【中学受験小5】完了。息子の夏休み宿題計画
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「できた!できた!」
達成感と解放感で小躍りする息子を眺めながら、私もほっとしていた。
しかし、心には何か、モヤモヤするものが残った。
読書感想文を最初に選んだ息子だったが、選書の時点で、すでに出口が見えなかった。
それに耐えられなくなり、私は水面下で自由研究へと誘導した。
息子は自らの意思で選んだかのように、まんまと自由研究のレールに乗った。
しかし、そこからが長かった。
テーマと素材が揃っても、なかなか取り掛からない息子。
「素材は揃えたのに……」
「間に合うのか……」
内心、ハラハラ…というよりイライラしていた。
しかし、テーマと素材を提供したからには、私はもう手は貸さずに見守ることにしたのだ。
塾の夏期講習が中休みになり、息子は渋々、自由研究を仕上げることにした。
素材となる写真は私が撮影し、夫にプリントを頼んである。
資料になりそうな本も、息子と図書館で数冊借りてあった。
あとは、それを読んだ息子が抜粋して、考察を書くだけだ。
ここが、この研究の山場だ。
「一人でやる!」
そう言った息子。
とはいえ、ここまで、すでにだいぶ手を貸しているのだが……。
息子は漫画を読む傍ら、時々思い出したように資料の本を読んでいた。
やがて、資料を読み終えた息子が、明るく言った。
「このあたりをメインに書こうかな!」
よし、いいぞ。
下書きの紙に、レイアウトの大枠を書いていく息子。
「今日はここまでだ」
1ミリくらいしか進んでいないことをもどかしく思いながらも、作業はいったんそこで止まった。
その翌日。
息子のレイアウトを見て、全体がバランスよく収まりそうなことを確認し、私は少し安心した。
任せても、大丈夫だ。
そう思えて、目を離していたわずかな間に、息子はメインとなる文章を書き終えていた。
それでも、まだ用紙の半分のスペースだ。
「書いたよ」
見せられた文を見て、私は唖然とした。
内容はともかく、ガタガタの汚文字の列が波打っていた。
ただの汚文字ではない。
まっすぐに並んでもいない汚文字は、まったく読めなかった。
「……これ、まっすぐ線を引いてから書き始めた方がいいよね」
つい、本音が漏れた。
褒められると思っていた息子は、いっきにへそを曲げた。
「今日はこれで終わりだ!」
その日は、強制終了となった。
翌日、息子はへそを曲げた状態から始めた。
いきなりフリーハンドで曲がった線を書いた息子に、私は無言で定規を差し出した。
息子は苛立ったように受け取り、線を引いた。
しかし、そのおかげで、残りのスペースは比較的きれいに書けた。
線を引くと、汚文字でもそれなりにきれいに見える。
それに気づいた息子は、気を良くした。
「明日はこっちも書き直すぞ!」
その日は、そこで終わった。
次の日、汚文字ガタガタのメイン部分を、線を引いて書き直すところから始めた。
そこが一番長く、ボリュームがある。
息子の集中力は、そこで尽きるだろう。
思った通り、そこで息子の集中力は途切れたが、書くこと自体は終わった。
「あとは写真を貼って終わりだ!」
息子が叫んだその時、まだ写真がプリントされていないことに気づいた。
その日の作業は、素材不足により終了となった。
仕事に追われていた夫に連絡し、なんとかその夜のうちに、写真をプリントしてきてもらった。
翌日、写真を手に入れた息子は、文章の間に数枚を貼り付けた。
「……終わった!」
息子の顔が、ぱあっと明るくなった。
「終わった! 終わったぞ!」
小躍りする息子。
「お母さん!どう?」
「俺、頑張った!俺が、100%自分の力で終わらせたんだ!」
……え?
100%、自分の力で?
私の中に、モヤモヤした気持ちが湧いた。
歴史スポットに連れて行き、猛暑の中で写真を撮った。
涼しい場所でかき氷を食べさせながら、自由研究のテーマとやり方を提示した。
図書館にも一緒に行き、私が選んだ本を借りた。
写真のプリントは、夫に頼んだ。
息子がやったのは、用意された資料を読み、必要なところを抜き出し、考察を書いて、写真を貼ったこと。
どこからどこまでが、100%なのだろうか。
息子に悪気は、まったくない。
むしろ、何も気づいていない。
私も、どこまでが親の役割で、どこからが息子の課題なのか、よくわからなくなってきた。
息子に、想像力がないだけなのだろうか……。
私が、やりすぎたのだろうか……。
この夏、夏休みの宿題は、私にモヤモヤを残して終わったのだった。
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