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バックレ・トゥ・ザ・フューチャー 第9話「人」

ガイコツマークのオレの黒い車は低い音をたてて走る
すれちがうひとたちの骨が軋む音をかき消しながら走る
それを見てたひとたちが 頭の中に思い浮かべるのは
ガードレールに激突したオレの黒い車のガイコツマークが
炎に包まれてる場面

悪いひとたち - Blankey Jet City (1994, live)

5月27日(水)
起きてまず目に飛び込んでくるのがこの風景よ、もう笑うしかないやろ。数分で太陽が姿を見せてきた。もはや映えとかそういう次元ではない。目覚ましもかけてなかったけど身体が地球とチューニング合わせてきとるね。日が出たら起きて活動する、日が沈んだらちょっと酒でも飲んで寝る、人間にとって本来はそういう生活が最高なんだろう。

起床即絶景

今日もスタバカプセルでモーニングコーヒーをかまそうぜ。この味集中バルコニー、ぜいたくの極み。このシチュエーションならサグラダファミリアの外尾悦郎(2001年ネスカフェゴールドブレンドCM)にも勝てそうな気がしてくる。(ダバダ~……)あふれる香りを、(ダバダ~)ナバホの風と分かち合う。(ダバダ~ア~)違いを楽しむ人の、(ァ~~)スターバックスカプセル。うん、うまーい。

『違いを楽しむ人』
6:07 AM
6:09 AM
6:09 AM
メサニキもグッモーニン

ものの30分ぐらいで太陽パワー完全に高まってきた。昨日の夜は結局カップラーメンのこととか全く忘れてて、アイスとポテチしか食べてなくて腹ぺこ。もうちょいしたら無料の朝食会場に行ってみようか。

6:26 AM
6:39 AM
『ア〇〇日光浴』
6:45 AM

うわー玄関側もいい朝迎えてるねこれは。ホテ窓写真家の血が騒ぐぜ。廊下を昨日の逆戻り。夕食は評判悪かったので避け散歩中にアイスを買った店、その名もザ・ビュー・レストラン。ベガスを出発した朝にくらべて食欲がクリスタルガイザーのように湧き出てきている。どんだけ~!

『表側もグッモーニン』
『KIAもグッモーニン』
パンを温(ぬく)めよるあいだもこのビューよ
食欲~ pt.2

料理の列に並んでいたら、日本人家族の3~4才ぐらいの娘がわがままを言ってるかなんか知らんけどママがたいそう不機嫌になっている。夕方の日本のスーパーマーケットかよ。そうやって機嫌で相手をコントロールしようとする態度がまた次世代に受け継がれていくんだ、連綿と。ああ、白人客の前でたまに本気をチラ見させるサム・クックのように歌いたくなってきた。ダッコットンピッキンテナァァ~スィ~ワァァァ~ルツ。(綿って文字だけで脱線すな)

あの美しき あの素晴らしき
あの驚きの あの栄光の
あの 綿摘みの テネシー・ワルツ

Tennessee Waltz - Sam Cooke "at the Copa" (1964, live)
『The View Restaurantのパンぬくめビュー』
警備会社は「ルート66」の歌詞にも出てくる街
『ギャラップ、ニューメキシコ』
廊下か部屋かどっかに貼ってあった砂絵
『おれたち』

朝食バフェイ(ビュッフェの英語発音)は米以外ぜんぶおいしかったよ。おとといのホリデイ・インの3倍ぐらい食べた。空腹に勝るスパイスなしとはこのことかもしれん。昨日チェックインしたときにクーポンもらったし、お土産コーナーその名もトレーディング・ポスト(=交易所)に寄って何か買っていこう。アクセサリーとドリームキャッチャーが欲しかったけどピンとくるのがなくて、砂絵とTシャツとナバホのエンブレムマグネットを買った。レジ通すと思ってた3分の1ぐらいの値段になって、砂絵をあと何枚か買えばよかったと思った。

8:09 AM
ホテ窓写真家Boのホテ窓ブロマイド
『未来人Bo』
『味集中ぜいたくコーヒーネキ feat. メサニキ』

食堂のコーヒーを手に部屋に戻るとさっきとはまた別の世界が広がっている。名残惜しいけどそろそろ支度をして、みんなにご挨拶して帰ろう。砂絵にもナバホ太陽パワーを注ぎ込んで。

『Boの自画像』
鏡の下にあるのがさっき買った砂絵
8:47 AM
『メキシココーク最後の1本』
『318のルーム・キィ』
おれたちがきのう発明した急速冷蔵技術
『コロラド川』
『20世紀のシャワーヘッド』
『20世紀の電話機』
『See You Later』

ミトンたちとメリックさんとミッチェルニキ、またね。さよならは言わないよ。昔はこの大地の砂に絵を描いて、儀式が終わった後は消していたらしい。それをお持ち帰りできるなんてなんとありがたい。白人がやって来た後の歴史について調べているうちに、このナバホの地に惹かれている理由がだんだんわかってきた。全部は当てはまってないけど、うちの地元みたいやもん。

・女性が家長で母系社会(仕事:ラグ織り、放牧)
・男たちはアル中になった(仕事:トウモロコシの粉ひき、略奪)
・強者に翻弄された(土地を奪われたり強制移住させられたり)
・そういった歴史の後遺症に苦しまされてきた

ナバホ族はヨーロッパからやってきた白人たちに300マイル東のニュー・メキシコに強制移住させられ(ロング・ウォーク)、飢えや病気で数千人が死んだ。元の土地に戻ることを懇願し続けたナバホの人たちは数年後やっと帰還を許された。金鉱がないあまり価値のない土地じゃなかったら、今もこのあたりは白人たちのものであり続けていたはずだ。

アルコールの免疫所有の概念がなかったネイティブ・アメリカンを酒で酔わせ、法律と契約を盾にして土地を奪い破滅させるのはいとも簡単なことだっただろう。ユタ、アリゾナ、ニューメキシコの3州にまたがってナバホ・ネイション(北海道ぐらいの大きさ)という自治区になっているここでは、現在でもアルコールの販売と消費が禁じられている。

観光客がこっそり飲むくらいはお目こぼしされているらしいので、昨日は自己責任でビールとワインを飲んだけどね。もちろんゴミは全部持ち帰る。

免疫があろうがなかろうがナバホの男たちがアル中になってしまったことはよくわかる気がする。生まれたときから差別されてたり恵まれない環境で育ったりしたら現実逃避のために酒を飲むしかないからな。母方のじいちゃん(薩摩芋焼酎白波)もうちの親父(大分麦焼酎二階堂)も20代のおれ(ケンタッキー安バーボン類)も完全にアルコール中毒だったもんね。焼酎は命の水、万世一系のアル中かよ。

あと近所の親戚かなんかしらんけど中年の引きこもりおじさん(結婚してて子どももいたはず)がいて、無職でずっと自宅警備してるからたまごぬくめというまるでお洒落な妖怪みたいな名前で呼ばれていたことを思い出した。もうだいぶ前に死んでしまったよな、たまご温めおじさん。

福澤諭吉が1860年に渡米したとき、建国の父・初代大統領ワシントンの子孫は最近どうしているか人にたずねると「ようわかりません」と返答されてどえらい衝撃を受けたらしい。それから160年たっても日本では元皇族男系男子だの〇〇家の末裔だのまるで江戸時代明治時代みたいなこと言ってやがる。

お稲荷さんのご神体をそのへんで拾った石ころと入れ替えてバチが当たるか試してみる怖いもの知らずの諭吉がたまらなく好きだ。おれのバイブルのひとつ『福翁自伝』をひさびさに読み返したくなってきた。

ソレカラ一つも二つも年を取れば自(おの)ずから度胸も好くなったと見えて、年寄などの話にする神罰冥罰(しんばつみょうばつ)なんと云うことは大嘘だと独り自(みず)から信じ切て、今度は一つ稲荷様を見て遣ろうと云う野心を起して、私の養子になって居た叔父様の家の稲荷の社(やしろ)の中には何が這入って居るか知らぬと明けて見たら、石が這入て居るから、その石を打擲(うちや)って仕舞って代りの石を拾うて入れて置き、又隣家の下村と云う屋敷の稲荷様を明けて見れば、神体は何か木の札で、之も取って棄(す)てゝ仕舞い平気な顔して居ると、間もなく初午(はつうま)になって、幟(のぼり)を立てたり大鼓を叩いたり御神酒(おみき)を上げてワイ/\して居るから、私は可笑しい。「馬鹿め、乃公(おれ)の入れて置いた石に御神酒を上げて拝んでるとは面白い」と、独り嬉しがって居たと云うような訳で、幼少の時から神様が怖いだの仏様が有難いだの云うことは一寸(ちょい)ともない。

福澤諭吉『福翁自伝』 (1899)

ワイワイみたいに2文字で繰り返すとワイ/\になるのかよ。エスタブリッシュメント階級固定装置になり下がってしまった現代の慶應義塾を見たら諭吉は何を思うのだろう。下級藩士の生まれでいろいろ苦労して、身分にかかわらない「独立自尊」をかかげて作った学校だったのに。爆笑するかもね。

しかしいま気付いたけど矢沢永吉と福沢諭吉って名前そっくりやね、どっちも成りあがりもんやし。Boの世の中への怒りが止まらないHa~Haになってきたのでそろそろラスベガスに向けて出発しよう。乗ってくれ~Ha~Ha!

Baby, peace markを送るぜ この素晴らしい世界へ
きっとかわいい女の子だから きっとかわいい女の子だから

悪いひとたち - Blankey Jet City (1994, live)

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