【VOL.50】避難しやすい家のつくり方─玄関・階段・収納の安全動線チェック
こんにちは、W&B companyです。
はじめに|ハザードマップを見た次に「家の中」を確認しませんか?
以前投稿しました、【VOL.44】ハザードマップを"使いこなす"ための3つのポイント|週末30分でできる「防災散歩」のすすめは、ハザードマップや避難ルートの確認(家の外)の話でした。
でも実際の避難は、「家の中から玄関まで」数メートルを抜けるところから始まります。
災害時は焦り・停電・揺れ・雨で、普段よりも足元が不安定になりやすい状況が重なります。
そして家庭内の不慮の事故では、転倒・転落が大きな割合を占め、階段や段差のある玄関周りはリスクが高い場所として挙げられています。
(厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」/消費者庁関連調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html)
つまり「避難動線が詰まる家」は、避難が遅れるだけでなく、ケガにつながる可能性も高まりやすい、という見方ができます。
この記事の結論はシンプルです。
安全な避難は「広い・新しい」よりも、動線の整理(物理的な詰まりを消す)と視認性(暗闇でも迷わない)で決まる傾向があります。
ここからは、家の中でつまずきやすい3つのポイント
1)玄関・階段
2)収納
3)照明
を、チェックリスト形式で整理します。



新築の方も、今の家を整えたい方も、同じ考え方で使えます。
注: 2025年建築基準法改正により、防火・避難規制が見直され、避難動線基準が強化されました。
第1章:【玄関・階段】避難を遅らせる「物理的な詰まり」を解消する
結論
玄関と階段は、「通れる幅」と「引っかかる物ゼロ」が最優先と考えられます。
避難時に一瞬でも詰まると、家族の動きが連鎖して止まりやすくなります。
理由
玄関は"出口"であり、階段は"縦移動のボトルネック"です。
ふだんは問題ない「ちょい置き」や「一時置き」も、揺れで散乱したり、暗闇で認識できなかったりすると、避難の妨げになりやすくなります。
データ・具体例
住宅性能表示制度の「高齢者等配慮対策」では、移動の安全性として通路幅の目安(原則750mm〜900mm以上)や、階段の踏面150mm以上・蹴上げ220mm以下、手すりの設置などが基準として示されています。
(国土交通省「日本住宅性能表示基準」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000016.html)
等級7・8創設により、省エネと防災の統合が強化されています。
(2025年12月施行)
これは介護のためだけでなく、災害時の"転倒しにくさ"や"すれ違える余裕"にもつながる考え方です。
たとえば、こんな状態は注意が必要です。
玄関に靴・段ボール・ベビーカーが常に出ている
ドアを開けた先に物があり、全開できない
階段の下や踊り場が「収納代わり」になっている
手すりがぐらついている(固定の緩み)
階段の角に物が飛び出している(掃除道具・子どもの玩具など)


まとめ
玄関と階段は「きれいに見せる」より、避難時に"迷わず通れる"状態が価値につながります。
まずは通路の床に置いてある物を一つ減らすところからで大丈夫です。
第2章:【収納】「避難経路」を物置にしないためのルール
結論
避難動線上の収納は、"倒れない・落ちない・飛び出さない"が基本と考えられます。
廊下や階段の近くほど、収納の置き方・固定が重要と考えられます。
理由
地震などで家具が転倒・移動すると、出口や通路がふさがれることがあります。
また、扉が開いて通路側に出るだけでも、狭い場所では動線が一気に困難になりやすくなります。
データ・具体例
よくある「動線を止める収納パターン」
廊下に背の高い棚を置いている(固定が弱い)
階段付近にオープン棚・本棚がある(落下・飛散のリスク)
玄関収納の扉が開く方向が、避難の通り道にかぶる
収納から物がはみ出している(ハンガー、バッグ、掃除道具)
"仮置きスペース"が定まらず、床置きが増える
改善の考え方(新築でもリフォームでも使えます)
床に置く前提を消す: 鍵・ライト・靴ベラ・防災袋などは「住所」を決める
扉の干渉を減らす: 通路にかぶる扉は、配置や開き方向を見直す
埋め込み・壁面化: 通路幅を削らない収納計画に寄せる
固定と落下防止: 動線上の家具ほど、固定の優先度を上げる


まとめ
収納は「容量」より、避難時に"通路側へ崩れない"設計が安心につながります。
まずは廊下・階段付近の背の高い家具が、しっかり固定できているかを確認してみてください。
第3章:【照明】停電した夜の「見えない恐怖」を減らす
結論
夜間避難で効くのは、明るい照明そのものよりも、足元と段差が判別できる"配置"です。
停電を前提に「自動で点く仕組み」を用意すると安心につながります。
理由
災害は昼に起きるとは限りません。
豪雨や突風の増加により、夜間でも避難判断が必要なケースが増える可能性が示されています。
(文部科学省・気象庁『日本の気候変動2025』https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html)
暗闇では、玄関の段差・階段の段板・廊下の曲がり角が一気に危険ポイントになりやすい傾向があります。
データ・具体例
「足元が見える」をつくる具体策
玄関: 上から照らすだけでなく、段差と床面が分かる光を足す
階段: 上と下だけでなく、段板が判別できる位置に光を置く
廊下: 曲がり角・トイレ前・寝室から玄関へ抜けるラインに、夜間の目印をつくる
停電時: 自動点灯や蓄光など、スイッチ操作が要らない考え方に寄せる


まとめ
照明はインテリアであると同時に、非常時の"道しるべ"にもなります。
家族が寝ている時間帯にこそ、足元の見え方を一度確認しておく価値があります。
よくある勘違い|「玄関が広い=避難しやすい」とは限らない
玄関が広くても、床に物が置かれていたり、扉の開きが動線にかぶっていたり、暗くて段差が見えなかったりすると、避難が困難になりやすくなります。
広さよりも、"通れる床"が確保され、迷いにくい配置になっているかがポイントです。
まとめ|今日からできる「安全動線」チェックリスト
最後に、家族で共有しやすい形にまとめます。週末15分でも進みます。
安全動線チェック(玄関・階段・収納・照明)
A. 玄関
玄関〜廊下の床に、常設の物がない
玄関ドアが物に当たらず開けられる
靴・カバン・鍵・防災袋の「置き場所」が決まっている
B. 階段
手すりのぐらつきがない
段板の端や角に、物が飛び出していない
階段まわりが"物置化"していない
C. 収納(廊下・階段付近)
背の高い家具が固定できている
通路側に倒れそうな置き方になっていない
扉が通路をふさぎにくい配置になっている
D. 照明(夜間)
寝室から玄関まで、足元と段差が判別できる
暗い曲がり角に「目印」がある
停電時を想定し、スイッチ不要の明かりを考えられている
今日のアクション(小さくでOK)
1)家族で「寝室→玄関」をゆっくり歩いてみる(夜の想定で)
2)階段手すりの固定を点検する
3)通路の床置きを"ひとつだけ"減らす
一度で完璧にする必要はありません。
少しずつ「詰まり」を減らしていくほど、いざという時の動きやすさが上がっていく可能性が高まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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