55歳、Google Meet面談の向こう側はノマド感。「選ばれた人だけです」と言われた私のセンサーが鳴った話。
クラウドワークスの面談が終わった。
前回話していた、
クラウドワークスからの相談とは違う案件。
今回の募集は
都内の創作レストランのMeta広告バナー制作。
FacebookやInstagramに
出す広告を作る仕事だ。
創作レストランのバナー。
これは作ってみたい。
写真の見せ方、
文字の入れ方、
食欲が出る色。
販促経験も活かせそう。
ただ、最近の私は知っている。
「案件の面談です」と始まったのに、
途中から別の方向へ進んでいく
世界があることを。
だから今回は心の中で静かに祈っていた。
今度こそ。。。
Google MeetのURL、いつ来るんやろ問題
面談当日。
時間は決まっているのに、
Google MeetのURLが来ない。
URLはどこに届く?
カメラは映る?
マイクは大丈夫?
そして何より——
背景、大丈夫か?
15分前、
ようやくURLが届いた。
後ろを見ると、
旦那の寝室の布団が見えている。
まずい。
急いで整えてから
Google Meetに入ると
以前設定したきれいな部屋の背景が
そのまま残っていた。
よかった。
旦那の寝室は映っていない。
……さっき布団を整えた時間は
何だったのか。
まあいい。
現実の部屋も、画面の中の部屋も整った。
面談を受ける環境だけは完璧である。
画面の向こう側はノマド感満載だった
相手は30代くらいの女性。
背景は南国リゾート風で、
花、白い家、海のような景色。
ご本人も華やかなワンピース姿で、
落ち着いた優しそうな方だった。
画面全体から漂う、
「ノマドワーカーです」感。

女性は丁寧に自己紹介してくれた。
会社員を辞めて独立したこと。
いろいろな国を移動しながら働いていること。
一人では案件を抱えきれなくなり、
今回バナー制作者を募集したこと。
正直、すてきだと思った。
画面の向こう側はノマド感。
こちらはバーチャル背景のきれいな部屋。
現実では旦那の寝室。
——ノマドへの道のりは、まだまだ遠い。
今回のお店は、
都内で数年前から営業している飲食店
最近、
新規客が取れなくなり、
ホームページとMeta広告で
集客を試みるという。
女性の説明には、
マーケティング用語が
次々と出てきた。
初期設定を考え抜くことが大切
SNSを使う目的
Meta広告は冒頭2秒
他店との差別化も必要
なるほど、
かなり戦略的に
考えているんやな。
と思った。
特に
Meta広告は冒頭2秒で決まる
には勢いがある。
私のGoogle Meetも
開始2秒で旦那の寝室が
映っていたら終わっていた。
バーチャル背景を設定しておいて、
本当によかった。
「一定以上のクオリティ」に心を持っていかれる
今回の募集には多くの応募があり、
その中から10名ほどに
絞ったらしい…
「一定以上のクオリティの方だけにご連絡しています」
……一定以上のクオリティ。
この言葉、初心者には効く。
私は55歳でWebデザインを学び始めた、
初受注の手取りは367円。
修正に追われ、
時給を計算したら涙が出そうな案件だった。
それでもバナーを作り、
デイトラでLPをトレースし、
少しずつ応募してきた。
そんな私に、
「一定以上のクオリティ」
である。
あれ?私、
ちゃんと見てもらえてる?
心のガードが、少しゆるんだ。
「あなたは選ばれました」系の言葉は
初心者の心に怖いくらいスッと入ってくる。
制作指示は「食欲が出る感じ」
という名の自由演技
今回はコンペ形式でバナーを1枚作り
その中から選ぶという。
ここで私のセンサーが小さく鳴った。
……ピコン。
あれ。コンペ形式?
採用されなかった場合は?
制作物は使われる?
バナーの素材や
条件を聞いてみた。
返ってきた答えはこうだった。
・素材はフリー素材、提供なし
・イメージカラーなし
・AI使用可(ただし全部AIっぽいのはNG)
・食欲が出る感じ
——食欲が出る感じ。
分かる。
分かるけど、広い
「お店の名前やロゴは入れなくていいですか?」
と聞くと、
「入れなくて大丈夫です。
Meta広告って、
あまり店名を出さないじゃないですか」
……さっき
「他店との差別化が大切」
と聞いた気がする。
でも肝心のお店の情報がない。
初期設定を考え抜く。
メンタルモデルを作る。
冒頭2秒で決める。
そして制作指示は
「食欲が出る感じ」
急に余白が広い
これは、
なかなかの自由演技やで。
「Canvaは3年」に、
なぜか深くうなずかれる
私も自己紹介をした。
小売・流通業で
販促やPOP制作に関わってきたこと
現在はFigmaとCanvaで
バナーを作っていること。
「Canvaは3年くらい触っています」と
伝えると、女性がものすごくうなずいた。
なぜ?
「Figmaは現在勉強中です」よりも、
「Canvaは3年」への反応が大きい。
Canva歴に応じて、
ノマドへの入国審査が通りやすくなるのだろうか。
理由は分からない。
ただ、
とても深くうなずいていた。
「ここまでできたら、何でもできそうですね」
ポートフォリオを見ながら、
女性がこう言った。
「ここまでできたら、何でもできそうですね」
「いえ、実績が少ないので、そこが弱いんですよね」
と正直に答えると、
「もっと自信を持たれたらいいと思いますよ」と返ってきた。
一定以上のクオリティ。
何でもできそう。
もっと自信を持って。
ありがたい言葉が次々に飛んでくる。
55歳、
Webデザイン初心者。
褒め言葉を受け取る体勢が、
まだ整っていない。
さっき整えたのは布団だけである。
でも、うれしかった。
もっと自信を持っても
いいのかもしれない。。。
もっと自信を持ってもいい。。。
そう思いかけた、そのときだった。
「YUKIさん、集客に興味はないですか?」
……集客?
話の進行方向が、
少し変わった。
その女性自身もフリーランスになって
最初の3か月は案件が取れなかったが
あるセミナーを受けてとてもよかったという…
「私が受けたセミナーなんですけど、
よかったら聞いてみますか?
もちろん無料です。」
出た。セミナー。
さっきまで
「もっと自信を持って」
と言ってもらい、
心がほんのり温かくなっていた。
その直後にセミナーである。。。
私のセンサーが、もう一度鳴った。
……ピコン。
あれ?
今、何の面談してたっけ。
ぬるま湯だと思ったら熱湯だった
集客系の無料セミナーには私も
何度か参加したことがあると伝えると、
女性は急に興味津々になった。
「どこのセミナーですか?」
いくつか名前を挙げると
あるデザインスクールについて聞かれた。
「ぬるま湯デザイン興味あるんです、どうでしたか?」
私は正直に答えた。
「ぬるま湯は、熱湯って感じでしたw」
女性は「え?」という顔をしていた。
そりゃそうだ。
ぬるま湯なのに熱湯。
内容は、
「待っていても仕事は来ません!」
「自分から泥臭く案件取りに行きましょう!」
という、かなり現実的なものだった。
しかも費用は50万円以上。
私にとっては熱湯どころか、
源泉かけ流しである。
私はそっと画面を閉じた。
創作レストランのバナーから、
突然「1億」の話へ
紹介されたセミナーは、
某番組〇〇の虎に出ているとある社長が関わり、
LPで年間1億円以上の売上を出しているという。
すごい。
すごいけど、
う~ん。。。
急に数字がデカい。
さっきまで
都内の飲食店に
新規客を呼ぶ話だったのに
突然1億円が登場した。
私の頭の中では
料理の湯気と1億円が
同時に浮かんでいた
話のジャンプ力がすごい。
そして面談の最後
女性からこう言われた。
「クラウドワークスだと応募が多く
質問が埋もれてしまうので、
できればLINEでやり取りしたいです」
は?……またLINEかい。
クラウドワークスの面談
最終的にLINEへ着地する率が高すぎる。
もはや空港である。
どこから出発しても
最後はLINE空港に到着する。。。
今回の面談、まとめると
都内飲食店のMeta広告バナー制作
↓
冒頭2秒とメンタルモデルの話
↓
「一定以上のクオリティ」「何でもできそう」「もっと自信を持って」
↓
「集客に興味はないですか?」
↓
無料セミナー → 年間1億円のLP
↓
LINEでやり取りしましょう
なかなか忙しいw
もちろん、
相手が悪い人だと断定するつもりはない。
ポートフォリオを見てくれたことも、
励ましてもらった言葉もうれしかった。
でも、「いい人そう」と
「安全な案件」
は別である。
ここは混ぜないようにしたい。
それでも、
バナーは精いっぱい作ってみる
コンペで選ばれなくても
ポートフォリオに掲載してよいとのこと。
それなら、
作ったものが完全に
無駄になるわけではない。
そりゃあ、
案件に選ばれればうれしい。
でも選ばれなくても、
自分の作品として残せる。
「ここまでできたら、何でもできそうですね」
せっかくそう言ってもらったのだから、
その言葉を少しだけ信じてみよう。
「食欲が出る感じ」という名の自由演技、
受けて立とうではないか。
初期設定を考え抜く
他店との差別化を考える
そして冒頭2秒で心をつかむ。
店名も素材も文言もないけれど、
これまでの販促経験と今勉強している
デザインを全部出してみる。
ならば私は、
その2秒で誰かのお腹をすかせる
バナーを作ってみたい。
今日の学び。
ノマドワーカーへの道は、
海外の海より先に、
LINEの波をかき分けるところから始まるらしい。
