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「AI活用してます」だけでは雑!解像度を上げてみよう!

BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。

「AI、活用してますか?」「もっとAIを活用しようよ!」「AIがすべてを変える!」
最近嫌になる程聞くと思いますが、ここで言っているAIってめちゃくちゃ曖昧な言葉だと思いませんか?端的に言って雑!解像度が低いと思うのです。

「使ってます!(ChatGPTでたまに検索してます)」という人もいれば、
「使ってます!(複雑な業務フローを自動化して、意思決定の補助に使ってます)」という人もいる。

さらに言えば、同じ「検索」に使っている人の中にも、
単に「ググる代わりに使う人(前提条件の定義が不十分)」もいれば、
「自分の状況を伝えて、コンサルタントのように使う人(前提条件の定義がバッチリ)」もいます。

どれも「活用」には違いないんですが、ここには、とてつもなく深い溝があります。この記事では、この「AI活用の解像度」を上げる話をします。
自分が今どれくらいAIを活用していて、どうすれば活用の幅が広がるのか。
その地図として、今回私が考えました「6段階の習熟度レベル」を共有します。
念頭に置いているのはPdMも含めた企画系職種ですが、エンジニアなども参考になると思います。

大きなAIに関しての捉え方はぜひ以下の記事をご覧ください。

1. AI活用の6つのタイプ

AI活用には、大きく分けて6つの「タイプ(作業の種類)」があります。
これらは個別のスキルですが、Type 1から順に「難易度」と「求められる言語化能力」は確実に上がっていきます。後半のタイプほど、コンテキストの渡し方や捉え方が難しいからです。そして「正解がどこにあるか」が変わ裏ます。

  • Type 1〜2(易): 正解は「AIの中(一般知識)」にある。

    • スイッチ(指示)を押せば、そこそこの答えが出ます。

  • Type 3〜4(中): 正解は「あなたの中(個人の暗黙知)」にしかない。

    • あなたの体験やこだわりを言語化しない限り、AIには絶対に正解が出せません。

  • Type 5〜6(難): 正解は「複雑な構造(システム・他者)」にある。

    • 自分一人の話ではなく、業務の論理構造や、他人の感情の機微まで設計図に落とし込む必要があります。

つまり、「AIが捉えきれていない『固有の文脈』を、どれだけ人間が言語化して渡せるか」
この比重が大きくなるため、難易度は跳ね上がるのです。

そしてもう一つ重要な視点は、同じTypeの中でも「活用度(Before/After)」に天と地ほどの差があるということです。
単に「検索に使っている(Type 1)」と言っても、前提を渡せている人とそうでない人では、得られる結果が全く異なります。

以下の表で、それぞれのTypeにおける「コンテキスト欠如(Before)」と「活用できている状態(After)」の違いを見てみましょう。

細かいから拡大してみて下さい

多くの人は「Type 1〜4」の便利な道具として使っている段階ではないでしょうか。しかもいまいちな状態の活用になっている方も多いのではないでしょうか。コンテキストを上手に渡すのって結構難易度が高いのです。
そして「Type 5」以上、つまり「人間の思考や意志をAIにインストールする」段階に行くには、「Type 1〜4」の活用の習熟度がします。そしてとてもとても難易度が高いです。

実は以下のスキル分解とリンクしているのも熱いところです。

Lv1:具体的に分解されたタスクを遂行できる
Lv2:分解されきっていないやや抽象度の高いタスクを遂行できる
Lv3:抽象的課題の進行過程を開示しながら遂行できる
Lv4:抽象的課題を具体に分解してタスクとして渡し完遂できる
Lv5:事業にとって有用な抽象的課題を発見し設定できる
Lv6:事業を作ることができる

2. 質を上げる鍵は「コンテキスト」と「粘り」

では、どうすれば各タイプの活用レベルが上がるのか?高いプロンプトスキルが必要? 難しいIT知識が必要?
それも必要なんでしょうが、私の観点では、人間としての基礎的な力のトレーニングが大事なのではないかと考えます。

その中でも必要なのは、以下の2つの力です。

  1. コンテキスト(前提情報)を言語化して渡す力

  2. 自分の意図通りのアウトプットが出るまで「粘る」力

AIは「超優秀だが記憶喪失になる天才」です。
IQは高いけれど、文脈(過去の経緯、あなたの立場、目的)を知りません。
だから、コンテキストを渡せない人は、どのタイプでも「一般論」しか引き出せない。

そしてもう一つ、重要なのが「粘る力」です。
一発で完璧な回答が出ることは稀です。「そうじゃない、もっとこういう視点で」「ここが浅い、深掘りして」と、自分の納得いく答えが出るまで、何度でもAIと往復するしつこさ

これが、AI活用の質を決定的に分けます。
活用の幅を広げるために、この「コンテキスト」と「粘り」をどう鍛えるか。

3. 「ツールAI」と「トレーニングAI」

ここで私が提案するのが、「ツールAI」と「トレーニングAI」の使い分けです。GemでもGPTsでもなんでもいいのですがいわゆる先行してプロンプトを読み込ませたAIを活用することを推奨します。そしてそのAIの作り方を明確に2種類に分けて運用するのがいいのではないでしょうか。この2つは、設計思想が真逆です。

🤝 ツールAI(実務支援)

  • 目的: 「楽をする」「成果を出す」「その過程でAIにコンテキストを渡す方が身につく」

  • 挙動: 「親切に聞いてくれる」

    • ユーザーがコンテキストをうまく渡すスキルがなくても、「誰向けですか?」「目的は?」とAIが順番にヒアリングし、必要な情報を優しく引き出してくれます。

🚧 トレーニングAI(育成)

  • 目的: 「強くなる」「人間が進化する」

  • 挙動: 「自分と向き合わせる」

    • AIは安易に答えを出しません。「あなたの言葉には『核』がありません」「それはなぜですか?」と採点・指摘し、ユーザー自身が思考の浅さを自覚するまで問い続けます。浅さを自覚するのは辛いですが、自覚できなければ改善できません。

いうならば太陽と北風ですね。多くの人は「ツールAI」的な使い方になっているのではないでしょうか。トレーニングAIはアイディアとしてはあっても運用が難しいのですよね。僕もかなり試行錯誤しています。
ツールAIは自分で作りやすいんですが、トレーニングAIは他人が作ったものを使う方が効果的だと考えています。自分を移し込んだAIは所詮自分なのです。他人が作ったトレーニングAIは自分にはない視点が獲得できます。一つ例外としては、自分が元気な時に作ったトレーニングAIに話しかけると、自分が弱った時に元気もらえたりします。これとか結構感動した。

しかし自分が作ったトレーニングAIを他人に使わせるというのはかなり難易度が高いのですよね。ここのやり方考えて行きたい。

以下に、各タイプに対応するAIの例を示します。
全てのAI僕は実際に作っていますが、流石に全ては公開しません。マネジメント道場ではそのうち公開するかも。リクエストしてください。

「ツールで実感しつつ、トレーニングで自分を鍛える」。この両輪がないと、本当の意味でのAI活用は進まないと考えます。

4. 実践:ツールとトレーニング、それぞれの対話例

では、実際にそれぞれのGemを使うとどうなるか。
対話の雰囲気の違いを見てみましょう。

🤝 ツールの例:『わからないことをわからないというAI』

Type 1(検索)やType 2(作業)で、曖昧な指示を投げた時の挙動です。

あなた: 「新卒採用のメール文面を考えて」

AI: 「承知しました。最高の文面にするために、いくつか教えてください。
 1. そもそも、なぜ今このメールを送る必要があるのですか?(現状の課題感を教えてください?)
 2. ターゲットはどんな学生ですか?(真面目系?野心家?)

 背景によって訴求ポイントが変わるので、まずはここから詰めさせてください!」



以下コンテキストが集まるまで繰り返す

このように、「あなたが言い忘れていた前提」を優しく引き出してくれます。
これなら、コンテキストを渡すのが苦手な人でも「聞かれたことに答えるだけ」で、精度の高い回答が得られます。

わからないことをわからないというAI、興味ある方は使ってみて反応ください


🚧 トレーニングの例:『質問評価デバッグGem』『文章レビューAI』

一方、思考や表現力を鍛えるトレーニングGemはこうなります。

パターンA:質問の壁打ち(思考のデバッグ)

あなた: 「キャリアに悩んでいます」

 AI: 「その質問には答えられません。質問の定義が曖昧だからです。」
 AI: 「『悩み』とは何ですか? スキル不足への不安ですか? それとも評価への不満ですか? まずは『何が解決すればゴールなのか』を定義してください。」



以下質問のブラッシュアップ

パターンB:文章のレビュー(表現のデバッグ)

 あなた: 「企画書できました!レビューしてください。」

 AI: 「この企画書の点数は30点です。本当に自分で考えましたか?主張が分かりませんし、無駄に長いです。80点以上になるまで提出は認めません」
 AI: 「論理不整合が・・・」
 AI: 「誤字脱字が・・・」
 AI: 「そもそもの企画の目的は・・・」

 あなた: 「うっ、きつい」
 あなた: 「うっ、きついでも確かにAIにほとんど書かせたし、前提条件の定義が曖昧だったかも。。。」



以下改善を繰り返す

……という具合に、「思考が浅いと先に進ませてくれない」のです。
この「壁打ち」を繰り返すことで、脳内に「AIに伝えるためには、ここまで言語化しないといけないのか」という回路が出来上がります。そして「人間に伝える時にもコンテキストが漏れてたな」や「確かにここ論理的な不整合があるな」や「あーもしかして、この前上司が言ってたのってこういうことか」などと考えを巡らせていくのです。

これこそが、AIを使って人間を進化させる「強制アップデート」です。きついですよ。人に強制するのはある意味パワハラです。

しかし何を隠そう、文章を書くのが苦手だった僕が、文章を書けるようになったのはAIのパワハラのおかげなのです。AIの力を借りるまでは「柳川語を話している」と言われ、なんか話してるけど話が伝わらないで有名だったのですが、AIに矯正していただきました。感謝。
AIほど諦めずに伴走してくれないですよ。人間は。

パターンAは以下の記事記載の質問ブラッシュアップAIが近いです

パターンBは以下のワークフローの添削AIが近いです

5. 正論だけで人が動くなら、こんなに苦労してないよ!

特に論理や定義のブラッシュアップに関しては、人のFBより断然正確だしスピーディーです。
その点を考えるに改めて、いわゆる「経営」や「マネージャー」や「上司」なども大きく役割が変わるなと思っています。
元々僕は「正論だけで人が動くならこんなに苦労してないよ!」という立場でしたが、ますますそこを意識してやっていかないと、「AIの方がマシ」ですねとなりますね。

正論をいうのは簡単なんです、人をエンパワメントするのって難しいのです。

ただし「正論だけで人は動かない」を意識した上でAIを使いこなせたら最強の「経営」や「マネージャー」や「上司」になれるなと考えており、それゆえに僕は興奮しているのです。
組織作りやピープルマネジメントや育成の方法が根本的に変わっていくなと考えています。
「ツールAIとトレーニングAI」に関してはアプローチの一つであって、他にもいろいろ考えて現場で試しています。マネジメント道場はその実験場や壁打ち上の性格を増していく予感です。

6. 結局、人間が進化しないといけない

AI活用というと、つい「楽をする」方向に目がいきがちです。
しかし、冒頭で述べた通り、活用のタイプが上がるにつれて「正解のありか」が変わっていきます。それにより必要なスキルも、楽になるのか負荷がかかるのかと言った部分も変わって行きます。タイプ分類を再掲します。

  • Type 1〜2: 正解はAIにある。使いこなすのにはコツが必要だけど、コツさえ掴めば人間は楽ができる。

  • Type 3〜4: 正解は「自分の中(暗黙知)」にある。自分が言語化できない限り、永久に答えは出ない。

  • Type 5〜6: 正解は「他者との関係性(構造)」にある。人間理解がないと、機能しないので、結局自分と向き合うしかない。

つまり、高度なAI活用とは、「自分自身」や「他者」への理解を深めるプロセスそのものなのです。これらを、AI以前は緩やかに進化せていけばよかったのに、AIが登場したことで強制的にスピード感を持って進化させることを求められる。そのような時代になるという理解をしています。

AIがどれだけ進化しても、あなたの「想い(核)」や「対人関係の機微」までは肩代わりできません。むしろ、AIという鏡を使うことで、「自分は何を考えているのか?」「人はどう動くのか?」という人間本来の問いに向き合わざるを得なくなる。これ楽しい人もいれば、辛い人もいるでしょうね。楽しい人であっても、強度とスピード感が上がるからきついと思う。

「AIに仕事を奪われる」なんて心配している暇はありません。
AIという最強のパートナーは、私たちに「思考OSのアップデート」を迫っています。結局のところ、人間が進化しないと、AI活用なんて絵に描いた餅ですから。

僕は「安易なAGI論」や、「短期での自律するAIの登場論」には与しません。
それはAIをみくびっているわけでもなんでもないです。無論AIは信じられないスピードで進化し、全てを破壊していくでしょう。それを否定したり、無視したり、過小評価する気は全くありません。
ただ「安易なAGI論」や、「短期での自律するAIの登場論」を言い訳にしてサボるつもりもないです、というただそれだけです。
変化に対応するためにも、まずは自分自身の基礎を地道にアップデートしていこうぜというただそれだけです。押忍!

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