【ピアノ】回想 つたなさを笑い合えた連弾
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息子と譜読みをし、発表会の練習を続ける傍ら、教本からも宿題があった。
その中に連弾の曲もあった。
先生と一週間後に連弾できるように、息子は生徒のパートを練習する流れだ。
仕上がってきた息子の演奏を見て、私は「一度連弾してみよう」と持ちかけた。息子は乗り気で、自分の椅子の隣を手のひらで叩いて座るように催促した。
しかし、実際に二人で弾き始めると、私の指が思うように動かず、簡単なパートのはずが早々にリズムが崩れた。
そんな私に合わせるように、いつの間にか息子が音を重ねていた。
最後まで弾き終えた後、二人ですぐに顔を見合わせ「こりゃあ、だめだった」「もっと練習しないとね」と笑った。
何十年もピアノを弾いてきても、数年習っている息子に合わせてもらっている自分。
私は自分の下手さに苦笑いした。
その苦笑いの奥で、胸にはなんとも言えない感覚が込み上げていた。
中学時代、ピアノが好きだと感じて以来、一人で四苦八苦しながら楽譜を読み、電子ピアノで練習していた自分自身に、「何十年も後になるけれど、息子とピアノを連弾しているよ」と教えてあげたかった。
当時、毎日電子ピアノで練習していた私を見て、数年後、親は中古のアップライトピアノを買ってくれた。
今の私は、息子に同じ環境を用意してあげられない。
それは今も少し心残りだ。
それでも、息子は今楽しそうに弾いている。
その姿が、私には自分がピアノを続けてきた先に見つけた宝物のように思えた。
だから私は、息子が「弾きたい」と思う限り、私なりの形で支えていきたい。
誰のためでもなく、自分のためにピアノを弾き続けてほしい。
その先で、息子自身にも、いつか自分だけの宝物が見つかることを信じている。
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