【組織のAI活用#174】AI導入の「温度差」を解消して、プロジェクトを動かすための体制づくり
こんにちは!寺田です。
現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
ここ最近、AI導入の相談をいただく中で、技術的な課題よりも「人の意識のズレ」が壁になっていると感じることが増えました。 同じ会社の中にいても、AIに対して前向きな人と、そうでない人の間には大きな溝があります。 この温度差を無視したままツールだけを導入しても、なかなか現場には浸透していきません。
せっかくの新しい技術も、使う側の足並みが揃わなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。 特に、経営層と現場、あるいは部署間での認識のズレは、プロジェクトを止めてしまう大きな原因になります。 このギャップをどう埋めて、誰が何をすべきかを明確にする必要があります。
ということで、今回は社内の温度差をどう整え、推進者がどのような範囲を把握すべきなのかについて、書いていこうと思います。
立場や職種によって「AIに対する気持ち」がバラバラになる現実
社内を見渡すと、レイヤーや職種によってAIに対する捉え方が全く違うことに気づきます。 経営層は「生産性を上げてほしい」と期待し、現場は「今の仕事がどう変わるのか」と不安を感じています。 また、技術に詳しい部署とそうでない部署では、AIでできることの解釈にも大きな差があるのが普通です。
この「温度感の差」が、プロジェクトのいたるところで摩擦を生んでしまいます。 例えば、営業部門では「便利だ」と喜ばれても、管理部門では「リスクが怖い」とブレーキがかかる。 イメージとしては、みんなで旅行に行こうとしているのに、行き先も移動手段もバラバラの意見が出ているような状態です。
こうした状況を放置すると、一部の詳しい人だけが盛り上がり、他の人は置いてけぼりになります。 結果的に、組織全体としての活用が進まず、導入コストだけがかさんでいくことになりかねません。 まずは、この「ズレ」が起きていることを前提に、対策を考える必要があります。
推進者が「誰がどこまでやるか」の範囲を正しく把握する
こうしたバラバラの意識を一つにまとめるには、推進する人が全体像をしっかり把握することが重要です。 単に「AIを使いましょう」と言うだけでなく、それぞれの部署が「どこまでを担当するのか」という範囲を明確にします。 誰がルールを決め、誰がデータを整え、誰が実務で使うのか、という役割分担を整理するわけです。
イメージとしては、パズルのピースをどこにはめるかを、指揮者が一人ずつに示していくような作業です。 AIには使いやすい部分と使いづらい部分が混在しており、現場に丸投げしても判断がつきません。 だからこそ、推進する人が現場の状況を正しく言葉にして、経営層に伝える役割を担わなければなりません。
一言でいうと、お互いの「期待値」を調整し続けることが、推進者の最も大切な仕事です。 経営層が求める成果と、現場が実際にできることの折り合いをつけ、具体的なステップを示す。 この範囲設定がしっかりとできていれば、情報の伝言ゲームによるミスも防ぐことができるのではないでしょうか。
経営層の責任と「通訳」となる専門組織の設置
そのうえで、組織として本腰を入れて動くための体制を整えることが不可欠です。 一つ目は、経営層や決済権を持つ人が、AI推進の責任を直接担うようにすることです。 「現場でいい感じにやっておいて」という丸投げを卒業し、役員自らが推進に携わる姿勢を見せます。
二つ目は、AI推進室などの専門組織を設置し、経営と現場の「通訳」を置くことです。 この組織は、最新の技術を追うだけでなく、両者の間に立ってコミュニケーションを円滑にする役割を持ちます。 現場の困りごとを経営がわかる数字に変え、経営の狙いを現場が動ける指示に変えていくわけです。
つまり、リーダーの覚悟と、情報を正しく繋ぐ仕組みの両輪が必要だということです。 単にニュースを見て指示を出すのではなく、組織としてどう向き合うかを定義すること。 それこそが、情報格差を埋め、プロジェクトを確実に形にするための近道ではないかなと考えています。
組織のコミュニケーションを整えて、AI活用を次のステップへ
AIの導入を成功させるには、技術の選定よりも先に、組織の「話し合い方」を見直す必要があります。 まずは、社内の各部署でAIに対してどのような温度差があるのかを、改めて確認してみてください。 そのうえで、誰がどこまでやるのかという範囲を、推進者が責任を持って整理することが大切です。
一言でいうと、AIはツールですが、それを活かせるかどうかは組織の連携次第です。 情報の底上げを個人の努力に任せず、チームとして現状を共有する場を習慣にしていくのがいいんじゃないかなと思っています。
まだ推進者や推進組織がない場合は、まずはそこの設置から進めてみてはいかがでしょうか。
読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです!
ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。
<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。
現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任
