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【ピアノ】回想 プロを目指すわけではないけれど

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息子の発表会が決まって、先生と演奏曲について話し合った。
息子は、かねてからカッコいい曲を弾きたがっていて、自分の希望でもあり先生の候補リストにも入っていた曲を選んだ。
オーケストラをピアノ譜にした楽曲だ。
私には、息子が選んだ譜面が今の息子には難しいものに見えた。
それでも、先生は「本人が弾きたい曲を弾くのが一番」と後押しして下さった。
息子は、脱力がなかなか出来ない課題があったが、そんな息子の弱点をカバーしてくれそうな曲でもあった。

発表会の3ヶ月前から、練習を開始した。
息子は思った以上にスムーズに譜読みを進めた。
家で譜読みにつまずいた時は、私と一緒に取り組んだ。
譜読みは着々と進み、先生からもたびたびお褒めの言葉を頂いた。
息子はますます一生懸命ピアノの練習に取り組んだ。
そうなってくると、私はやはり練習環境が電子ピアノであることに、時々限界を感じ始めた。
先生からも、暗にアコースティックピアノを勧められた。
環境が許せば断る理由はないのだが、その環境のために電子ピアノの現状であることを先生にも説明した。
アコースティックピアノで練習するのがベストだろうと理解はしていた。
しかし一方で、息子がこのまま上達し、さらにアコースティックピアノで練習するようになった先の将来を、私はシミュレーションしていた。
もしも息子に音楽の道を選ぶという選択肢ができたら、親としてどこまで応えられるのだろう…。
今は、そこまで考えなくてもいいのかもしれない。
しかし、私には自然とそれを考えてしまう理由があった。
私の学生時代、幼少期からピアニストを目指していた友達がいた。その子は環境にも恵まれていて大きなコンクールにも何度も出ていた。
本気で人生を賭けて挑んでいた姿、親子ともパワフルに情熱を傾けていた様子を見て、当時、「私にはとても出来ない」と感じた。
今の私に、あの親子のように人生をかけて支え続ける覚悟は持てないと思った。
息子が音楽の道を選んだ場合、私にはとてもサポートし切れないのは明白だった。
加えて、音楽の道は本気になるほどお金がかかる。そもそも夫は、我が家のリソースをピアノに割くことに積極的ではないのだ。

ならば、今目の前にいる息子をどこまで本気にさせるのか。
本気でやらないのなら、ピアノを続けるべきではないのか…。
私にはそう思えなかった。

しかし、それはこの後もずっと、私の中で課題になっていくテーマだった。


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