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バックレ・トゥ・ザ・フューチャー 第10話「家」

さて、お日様のお出ましだ
俺は走ってる 幸運の女神を乗せて
フリーウェイ、クルマとトラック
星たちは消えはじめ 俺はパレードを先導する
ただ願いながら もう少しだけ居れたらよかったのになんて
ああ神様、そんな気持ちが強くなっていきます

Ol' 55 - Tom Waits (1973)
ロビーもなかなかよかったビューホテル
この絵みたいな時代に青春アミーゴしていたのかも

さて、KIAに乗り込んで出発だ。今日の目標は日没までにラスベガスに戻ること。エピカイのRain Songをどうしても1曲目に聞かなければいけない気持ちになってきたので割り込みで。昨日の無敵のうちらが史上最も高かったからかな、まさにエピック・ハイ。「ピガオゴ~、ネガセンガンナー」

人生なんだってんだ どうせわからない明日だっていうのに
(I know I know you will never take me back)
心が弱まるほど酒がまた強くなるね
こんなオレが嫌だろうけどわかってよ
人生そんなもんだよな 何枚か後は最後のページだっていうのに
(I know I know you will never take me back)
止みそうになれば またまた雨が降るね
オレは元気でやってるよ

비 오는 날 듣기 좋은 노래 - Epik High ft. Colde (2021)
(雨降る日聞くといい曲)

「雨が降ると、君のことを思い出す」という歌詞で始まるこの曲、単純に聞けば失恋の話なんやろうけど、もっと深い意味にも取れる気がしてきたな。自分が失ってきた純粋さとかそういうものに対するメッセージみたいなさ。

See you later!
また来るぜ火星
フォレストガンプポイントから見えるやつの裏側

この辺でベン・Eのオリジナルかライ・クーダーか忘れたけどスタンドバイミーを聞いて、「月だけが唯一見える明かり」という歌詞に震えた。モニュメントバレーでまさにそんな景色を見た。「空が転んで落ちてくる」とか「山が崩れて海になる」とか、島国ではなかなか感じられない雄大さも決して大げさじゃなかったんだね。昨日ここに向かう途中に聞いたディランの「風に吹かれて」にもそんな歌詞が入っていたよな。

そうさ、山は何年存在していられる?
海に流されてしまうまでに
そうさ、"ある種の"人々は何年存在していられる?
彼らが自由になることを許されるまでに
そうさ、人は何度顔を背け、見て見ぬふりをしていられる?
その答えは、友よ、風に吹かれている
その答えは風の中

Blowin' in the Wind - Bob Dylan (1963)

昨日「門」みたいと言っていたアガスラ峰とオウルロックも逆側から見ると不思議な感じがした。この手前で流れてきたのが帰ってきたBTSのバージョンアップ宣言曲2.0。うちらもこの2日間で完全に2.0になったね。車の窓を開けると大地に吹く風がすさまじい。ちょうとアガスラさんの前でイージーライダーたちともすれ違った。そんな動画。

知ってるだろ?俺たちのやり方

2.0 - BTS (2026)

直後にかかったのがRCのトランジスタラジオ、真剣10代しゃべり場!ホットなナンバーをアメリカの空にとかしながらここまで旅してきたよ。ソウルミュージック伝道師・キヨシローの声も風にのってこの大地に帰っていったような気がした。

ベイ・エリアから リバプールから
このアンテナが キャッチしたナンバー
彼女 教科書 ひろげてるとき
ホットなメッセージ 空にとけてった

トランジスタラジオ - RCサクセション (1980)

あーラスベガスに(そして日本にも)帰りたいような帰りたくないようなうまく言えないこの気持ち。日本にいると自分が異星人エイリアンみたいに感じるときがある。ご飯と水回りだけは恋しいけど、居心地そのものはアメリカの方がずっといい。

おとといから家に帰りたい曲と家出したい曲どっちも聞いてきたなー。ゲットバックの「かつて属していたところに戻れ」がアリゾナやナバホのことに思えたり、カントリーロードで逆に第2の故郷の京王線や武蔵野を思い出したりしてね。そして家出といえばやっぱりこれ。ポールマッカートニーは小宇宙みたいな曲をさらっと書く。

水曜日の朝5時 一日の始まり
静かに自分の部屋のドアを閉め
「まだ言い足りない」書き置きを残して
彼女は下に降りる ハンカチを握りしめ
そっと勝手口のカギを開けて
外に踏み出せば、彼女は自由

彼女は (私たちは人生のほとんどを捧げたのに)
出るところ (人生のほとんどを犠牲にしたのに)
家を (お金で買えるものは何でも与えたのに)
彼女はずっと独りきりで生きてきて やっと家を出るところ (バイバイ)
長い長いあいだ

父親がいびきをかくあいだ 妻はガウンを着て
そこに横たわった手紙を拾う
階段のいちばん上に一人立ち
崩れ落ちて夫に叫ぶ
「お父さん、あの子がいなくなっちゃったわ
どうして私たちをこんなに無神経に扱えるのかしら
どうして私にこんな仕打ちができるのかしら」

彼女は (私たちは自分のことなんて全く考えなかったのに)
出るところ (自分たちのためにだなんてこれっぽっちも)
家を (何とかやりくりするのに苦労してもがいてきたのに)
彼女はずっと独りきりで生きてきて やっと家を出るところ (バイバイ)
長い長いあいだ

金曜日の朝9時、彼女は遥か遠くにいる
前にした約束を守るために待っている
中古車屋の男と会おうとしている

彼女は (私たちがしたことの何が間違いだったのだろう)
楽しんでる (それが間違いだとは知らなかったんだ)
最中 (楽しさはお金で買えないものの一つだ)
心の内側で常に否定されてきたもの (バイバイ)
長い長いあいだ

彼女は家を出るところ (バイバイ)

She's Leaving Home - The Beatles (1967)

新聞記事から小宇宙を生み出す男、ポール。家族と住んでるのにずっと孤独を感じていた長い年月と、両親がそれに気づく一瞬の対比が残酷。1番の「家の外側」と最後の「心の内側」も鏡になってる。そしてこの親は今も本当は何にも理解してない気がする。ダメゼッタイ世代 vs ヒッピー世代の象徴のような曲でもあるね。

ポールソロ初期のJunkも同じbuyで韻を踏む悲しげなナンバー。「買え!買え!と店の窓の看板が言う、なぜ?なぜ?と庭のがらくたが言う」売~買~……(チューリップの「博多っ子純情」はこのJunkの雰囲気をうまく受け継いでいる名曲)

往路で聞いたジェファーソン・エアプレインのホワイト・ラビットはヒッピー世代からダメゼッタイ世代への反論ソング。思えばうちらもあのキングマンの手前あたり(第2話参照)でウサギ穴に落ちたのかもな。それからどえらいものを見続けてきたんだ。

あなたを大きくする錠剤と あなたを小さくする錠剤
そして母親が何度もくれる どれもダメ、ゼッタイ
アリスに聞きにいってみて 彼女が身長10フィートのときに

White Rabbit - Jefferson Airplane (1967)

「不思議の国のアリス」のような物語を読ませておいて、「ダメゼッタイ」とはどういうことなのかという親世代への批判。最後は「頭を養え(Feed your head)!」という強烈なメッセージで終わるんやけど、これはグレイス・スリック姉貴的には「本を読め、サイケデリックドラッグをやれ」ということ。映画を見たり音楽を聴いたりするのもそうだよなー。いやほんと、毎朝「ひらけ!ポンキッキ」のようなサイケデリック番組を見せておいて何言ってるんだって感じだよな。タイトルから狂ってやがるぜ。

17才の彼女は、父親にTHE YELLOW MONKEYのポスターを破られて、報復に浜省のCDを粉々に破壊して家出したらしい。大切なイエローモンキーのCDと本を持って学校に行き、近所の祖父(函館出身)宅にしばらく避難。大事なものを理不尽に否定されるのって辛すぎる。

おれは家じゃなくて学校や体制みたいなものに同じ気持ちを感じていて、パンクロックに熱中していた。17才の誕生日の直後、最もパンクな行為をしてやる!とシンガポール修学旅行を当日の朝バックレた。家には「一週間ぐらいで帰る」と言い足りない書置きを残して、博多港から釜山にフェリーで。最終的に高速バスでソウルまで行って、ハングルも読めるようになって帰ってきた。(帰国後捜索願も出されたり大ごとになっていて、911の直後だったので家族からはしばらくビンラディン or テロリストと呼ばれていた……)

携帯も使えんし地球の歩き方と観光案内所のネットとデジカメだけで旅行してた時代が懐かしい。てか17才のおれ、ようやったな。そんなおれたちのジャンクな17才の博多っ子純情にぴったりな曲をふと思い出した。

あたしは独りで家に帰る 名もなき人々を見て
地下鉄をサーフィンして どこかへ旅するかのように
「…どこにも…」

17 - 椎名林檎 (2000)

そうだよな、10代後半のどこにも行き場がない気持ちってあったよな。第8話の最後に載せたブランキーの15才もこの曲も大学のサークルで友だちが歌ってたのを覚えている。ただうまいとかじゃなくて「世の中にこんなにいい曲があったのか!」て強烈な印象をくらう演奏だった。

みんな思春期に何かしら抱えてきたものを振り絞るように歌ってたのかもね。(多くのアーティストのファーストアルバムが爆裂しているのも同じ理由な気がする)アメリカの高速道路みたいな名前のあのサークルも、家と呼べる場所だったよな。最高の仲間と最高の音楽を。

17才のうちらとあの頃のみんな、オレは元気でやってるよ。

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もくじ&旅のプレイリスト(Spotify / YouTube)はこちら 



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