Photo by
m_miyamoto_529
居眠り猫と主治医 ㉖不意打ち面談 連載恋愛小説
デスクでテスト問題作成に四苦八苦していると、だれかにポンと肩を叩かれた。
「守屋先生、来客です」
ふふふ、と意味深にほほえむ事務の彼女に文乃は首をかしげる。今度新しく担当する生徒の保護者だろうか。
「お待たせいたしました。守屋です」
顔を上げると、応接室にいたのは夏目祐だった。
「え……なんで。隠し子……?」
「なにそれ。かの子に聞いた。つーか、勤務先すら教えないって、彼女としてどうなの」
ただ突っ立っている文乃の手を引いて、祐はソファに座らせる。
「こんなとこまで押しかけて、ごめん。こうでもしないと連絡つかないし」
ルートは絶ったつもりでいた。
彼がかの子に自分のことをたずねる世界線が、吞み込めない。
彼女のお店で軽く挨拶を交わしたことはあるものの、覚えてもいないだろうと思っていた。かの子に夢中で、その他大勢は視界にすら入っていないものと。
「駆け引きいらないんだけど」
頭の中がぐちゃぐちゃで、文乃はまったく反応できない。
「デートとか行ったことないから、荒療治かとも思ったけど。わがままひとつ言ってこないから、それもちがうだろうし」
「そんなんじゃないです。心を守ってるだけ」
なんとも思っていないこと、好きな人がいることは、ずっと前から知っている。
「なんとも思ってない女と寝ないけど」
「ここ職場です」
姿勢を正してあらぬほうを見つめ、拒絶を示してみる。
「かの子のことはもうふっきったし、それ以上に小動物保護するのにかまけてた」
「イミわからないです」
(つづく)

いいなと思ったら応援しよう!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
いただいたチップはインプットのための書籍購入費にあてます。
また来ていただけるよう、更新がんばります。