見出し画像

「どうせ自分には無理だ」という“心の針”はどうすれば抜けるのか?―HUNTER×HUNTERキルアに学ぶ"自己変容の6ステップ"【マンガ×組織論 第14弾】

あなたを縛る“イルミの針”の正体

「どうせ自分には無理だ」
「自分は、こういう人間だから」

心のどこかで、自分自身にそんな“呪いの言葉”をかけて、新しい一歩を踏み出すことを諦めてしまった経験は、ありませんか?

私自身、本当にそうでした。
新しい挑戦や、大きな役割を前にして、「いやいや、私なんかがやっても…」「もっと他に相応しい人がいるよ」って、見えない誰かに言い訳していました。

でも、もしその声が、あなた自身の声じゃないとしたら?
それは、誰かに、あるいは環境によって、いつの間にか心の奥深くに刺さってしまった“見えない針”の仕業かもしれないんです。

そして、この“見えない針”に支配され、もがき苦しみ、それでも最後には自らの手でそれを引き抜いた最高のキャラクターが、『HUNTER×HUNTER』にいます。

そう、キルア=ゾルディックです。

暗殺一家に生まれ、「感情を殺せ」「格上の敵からは逃げろ」と教育された彼が、いかにしてその呪縛から逃れ、自分の人生を取り戻していったのか。
今回は彼の再生の物語を、私たちの思考の根源である山根のブログでも語られている「自己変容のステップ」というレンズを通して、じっくりと紐解いていきたいと思います 。

この記事を読み終える頃には、あなたを縛る“心の針”の正体に気づき、それを抜くための、ほんの少しの勇気が湧いてくるはずです。

▼今回の参考ブログ (より本格的です。)

改めまして、ポテンシャライトのミネナホです!
「マンガ×組織論」シリーズ、大好評でして、最近は初めましての方からもSNSで嬉しいコメントをいただいております。(大感謝)

今回のこのnoteが初めましての方も、ぜひこれまでの「マンガ×組織論」シリーズ、読んでいただけると嬉しいです!
感想もお待ちしています!



1. ゆらぐ:「ゴン…お前は、光だ」―“当たり前”が壊れ始めた瞬間

山根の言葉を借りるなら、自己変容は、まず自分の中の“当たり前”が『ゆらぐ』ことから始まります。
これまでの自分の世界観が、外部からの強烈な刺激によって、今まで信じてきた世界の“ルール”が通用しないことに気づいてしまい、足元が崩れていくような、あの感覚です。

キルアにとって、まさにその強烈な刺激が、ゴン=フリークスという存在でした。

「人を殺すこと」が日常であり、家族ですら「仕事」での関係値でしかなく、冷たい関係だったキルアの世界。そこに、いきなり「友達になろうぜ!」と太陽みたいに笑いかけてくる少年が現れるんです。

自分とは真逆の、太陽みたいな存在。
キルアは最初、そのまぶしさに戸惑いながらも、目が離せなくなるんです。
『なんだコイツ…』って戸惑いながらも、ゴンのあまりにも無垢で、まっすぐな“光”に触れるたびに、キルアの中で「オレは闇の世界の人間だ」「感情なんて不要だ」という強固なメンタルモデルが、ギシギシと音を立てて『ゆらぎ』始めるんです。

ハンター試験での、イルミとの対峙。
ゴンという“光”と出会ったことで生まれた「友達と一緒にいたい」という本心が、兄が突きつける「お前は暗殺者だ」という呪いと正面衝突した、あの瞬間。
彼の壮絶な自己変容の旅は、あの瞬間から始まったんだと思います。

(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

あなたの人生にも、これまでの価値観を揺るがすような“ゴン”との出会いはありませんでしたか?
もし心当たりがあるなら、その“ゆらぎ”は、新しい自分に出会うための、最初の最高のサインなんです。

2. とどまる:「オレでなきゃ、ダメなんだ」―ゴンとの旅路で見つけた“居場所”

心が「ゆらいだ」とき、多くの人はその居心地の悪さから、すぐに元の安定した場所に戻ろうとしてしまいます。
「やっぱり自分には合ってないや」とか「今のままが一番楽だ」みたいに。

でも、山根が言う自己変容のステップで、本当に、本当に大切なのが、その揺らぎの中に、あえて②「とどまる」ことなんです。

その葛藤や違和感から逃げずに、そこに留まり続けること。
キルアは、まさにそれを無意識に実践していました。

ゾルディック家を飛び出した後、彼は「暗殺者」の世界にいつでも戻れたはずです。でも、彼はゴンと一緒にいることを選び、その“光”の世界に「とどまり」続けた

天空闘技場で戦い、ヨークシンで幻影旅団を追いかけ、グリードアイランドを冒険する。その全てが、彼が新しい自分に変わるための、重要で、そして少しだけ 不安定な 「とどまる」ための時間でした。

そして、その葛藤の中に「とどまる」ことを肯定し、彼に本当の“居場所”を与えたのが、あのグリードアイランドでのゴンの言葉でした。

「キルアじゃなきゃダメなんだ」

ドッジボール対決で、ゴンの作戦に必要不可欠な存在として、キルアを指名したあのシーン。 思い出せますか?あの時の、ハッとしたような、そして心の底から嬉しそうなキルアの表情を。

もちろん、ゴンにしてみれば、ただ純粋に「この作戦には、キルアの能力が最適だ」と考えただけだったのかもしれません。でも、それでもいいんです。大事なのは、その言葉をキルアがどう受け取ったか、ですから。
彼にとってあれは、初めて「暗殺スキル」ではなく「キルアという存在そのもの」が必要とされた、と魂が震えるほど感じた瞬間だったんだと思います。

(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

この言葉が、彼にとってのアンカー、つまり、どんなに心が揺らいでも戻ってこれる安全な港(心理的安全性)になったんです。この「自分はここにいていいんだ」という感覚こそが、人が変化の痛みに耐え、次の一歩を踏み出すための土台になるんですよね。

あなたのチームにも、メンバーが安心して「とどまれる」ような、そんな“居場所”はありますか?
「あなたじゃなきゃダメなんだ」という、存在そのものを肯定する一言が、人の成長をどれだけ力強く後押しすることか…。

キルアの物語は、その大切さを、静かに、でも確かに教えてくれます。


3. みつめる:「関係ないから」―“心の針”の正体と自己喪失の痛み

ゴンという光の世界に「とどまる」ことで、新しい自分を見つけ始めたキルア。 しかし、変容のプロセスは、決して心地よいことばかりではありません。むしろ、本当の変化は、激しい痛みを伴う「自己喪失」から始まります。

山根の言葉を借りれば、自己変容ステップ③「みつめる」とは、これまで自分と一体化していた価値観や信念(主観)を、初めて客観的に対象化して見つめるプロセスのこと。そして、そのきっかけとなるのが、多くの場合「別れ」や「裏切り」といった、強烈な喪失体験なんです。

キルアにとって、それがキメラアント編でゴンに言われた、あの一言でした。

「キルアはいいよね。冷静でいられて。関係ないから」

この後のキルア、よう冷静になれましたよね。
(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

カイトを失った怒りと絶望に我を忘れるゴン。
彼を必死に止めようとするキルア。
その親友の言葉は、キルアの心を粉々に打ち砕きました。

「ゴンを守りたい」
「ゴンの力になりたい」

その一心で、暗殺者の家族に逆らい、命懸けの戦いに身を投じてきた。
それなのに、一番守りたかったはずの本人から、「お前は関係ない」と突き放されてしまう。

これは、キルアが心の奥底でずっと抱えていた「自分はゴンに必要とされているのか?」という最大の不安が、現実になった瞬間でした。そして、この激しい痛みこそが、彼に自分自身と、自分を縛り続けてきた“心の針”の正体を、痛烈に「みつめる」ことを強いたのです。

「自分は、ゴンにとって一体何なんだろう?」

この問いと向き合わざるを得なくなった時、彼の本当の自己変容は、もう後戻りできない段階へと入っていったのです。

この作画、すごいですよね。
一言もセリフはないものの、どれほどキルアの心情が粉々になったのかが手に取るように分かります。
(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)
このキルアの後ろ姿よ。
(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

4. ためす:「もう二度と…逃げねェ」―“心の針”を引き抜く瞬間

自己喪失にも似た激しい痛み。自分を「みつめる」ことを強いられる時、本当の変化は、④「ためす」という、具体的な一歩から始まります。

山根の言葉を借りれば、これは「新しい自分」を、現実の世界で試してみる「行動的プロトタイピング」
頭で理解するだけでなく、実際に行動することでしか、人は変われないんです。

少し、時系列的に戻ります。

キメラアント編の、一度はゴンと二人で退けたキメラアント・ラモットとの対戦中です。その彼が念に覚醒し、強くなって再びキルアの前に現れます。

「格上の敵からは逃げろ」――頭の中に響くイルミの呪縛が、キルアの足を止めようとする。これまでの彼なら、間違いなく逃げていたはずです。

これまでのキルアとゴンの文脈を思うと、この作画、泣いちゃいますね。
(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

でも、彼は逃げなかった。 ここで彼は、初めて『ためし』ます。

逃げる自分ではなく、ゴンとの約束を守るために、仲間を守るために、恐怖に震えながらも、目の前の敵に立ち向かう自分を。

そして、その恐怖の正体がイルミによって埋め込まれた物理的な“針”であることに気づき、彼はそれを自らの手で引き抜くのです。「もう二度と…仲間を裏切る(逃げる)のは、ごめんだ」と。

この行動は、ただ強くなったんじゃない。彼が初めて、自分を縛る呪いに、自らの意志で「NO」を突きつけた、魂の行動だったんじゃないかなと思います。

(HUNTER×HUNTER|冨樫義博)

5. つくりなおす:「アルカを…助けたい」―新しい“自分の物語”の始まり

自らの手で呪いを解き、壮絶な自己喪失を経験したキルア。
彼の自己変容の旅は、いよいよ最終ステップを迎えます。

山根の言葉を借りれば、それは⑥「つくりなおす」
過去の自分を否定するのではなく、「それも自分の一部だった」と受け入れた上で、新しい意味づけや目的を自ら選び直していく、最も創造的で、希望に満ちたフェーズです。

これまでのキルアのアイデンティティは、常に「ゴン」という光との関係性の中にありました。「ゴンの隣にいること」が、彼が闇から抜け出すための理由であり、目的だったんです。

でも、全てを経験した彼は、もう誰かの隣にいることで自分の価値を見出す必要はありませんでした。

….と、自己変容ブログ的にはそういいたいところですが、おそらく、これは現在進行形でキルアが向き合い続けているのではないかなと思います。(笑)

彼が選び取った新しい物語、それは「アルカを…守りたい」という、新しい存在意義ですが、これも正直、ゴンとの共依存のように、アルカにとってもキルアが必要で、キルアがアルカに対する愛情以上にアルカもキルアへの愛情を伝えるからこその、共依存になるんだろうな〜と個人的には思っています。笑

とはいえ、今回のnoteの重要なポイントなのは、彼が「暗殺者としての過去」を捨てていないことと思っています。
過去の自分の境遇を受け入れ、むしろ、そのスキルや知識を、今度は「大切な者を守るための力」として、全く新しい意味を与えて再統合した。これこそが、本当の「つくりなおす」なんです。

だからこそ、あの世界樹でのゴンとの別れは、個人的にとてもとても不服ですが(笑)、あれは依存からの卒業であり、親友と対等な“個”として、それぞれの人生を歩み始めた、最高の「自律」の瞬間だったのかなぁと思います。(とはいえ、ゴンとキルアのコンビは個人的にとても好きなので、この別れは不服すぎて、一個人としてはこう思えません笑)

おわりに:あなたの“心の針”を抜くために

キルアの物語は、私たちに教えてくれます。
どんなに根深い呪いも、どんなにがんじがらめになったメンタルモデルも、決して永遠ではない、と。

強烈な光に出会って「ゆらぎ」、 その葛藤の中に「とどまり」、 自分の痛みと「みつめ」、 勇気を出して行動を「ためし」、 過去を「ふりかえる」。

そして最後に、新しい自分を「つくりなおす」。

あなたの心に刺さったままの“針”も、必ず抜くことができます。
その一歩を踏み出す勇気を、キルアの物語が少しでも与えられたなら、こんなに嬉しいことはありません。

個人的に、ハンターハンターはかなり思入れ深いマンガでして、キルア、もう少し書かせてください。笑

次回、第2弾。
なぜキルアは、「関係ないから」の一言で壊れてしまったのか? 彼の心の核心に、さらに深く、深く、迫っていきたいと思います🙋‍♀️


直近、ポテンシャライトでは採用に関する支援だけでなく、人事組織制度支援や、組織開発支援など、多岐にわたる支援をさせていただいております。
その支援に関してもnoteでたくさんアウトプットしている(山根が執筆しているnoteはもっともっと本格的)ので、ご興味ある方は必須で読んでみてください❤️‍🔥

著者:
HRパートナー 峯 菜穂
2022年12月より株式会社ポテンシャライトでHRパートナーとして採用戦略〜オペレーション業務など、幅広く採用支援を経験。特に、ビジネス / エンジニア問わずスカウト採用に強みを持ち、求職者さまごとにカスタマイズした1to1文章の作成を得意とする。



いいなと思ったら応援しよう!