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風呂キャンセル界隈の王

前回の続きはこちら↑から


朝露がカリッカリに凍ったマット

相変わらず野宿生活を続けている。
というかそれ以外に選択肢がない。
ネブラスカ州に入ったのが10月の16日。日中は気温が20℃前後に気温が上がって過ごしやすいのに、夜は0度近くになるので本当に寒い。朝と夜の寒暖差がDV男の機嫌の変化ぐらい激しい。

ずっとこれまでマットと寝袋と、虫が多い時はそこにプラスで蚊帳のみというスタイルで寝てたんだけど、こないだ朝起きて(というか寒すぎて目が覚めて)マットと寝袋カバーがカリッカリに凍っていたのを機に、ついにバッグの奥底に眠らせておいたテントとダウンジャケット&パンツを引っ張り出した。

あなたが最後に太陽に感謝したのはいつですか?
僕はここのところ毎日です。
朝、東から昇る太陽に向かって「待ってました!ありがとう!」と、夕方には橙に染まる西の空に向かって「行かないでぇ!俺も連れてってぇ!」と叫んでいます。
ただその沈みゆく太陽が、今度は新しい朝を告げながら遥か西にある日本の人達を温めに行くんだなぁと想像すると、なんだかとてもエモい感じになります。

本当にありがとう太陽。昔の人が太陽を神として崇め奉っていたのが今ならよく理解できる。
そんな日々。

濡れたマット類を昼メシ中に乾かしているところ
次の日からはテント泊。
ペラッペラの布なのに全然暖かい、テントすごい。

テントについては設営と撤収がちょっとめんどくさいだけで、やっぱりあるのとないのとでは快適さが全然違う。


ティムさん

ブレイディという村を通り過ぎたところで反対車線から来たサイクリストに遭遇。
アメリカ西海岸オレゴン州から東に向かって進んでいるというカナダ人のティムさん。実は俺もアメリカでは本名を少しもじって自らをTim(ティム)と名乗っているので、おぉ!俺もだよ!!と興奮した。

ティムさんはだいぶ変人だった。
ピンクのイルカのぬいぐるみ(ジュディと呼んでいるらしい)を、道中で拾ったという鹿の角と一緒にハンドルの前に括り付けていて、もうそこについてはファーストコンタクト以降は触れないようにした。なんだか怖かったので。
ただ間違いなく良い人ではあった。
お互いこれまでの道路状況や野宿場所等の情報交換をして、向かい風が強いことを愚痴ったら「明日以降は風弱くなるっぽいよ!」と励ましてくれて、最後はお互いの旅の安全を祈ってグータッチでお別れ。

目指すところは違えど、"同志"に出会えることほど心強いことはない。


ガンマンの看板
なんだか西部劇っぽい

ネブラスカ州も終わりに差し掛かり、アメリカをスパーンと半分に分けた場合の「西側」にいよいよ突入した。
オガラーラという町。
風景も町並みもまさに西部劇のような雰囲気になってきた。



コロラド州!

そして次の日、待ちに待ったコロラド州に到達。
いまのところ言うほどカラフルではない。
見渡す限り黄土色と緑ばっかり。

パンク修理中

コロラド突入に歓喜していたのも束の間、記念写真を撮った直後に後輪がパンクした。
なんでこの嬉しいタイミングで!!?!!??

幸いにもジュールズバーグという小さい町だったので、なんとかスーパーの駐車場まで進んでトイレの水道を借りつつ修理をした。
(チューブに空いた穴の場所を特定するのにある程度の水が必要なのと、手がアホみたいに汚れるので水道があると超嬉しい。)

トロントを出発して1ヶ月半が過ぎて、4000kmちょい漕いで、ついに来たか…という感じ。

前後輪のタイヤの摩耗具合の違い
左:前輪 右:後輪

荷物がある分やっぱり後輪に重心が偏ってしまうので、後輪タイヤの摩耗がどうしても早くなってしまう。
ということで超めんどくさかったけど前後輪のタイヤ交換もまとめてやってしまった。

修理前には不貞腐れながらアイスを買って食べた

相変わらずの大平原だけど…

ネブラスカ州以前も同じような大平原を進んできたけど、コロラド州に入ってからはなんとなく大地にみずみずしさがなくて「荒野」感が強いというか、言い方は良くないかもしれないけどあまり生命力が感じられない。
そんでもって人も車も町(村、集落)も数が激減した、気がする。
違う惑星に来たんか?と錯覚するくらい。

アメリカの人口は東側に集中しているらしいけど、こうもあからさまに体感できるほどだとは思っていなかった。
あとは前回の記事でも少し触れたプレーリー(東)とグレートプレーンズ(西)について、これもたぶん降水量が少ない西側の「大地のみずみずしさ」というところでクッキリと表れているんじゃないかと思った。

クルックという町
ロックダウン中?と思うくらい人がいない
メインストリート
右側の郵便局以外は廃墟

センターピボット方式のやつや!

ただちゃんと農業は行われているようで、超巨大な灌漑設備をそこら中でよく目にする。
乾燥地帯特有のセンターピボット方式、初めて生で見た時は嬉しくて思わず声が出た。


ロッキー山脈が見えてきた時は本気で叫んだ

そして本日10月27日(書いてる途中で日付を跨いでしまったけど)、ついに眼前にはロッキー山脈が見えてきた。
目指すボルダーの街までもう一歩。

今はその50kmくらい手前、ハドソンという町のガソリンスタンドに併設されている24時間営業のファストフード店でこの記事を書いている。
店員と利用客の「なんだコイツ…」の眼差しに耐えながら今日はここで夜を明かすつもりだ。

シャワーが併設されている神ガソリンスタンド

ここに来た目的はただ一つ。シャワーだ。
汚すぎる身なりでボルダーにいる先輩に挨拶に伺うのは神経図太人間でお馴染みの俺でも流石に気が引けるので、安くシャワーだけでも浴びれる施設がないかと探し、良さげなガソリンスタンドの情報を事前に入手していたのである。それでもシャワー1回で18ドル(3000円弱)もして本気で泣きそうになったけど。

涼しくなってあまり汗をかかなくなったとはいえ、ネブラスカ州オマハでお世話になったBenさんのお宅から数えて10日もシャワーを浴びていないのは、少し前に流行った「風呂キャンセル界隈」でも上位何%かに食い込める域だと思う。
そんな身体と下着からは少しだけ、ほんの少しだけファンタスティックな香りが漂っていた。言っとくけどほんの少しだけだから。一応身体は毎日拭いたりしてたから。

にしても10日ぶりのシャワーはまさに至高そのものだった。
シャンプーなんて3回もしちゃったもんね。
風呂キャンセルあるある、久々にシャンプーしたら泡立たなすぎ。そしてキャンセル期間に抜けた髪の毛が蓄積されまくっていて排水溝が一撃で詰まりがち。
(あまりのボリュームに感動してゴッソリ詰まった髪の毛の写真も撮ったんですが、ぜひ見たいよという方がいれば個別で送ります。)

現在の景色

そんなこんなでnoteの記事がリアルタイムに追いついた、大変喜ばしい。この場所で寝て起きたら明日はちょっと漕いで、念願のボルダーに到着。大変喜ばしい。

シカゴ出発から20日、1800km以上の長かった行程がようやく終わる。
一つの場所に連泊せずに毎日連続で漕ぎ続けたのはこれが今までの人生で最長かもしれない。
ボルダーとデンバーではビールをしこたま飲んでやろうと決めている。
おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

道中立ち寄ったウォルマート
噂どおり銃が販売されてて感動した

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