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着ぐるみとロボット ⑥高嶺の花 連載恋愛小説 

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 人は、手の届かないものに焦がれる習性がある。
 たとえば、宮城しおり。男女比の偏った理系学部で、その凛としたたたずまいは羨望せんぼうの的。
 もの静かで人づきあいが苦手なため、しおりと友達になるのも至難の業。名実ともに、高嶺の花だ。
 身近にいる男子がモタモタしているうちに、しおりはややこしい沼に足を踏み入れてしまう。忍はくわしくは知らないが、お姉さんの恋人となにやらあるようなのだ。
 苦しいだけの恋はさっさと手放して、想ってくれる人に目を向ければいいのに。ものうげな横顔を目にするたび、忍はそんな思いにとらわれる。

「長屋さん、忍のこと心配してたよ。連絡してないの?」
 ボリボリとポッキーをかじっていた忍は、病室のベッドでむせそうになった。毎日のようにお昼どきに突撃してきた人間が、こつ然と姿を消したら、さすがの長屋も気になるか。
「うーん。ウザがられるかなと思って。いったんメッセージを送りだしたら、とりつかれたように連投しそうだし」
 段ボールを抱えて移動中、忍は階段を踏みはずした。
 高価な部品が入っていたため慎重を期していたつもりが、ふとしたはずみで真っ逆さま。変な角度で圧がかかったらしく、右のすねをやってしまった。

「ポッキリ脚を折った人に、ポッキーの差し入れって」
 しおりはそんなブラックユーモアを持ち合わせていないので、きょとんとしている。
 病院食にへきえきしてジャンクなおやつを頼んだのは、自分だ。忍としては油こってりなポテチなんかを期待していたのだが。具体的に提示しなかった発注側のミスである。
「来週退院でしょ。よかったね、ひさしぶりに会えるよ」
 そこが問題なのだ。やっとこさ顔と名前が一致したところだっただのに、今度顔を合わせればどうなることやら。
 認識されずに素通りされる悪夢を、忍は2回見た。ふりだしに戻った気がして、どうにも気が重かった。

(つづく)
▷次回、第7話「長屋、イラつく」の巻

#恋愛小説が好き #小説 #賑やかし帯

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