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退職所得控除の「10年ルール」は無関係。でも企業型DCの出口には、自分の答えがあった

退職所得控除の「10年ルール」が、少し前から資産形成の界隈で話題になっている。
「知らないと数十万円損する」といった見出しを見かける。

2026年1月から始まった制度改正で、iDeCoや企業型DC(確定拠出年金)と退職金の「受け取り方」で税金が変わる、という話だ。

自分も企業型DCを持っている。
他人事ではないと思い、調べてみた。

こんにちは、hachiです。

42歳・貯金ゼロから投資を始めて8年目、55歳でのサイドFIREを目指して発信している。

結論から言うと、この10年ルールは自分にはあまり関係がなかった。
でも調べていくうちに、自分の「出口の税金」について課題が見えてきた。

その話を書いてみる。


そもそも「10年ルール」とは

まず制度の話を簡単に。
とはいえ以下は自分が調べた範囲の理解なので、正確な適用は国税庁の情報や個別のケースで確認してほしい。

退職金やDCの一時金には「退職所得控除」という大きな非課税枠がある。
勤続年数(DCなら加入年数)が長いほど、枠が増える仕組みだ。

  • 20年以下:40万円 × 年数

  • 20年超:800万円 + 70万円 ×(年数−20)

問題になるのは、退職金とDCを「両方」受け取る人だ。

これまでは、DCを先に受け取り、5年以上あけてから退職金を受け取れば、それぞれで控除を満額使えた(いわゆる5年ルール)。

それが2026年1月から、「10年」あけないと控除が重複調整される仕組みに変わった。
退職金を受け取る年の前年以前9年内にDCを受け取っていると、重なった期間分だけ控除が削られる。

受け取る順番と間隔を間違えると、控除を二重に使えず、税金が数十万円変わることもある。
これが「知らないと損する」と言われる理由だ。

出典: 国税庁「令和7年度税制改正」/freee「2026年施行 退職所得控除の見直し」


自分には、そもそも退職金が無い

ただ、自分の場合はすぐに「関係ないな」と分かった。

会社の退職金(退職一時金)が無いからだ。

自分は転職を5回してきた。
今の会社は、退職金の役割を企業型DCが担っている。
まとまった退職一時金が別にあるわけではない。

つまり、自分が将来受け取る一時金は、60歳のDC1回だけ。

10年ルールは、退職金とDCという「2つの一時金」の受取順と間隔の話だ。
片方(退職金)が無い自分には、順番を調整する相手がいない。

話題の制度が、自分には最初から当てはまらなかった、ということだ。

それでも念のため調べてみて思ったのは、「知らないと損する」系の話題こそ、まず「自分に当てはまるか」をとりあえずは確認した方がいい、ということだ。


受取順は関係ない。でも、税金はかかる

「関係ない」で終わらせず、せっかくなので自分のDCの出口を試算してみた。

まず、退職所得控除がいくらになるか。

自分のDCの加入期間は、42歳で始めたiDeCoを今の会社のDCに移した分を通算して、およそ13年。
退職所得控除はこう計算する。

40万円 × 13年 = 520万円

次に、60歳時点のDCの見込み額。
今の残高が約406万円。
ここにサイドFIRE予定の55歳まで毎月5.5万円を積み立て、利回りは自分がいつも使っている5%(※)で計算すると、

60歳でおよそ 1,130万円

※なぜ5%かは別記事に書いている。
自分のDCの銘柄(三井住友・DC外国株式インデックスファンドS)は直近10年こそ年18%を超えているが、今回の試算においてもその高い実績をそのまま当てにはしない、という考え方だ。

さて、ここで一時金として一括で受け取るとどうなるか。

課税対象になるのは、控除を超えた分の半分だ。

(1,130万 − 520万)× 1/2 = 305万円

これに所得税と住民税がかかって、ざっくり 約50万円

控除520万円は大きいと思っていた。
でもDCが1,130万円まで育つと、超えた分に税金がかかる。

増えるのは嬉しい。
でも出口では課税対象にもなる。
当たり前のことだけど、実際に数字にすると、その当たり前が急にリアルになった。


一時金か、年金か

DCの受け取り方には、大きく3つある。
一時金(一括)、年金(分割)、その併用だ。

受け取り方で、使える「控除の枠」が変わる。

  • 一時金 → 退職所得控除(さっきの520万円)

  • 年金 → 公的年金等控除(別の枠)

自分にとって一時金が有利な理由は、3つある。

1つ目。専用の大きな枠が使える。
退職所得控除は520万円。
1,130万円のうち、520万円まではまるまる非課税だ。

2つ目。超えた分も「半分」しか課税されない。
520万円を超えるのは610万円。
でも税金がかかるのは、その半分の305万円だけ。

3つ目。他の所得と分けて計算される(分離課税)。
給料や年金と合算されないので、税率が低く抑えられる。

ただ、念のため書いておく。
これは「退職金が無くて、年金を繰り上げて受け取る」自分の条件での話だ。
退職金がある人や、年金の受け取り方が違う人は、一時金と年金の有利・不利が逆になることもある。

一方、年金で受け取ると「公的年金等控除」を使う。
でも自分は、年金を60歳から繰り上げて受け取ると(現時点では)決めている(この話も別記事に書いた)。
その繰上げ年金で、公的年金等控除の枠は先に埋まってしまう。

そこにDCを年金で上乗せすると、枠からはみ出した分が雑所得になる。
しかも総合課税なので、他の収入と合算されて税率が上がりやすい。

まとめると、こうだ。

  • 一時金 → 専用の大きな枠・半分だけ課税・低い税率

  • 年金 → 枠は埋まっている・課税されやすい・税率も上がりやすい

自分の場合は、一時金の方が明らかにシンプルで無駄がない。
年金の枠と、退職所得の枠。
2つの控除を、別々に活かす。
なので、現時点でのDC出口戦略は一時金で受け取る方向としたい。

もちろん、これは今の制度と自分の状況での話だ。
税制は変わるし、受け取る頃には前提が違っているかもしれない。
だから受け取る前に、自分でしっかり調べるつもりでいる。


まとめ

退職所得控除の10年ルールは、話題になるだけの理由がある制度だと思う。受取順で数十万円変わる人は、実際にいる。

でも、自分には当てはまらなかった。
退職金が無いからだ。

そのかわり、自分のDCには「一時金で受け取る」という別の出口の判断があった。

制度の話題は、あくまで入り口だ。
「知らないと損する」と聞いて焦る前に、それが自分に当てはまるのか。
当てはまるなら、自分の数字だとどうなるのか。

そこまで確かめて、はじめて自分の答えになる。

出口設計を書き続けてきて、改めてそう思う。


※本記事は個人の経験と考えをまとめたもので、特定の金融商品や税務処理を推奨するものではありません。
※税金の扱いは制度改正や個人の状況によって変わります。実際の判断はご自身で確認し、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。
※投資には損失が生じる可能性があります。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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