【VOL.57】家が壊れなくても暮らせない?|災害後の「機能停止時間」を考える備え方
こんにちは、W&B companyです。
災害への備えというと、「耐震」をまず思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、家が倒れないことはとても大切です。
ただ、最近はもう一歩先の不安が増えています。
それは、「家が無事でも、生活が止まる」という問題です。


建物が無事でも、暮らせなくなる理由
たとえば、停電・断水・通信の不具合が重なると、家そのものが壊れていなくても、暮らしは一気に苦しくなります。
政府の想定では、大規模地震のとき、
電力は1週間以上
上水道・ガスは1か月以上
復旧にかかる可能性が示されています。
(出典:内閣府「防災基本計画」2024年修正版)
だからこそ、これからの備えは、
「耐震」+「何日で暮らしを戻せるか(機能停止時間)」
この2つをセットで考えるのが現実的です。
まずは「何日までなら大丈夫か」を決める
災害時の備えは、モノを増やすほど正解に近づく...というより、「優先順位が決まらず、迷って止まる」ことが多いです。
そこでおすすめしたいのが、発想を逆にする方法です。
何日くらいなら生活(または仕事)できそうか
その期間、止めたくないことは何か
それを支えるものは何か(電気・水・通信・物流)
この順で考えると、「やること」が自然に絞れます。




生活が止まる原因は、実は構造以外に多い
耐震が十分でも、困る場面はこういう形で起こります。
① 停電
照明だけでなく、給湯・調理・スマホ充電・防犯なども影響を受けます。
② 断水
飲み水以上に「トイレ・手洗い」など衛生面が大きな壁になります。
③ 通信の不具合
家族との連絡、情報収集、支援依頼が遅れてしまいます。
④ 物流の停止
燃料や消耗品が入らず、想定より長引くことがあります。
つまり、家づくりの議論は「守る」だけで終わらず、「止まりにくくする工夫(継続性)」まで設計に入ってきます。
「3つの時間設計」:電気・水・通信を"何日"で考える
ここからは、考え方の順番としてまとめます。
① エネルギー(電気)の時間設計:何を、何日動かす?
ポイントは「全部」ではなく、最低限の暮らしに絞ることです。
例えば:
夜の照明
スマホ・情報機器の充電
冷蔵庫(食品・薬)
最低限の冷暖房(季節による)
そして「何日分ほしいか」を決めてから、手段を検討します。
(蓄電池、車からの給電、回路の分け方 など)
② 水の時間設計:飲み水より先に"衛生"を守る
断水が長引くと、真っ先に困るのは衛生です。
ここで大事なのは、水を2種類に分けて考えることです。
飲む水(飲用)
トイレ・手洗いなどに使える水(生活用)
この分け方をすると、備えの自由度が上がります。
(生活用は「質」より「量」と「使い方」が効くためです)
③ 通信の時間設計:情報の孤立を避ける
災害時は「情報がないこと」自体が不安を大きくします。
考える順番はシンプルです。
連絡に必要な手段は何か(家族・職場・支援先)
1つ止まっても代わりがあるか(冗長性)
誰が何をするか(ルール化)
通信の役割は、公的資料でも整理されています。
(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)




よくある誤解
「耐震を上げれば、災害後も普通に暮らせる」
耐震はとても大切です。
ただ、外部インフラが止まると、家が無事でも生活に問題が発生します。
だからこそ、耐震の議論に「日数(時間設計)」を重ねることが、現実的な備えになります。
チェックリスト(検討のたたき台)
✓ 停電時に「残したいこと」は何ですか?(照明/充電/冷蔵庫など)
✓ それは何日分ほしいですか?(1日/3日/1週間など)
✓ 断水時に、トイレ・手洗いをどう回しますか?
✓ 飲用と生活用で、水の備えを分けて考えていますか?
✓ 連絡手段は1つ止まっても代わりがありますか?
✓ 家族で「誰が何をするか」を決めていますか?
✓ 備えの費用と、止まった時の負担(避難・休業など)を比べましたか?
出典(本文内で参照した一次情報)
内閣府「防災基本計画」(2024年修正版)
https://www.bousai.go.jp/taisaku/keikaku/kihon.html総務省「令和6年版 情報通信白書(災害時における情報通信の役割)」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd131210.html国土交通省「住宅のレジリエンス向上に向けた方策について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000188.html
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
この記事が参考になりましたら幸いです。
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