55歳、初受注367円案件の面談へ。継続か、単価交渉か、まさかの地雷か。
クラウドワークスで、初めて案件を受注した。
報酬、367円。制作物は4枚。
冷静に計算すると、1枚あたり約92円。
……駄菓子かな?
いや、完全に駄菓子クラスである。
うまい棒換算で考えてしまうレベルである。
でも笑ってはいけない。
これが私の、初めての受注だった。
応募しても返事が来ない。スカウトが来ても怪しい。
案件を見ても「Illustrator必須」でそっと閉じる。
そんな日々の中で、初めて自分の作ったものを納品した。
「ゼロじゃなくなった」——その事実だけで、少しだけ景色が変わった気がした。
しかもありがたいことに、★5の評価をいただいた。
たった1件、367円、でも★5。これがその後の動きにつながったのかもしれない。
「この人、本当に納品するんや」
「一応、ちゃんとやり取りできるんや」
「367円でも逃げなかったんや」
……最後のやつは別の評価軸で見てほしいが。
そして、その初受注案件のクライアントさんからの面談依頼がきていた
普通なら「継続のお話かな♪」と胸が弾む場面かもしれない。
…でも私は知っている。
面談というものが、いつも想定通りに進むとは限らないことを。
以前の別案件の面談で、私はデザインの仕事の話をするつもりで参加した。依頼内容は何か、納期はいつか、デザインの方向性はどうか
——そんな話をすると思っていた。
ところが気づけば、私の人生の棚卸しが始まっていた。
これまで何をしてきたか。なぜWebデザインを始めたのか。今後どうなりたいのか。
画面越しに、私の人生年表が勝手に開かれていく。
「……え、これ何の時間?」
仕事のすり合わせなのか、人生相談なのか、よく分からない空間にいた。
その日から私は、"面談"という言葉を少し警戒するようになった。
そしてその相手から届いていたひとこと。
「お人柄を見たい」
出た。
一見やわらかい。丁寧で、感じがいい。
でも人生棚卸し面談を経験した私には、このワードが少し光って見える。
仕事をお願いする側が人柄を確認したいのは分かる。
連絡が丁寧か、納期を守れるか——それは当然だ。
でも、「お人柄」が入口になって、
またプライベートまで根掘り葉掘り聞かれる展開になったらどうしよう。
いや、落ち着け。今日は準備がある。
話しすぎないこと。
これを心に決めている。
自己紹介はこう言う。
「現在はフリーランスとして、SNS投稿画像やバナー制作をしています」
「何年くらいされているんですか?」と聞かれたら、
「デザイン案件として本格的に受け始めたのは今年からですが、
前職では小売業で販促や売場づくりに長く関わっていました」
嘘はない。
でも弱くも見せすぎない。
Figma歴は浅くても、20年以上
「どう見せたら伝わるか」「どう並べたら目に留まるか」を
現場で積んできた。
売場、POP、チラシ、お客様の目線、数字につなげる見せ方——これは私の武器だ。ここを自分でちゃんと認めてあげないといけない。
そしてもうひとつ、今日の最大の山場がある。
もし「前回と同じ条件で継続をお願いします」と言われたら。
前回と同じ条件。つまり、4枚で367円。1枚、約92円。
……電卓が泣いている。
初回はテスト案件としてありがたかった。経験になったし、★5もいただけた。本当に感謝している。でも継続となれば、話は別だ。
だから今日は、こう言う。
「前回はテスト案件として対応させていただきましたが、継続の場合は作業範囲に応じて、報酬面も改めてご相談させていただければと思います」
大人。非常に大人。
心の中では「4枚367円はさすがに白目案件です」と思っていても、口から出す言葉は大人でいく。
その場で判断に迷ったら、「一度内容を整理して、クラウドワークス上でお返事させていただきます」。
この一文を持っておけば、たぶん生きて帰れる。
ところで、実は今週もうひとつ、案件を動かしていた。
美容系バナーの案件だ。
こちらも、テスト案件。つまり——駄菓子クラス。
367円案件の教訓を胸に、私は粛々と制作し、すでに納品済みである。
「また駄菓子を納品したな」と自分でも思いながら。
でもこちらも初回はテスト、実績づくりと割り切った。
ところがこの案件、納品後に「フィードバック面談をしましょう」と言われた。
しかも、1時間。
フィードバック。
面談。
1時間。
この3つが並ぶと、なぜか背筋が伸びる。
フィードバックとは何か。修正指示なのか。それとも「実はこの方向性じゃなくて……」という話し合いなのか。まさかまた、人生年表が開かれるのか。
いや、さすがにそれはないと思いたい。
この面談は来週に控えている。つまり今日の面談が終わっても
私の面談週間はまだ終わらない。
そして、さらに恐ろしいことを言う。。。
明日も、面談がある。
YouTubeサムネイルの案件だ。
こちらは、まだ何も作っていない。
完全にこれから見られる側。話してみて「今回は見送りで」となる可能性も十分ある。面談のお願いが来たからといって、採用確定ではないのだ。
整理しよう。
今日:367円案件の継続面談。単価交渉の入口。お人柄確認あり。地雷の可能性も排除できない。
明日:YouTubeサムネイル面談。何も作っていない状態で審査される。
来週:美容系バナーの1時間フィードバック面談。駄菓子案件の事後検証。
崖が、3本ある。
少し前まで無風だったのに、今はなぜか崖の上を歩いている気分である。しかも1本じゃなく、3本同時。
デザインの勉強をしているはずが、気づけばフリーランスの社会勉強まで始まっている。面談のお願いが来たからといって、採用確定ではない。継続の話が出たからといって、条件が良いとは限らない。「お人柄を見たい」と言われたからといって、人生を丸ごと提出する必要もない。
全部、この数週間で学んだことだ。
まずは今日。
367円で4枚作った女が、継続の入口に立つ。
継続か、単価交渉か、それとも——まさかの地雷か。
結果は次回。たぶん私は、
面談後にまた白目をむきながら記事を書くと思う。
果たして、生きて帰れるのか。
続きは、また書く。
きっと書かずにはいられないと思うので。
