えることはあくまでスタート地点。
「誰の、どんな不安を、どのコンテンツで解消するか」という設計の視点を持って初めて、採用サイトは求職者さまの意思決定を動かす媒体になります。
「うちの採用サイト、何から手をつければいいかわからない」という状態の方は、まずこの4軸で現状のコンテンツを棚卸しするところから始めてみてください。
どの軸が薄いか、どの不安が解消されていないかが、おそらく見えてくるはずです。
7. さいごに
皆さまいかがでしたでしょうか。
今回は30社の採用サイトを実際に調査した一次データをもとに、ページ構成パターン・コンテンツの傾向・トップコピーの分類をお伝えしました。
私自身も改めて30社を丁寧に分析した中で多くの気づきがありました。
「自社の採用サイトの設計を一緒に考えてほしい」「何から手をつければいいか壁打ちしたい」という方は、ぜひお気軽にポテンシャライトまでお声がけください💁♀️
著者:
HRパートナー ミネナホ
2022年12月より株式会社ポテンシャライトでHRパートナーとして採用戦略〜オペレーション業務など、幅広く採用支援を経験。
2026年1月より採用マーケティングサービス企画として、採用ブランディングならびに採用ブランディングの活用事例を推進中。
