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大器晩成と早熟を、エニアグラムで考えてみる

この記事はご自身のエニアグラムタイプに関して、一定の理解のある方のみ読んでください。そして内容はあくまでも僕の仮説です。
参考までに自作の診断ツールを貼らせていただきますが、診断ツールではご自身のタイプは分かりません。ご興味ある方はDiscordに参加の上今後開催予定のセッションにご参加ください。
正直内容もりもりでよくわからないと思いますが、複眼育成道場に参加してくれた方達は、一緒に探っていきましょう。

本記事でなんとなくだと思いますが、エニグラムの使い所の一部がわかってもらえる内容になっているはずです。
診断ツールにはあえて、「このタイプの人ならこうすべき」的なことは書いていないですが、この文章には書いています。

先日、「大器晩成と早熟は、能力の話じゃない」という記事を出しました。
あの記事では「思考の癖と社会の噛み合わせ」という話をしましたが、エニアグラムの話は出していません。

この記事は上記記事の複眼養成道場の読者向けの補足です。エニアグラムとインテグラル理論(成人発達理論)の考え方を組み合わせて、同じ構造をもう少し細かく見てみます。

この2つを組み合わせると、かなり深いところまで説明ができるんですよ。「なぜこの人は苦しんでいるのか」「なぜあの人は変われないのか」を、タイプ×健全度×組織の段階で立体的に捉えられる。

ただ、深く説明できるということは、誤解も増えるということです。「タイプ○だからこうだ」「この段階にいるからダメだ」みたいなラベリングに使われると、むしろ害になる。だからこの記事では慎重に書きます。

あらかじめ言っておくと、ここに書くのは僕個人の見立てです。エニアグラムの定説というわけではないし、すべての人にきれいに当てはまるものでもない。ウイングやインスティンクト、育った環境で大きく変わります。「こういう見方もできるよね」くらいの感覚で読んでもらえたらと思います。

改めて、エニアグラムのタイプに対する僕のスタンスも書いておきます。
人のエニアグラムタイプを本人に伝わるように、確定的に伝えるのは断固反対です。「あなたはタイプnだよ」は絶対にダメ。
しかし、他者の理解のための糸口として、エニアグラムのタイプを補助線として活用するのはありだと考えています。
他者に対する関心を持ち、他者を複数の角度から見るための一手段として活用するのは、個人の垂直的成長に資すると考えています。


現代社会の評価システムは、特定の囚われと相性がいい

前回の記事で「ルールの中で最適化する力を一貫して評価している」と書きました。これをエニアグラムで言い換えると、僕にはこう見えています。

現代社会の評価システムは、タイプ3の囚われと相性がいい構造になっている。

これが僕の仮説です。

テストの点。就活のコミュ力。KPI。プレゼン。数字で成果を出すこと。タイプ3の囚われ(「価値ある存在として認められたい」)が報われやすい仕組みになっている。

でもこれはタイプ3だけの話じゃなくて。
タイプ1の「ちゃんとやる」は学校で褒められる。タイプ2の「気が利く」は組織で重宝される。タイプ6の「報連相を欠かさない」は上司に信頼される。
タイプ1、2、3、6の囚われは、社会の評価システムに噛み合いやすい傾向がある。だから早い段階で評価されやすい。これが僕の考える早熟型の構造です。

逆に、タイプ4の「みんなと同じにできない」、タイプ5の「何考えてるかわからない」、タイプ7の「最後までやり切れない」、タイプ8の「生意気で協調性がない」。
タイプ4、5、7、8の囚われは、社会の評価システムとぶつかりやすい。だから評価されるまでに時間がかかる。これが晩成型の構造。
もちろん個人差はあります。タイプ8でも環境に恵まれて早くから活躍する人もいるし、タイプ3でも苦しんでいる人はいる。あくまで構造的な傾向の話として聞いてください。

しつこいですがもう一度言います。これはどのタイプが優れているとか劣っているとかという話ではありません。あくまでの社会との構造的な関係についての考察です。

褒められ続けることの落とし穴

早熟型の4タイプに共通する構造を見てみます。

タイプ1。真面目で手がかからない。基準を作る。「あの人に通せば大丈夫」と言われる。でも気づくと、自分の正しさを部下にも求めている。部下は萎縮している。でも組織は「厳しいけど仕事ができる人」として評価しているから、本人も周囲も問題だと認識しにくい。

タイプ2。先輩の雑用を引き受ける。チームの潤滑油。「いい人」ポジション。でも「あなたは何がしたいの?」と聞くと困る。自分の欲求にアクセスできていない。でも「気配りができる人」として評価されている間は、それが課題だと見えにくい。

タイプ3。同期で最初に抜擢される。KPIを達成する。出世する。でもチームメンバーが疲弊していく。数字が出ている間は、なかなか指摘されない。

タイプ6。報連相を欠かさない。慎重で信頼できる。模範的な新人。でもこれは、不安の囚われが「勤勉さ」として機能しているだけかもしれない。本人は「自分で決める」ことを先送りにし続けている可能性がある。

共通しているのは、囚われが「強み」として褒められ続ける構造です。だから変わる動機が生まれにくい。10年、15年と同じパターンを強化して、ある時期に壁にぶつかる。しかも何の壁なのか本人にはわかりにくい。

叩かれ続けることの消耗

晩成型の4タイプにも共通する構造があります。

タイプ4。「変わった子」。日本の「みんなと同じにしなさい」文化と衝突しやすい。同期の3や1が評価されていくのを見て、羨望が深まる。20代が辛い時期になりやすい。

タイプ5。仕事自体はできる。でもチーム内のコミュニケーションが課題になりやすい。知識を貯め込むが共有しない。しかもマネージャーにならないとキャリアが停滞する組織だと、スペシャリスト志向の5は居場所を見つけにくい。

タイプ7。アイデアマンで面白い人。でも最後まで完遂しにくい。0→1は得意だが、1→10で飽きやすい。30代で「形にできていない」ことが可視化されてくる。

タイプ8。僕自身がこれです。上司が間違っていると思ったら言ってしまう。「生意気」「協調性がない」と言われ続ける。20代が最も苦しかった。

共通しているのは、囚われが組織と噛み合わないので「問題児」に見えやすいこと。叩かれ続けることで自信を失いやすい。でも囚われの裏には可能性がある。4の深さ、5の洞察、7の可能性を見る力、8の突破力。それが見えにくいだけで。

苦しむ時期が違うだけ

僕の観察をまとめると、こうなります。

早熟型(1, 2, 3, 6)は後半に苦しみやすく、晩成型(4, 5, 7, 8)は前半に苦しみやすい。

苦しむ時期が違うだけで、総量はそう変わらないんじゃないか、というのが僕の見立てです。

タイプ9は独特のポジションにいる

タイプ9は早熟でも晩成でもない、少し違う場所にいると思っています。

「手のかからない子」。自分から何かを主張しない。日本文化のデフォルト設定に最も近いタイプかもしれません。だから囚われが囚われとして認識されにくい。

20代で「問題のない人」として組織に溶け込む。叩かれもしないし、褒められもしない。最も見落とされやすいタイプだと僕は思っています。だからこそ「放置」が地味にダメージになる。

9の健全化のきっかけは、興味深いことに「怒り」であることが多い。9の抑圧された怒りは実はかなり大きくて、それが噴出したときに、成長方向の3にアクセスして、穏やかさと意志の両方を持つ存在になっていく。

健全化のきっかけは、タイプによって違う

前回の記事で「フロアを歩き回った先でハシゴを見つける」という話をしました。このハシゴ、タイプごとにまったく違うところにあります。

面白い構造があって、全タイプに共通しているんですが、囚われが守ろうとしていたもの(安全・愛・価値)が、囚われを手放したときに初めて手に入る。 性格の逆説のキャリア版です。

これが垂直的成長のキツさでもある。自分が最も恐れていることに向き合うことになるので、本人には「成長」じゃなくて「後退」に感じられることが多い。

組織の段階も影響する

もう一つ、噛み合わせに影響する変数として、組織の段階があります。

日本の多くの組織はアンバーが基盤にあって、オレンジが上乗せされている。だからタイプ6が「使いやすい」人材として機能しやすい。タイプ6の不安が「勤勉さ」「報連相ができる人」として利用される構造は、結構根深いなと思います。

ただ、ここで気をつけたいのは、どの組織段階でも「使いやすい」のは、通常レベルの囚われがたまたま噛み合っているだけだということです。健全になればどのタイプもどの組織でも活きる。問題は組織の段階ではなく健全度。

グリーン組織に移れば解決するかというと、そうでもない。グリーンの「ありのままでいいよ」が、オレンジ的な「形にする」体験をスキップする免罪符になることがある。タイプ4がグリーンに行って一時的に楽になるけど、成長の機会を逃す。タイプ2がグリーンに行って「助ける自分」がさらに強化される。組織の段階を変えても、囚われ自体が変わるわけじゃない。

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