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バックレ・トゥ・ザ・フューチャー 第3話「運」

悪い星の下に生まれて
ハイハイし始めたときから落ちぶれっぱなしさ
それが不運のせいじゃないのなら
俺は運を全く持っていないのだろう

Born Under a Bad Sign - Albert King (1967)

ハックベリー雑貨店を後にして、一路セリグマン(Seligman)を目指す。おれもルート66を走りたくてたまらないので早速やけどまた運転交代。出発してちょっとしたら『カーズ』の劇中歌「アワ・タウン」が流れてきた。まさにハックベリーとかピーチ・スプリングスとかこの区間のことを歌ったやつじゃないか!しみる~。ちょっと泣きそう。

パスポートに載ってたマップ US-93を南下、キングマンからR-66(赤)に突入
ハックベリーからセリグマンへ向かうところ 下の青いのが後発のバイパスI-40 

出発前の数日間もいい感じのプレイリストになっているかシャッフルしてチェックしてたのよ。そんで「次はあの曲がかからんかな」って思ったら本当にそうなるときがあって、スマホが脳から電波を受信してるのではと疑わざるを得なくなってきた。550曲入っててピンポイントでそれ来るか!?っていう。逆に脳がspotifyから電波を受け取ってる可能性もあるな。

どえらいストレート

少し雲行きが少し怪しくなってきたけれども、道はうんざりするほど真っ直ぐしている。アメリカのトラックドライバーアンセムWillin'が流れて、この辺で運ちゃんをやっていたときのことを思い出してきた。初めて来たのに。

雨にゆがめられ、雪に追い立てられてきた
俺は酔っぱらいで薄汚れてる、なあ
俺はまだやれるよ

路に出てると、夜遅くには
すべてのヘッドライトに俺のかわいいアリスが見えた
アリス、ダラスのアリス

ツーソンからトゥクムカリ
テハチャピからトノパーまで
あらゆる種類のトラックに乗って
重さをはかられないよう裏道を通ってさ

そんでもし草と、白いのと、ワインを俺にくれて
合図をしてくれたら
よろこんでやってやるよ、運んでやるよ

Willin' - Little Feat (1972)

この歌詞と曲の美しさのギャップにはやられるよ。ローウェル・ジョージはこれを書いたときフランク・ザッパのバンドにいたんだけど、「クスリのことを歌うなら自分のバンドを組みなさいっ!このバカチンがぁ!」って言われてリトル・フィートを結成したらしい。マザーズ・オブ・インヴェンション組ぃ~、ザッ八先生ぇ~。

求め~ないで~優しさ~なんか~臆病~者の~言い~わけ~だか~ら~

ハイウェイにたまにあるトラック重量検問所を見て、あーこれを避けるために裏道を通るのかーてなった。過積載だぁ!2番にはメキシコから草と人を密輸する描写もある。「日に焼けちまってね、メキシコに行くたびに」なんつって。尾崎豊がチャイチーに思えてくるね、豆だね。「ダラスのアリス」にインスピレーションを受けたと思われる、Guy ClarkのLet Him Rollって曲も最高なんよな。いかん1曲で盛り上がりすぎた、この区間で聞いたの抜粋して先に進もう。(てか冒頭のアワタウンの方でこんぐらい盛り上がれよ)

Bring It On Home to Me - Sam Cooke (1963, live)
Hats Off to Larry - Del Shannon (1961)
Our Town - James Taylor (2006)
Hotel California - The Eagles (1976)
Willin' - Little Feat (1972)
The Long and Winding Road - The Beatles (1970)
Little Wing - Jimi Hendrix (1967)
Dead Flowers - The Rolling Stones (1971)
Ain't No Mountain High Enough - Marvin Gaye and Tammi Terrell (1967)
Forever Young - Bob Dylan (1976, live)
Into the Sun - BTS (2026)
Folsom Prison Blues - Johnny Cash (1968, live)

キングマン~セリグマン間の名物、バーマ・シェーブの赤い連続看板を数セット通過する。5枚1セットで1~4枚目までがメッセージ、5枚目がロゴになってる。前をカーズのみたいな赤いスポーツカーが走っていて、二人とも映画見たばかりなのにマックイーンて名前をまったく思い出せないのでずっと「カーズさん!」て言いながらついていく。

カーズさんとBurma Shave

途中ちょっと雨が降ってきたけど、Into the Sunという新たな名曲とともにすぐに突き抜けてセリグマン到着。まずは「世界一大きいルート66の看板」の隣にあるガソリンスタンド、シェブロンへ。このロゴ見るとなんか安心する。トイレに行って、ガソリンも半分ぐらいになったので入れとこう。アメリカのスタンドは基本的にコンビニも兼ねててとてもいい。

ガソリンは1ガロン(3.785リットル)で5ドルオーバー
男性は左へ なぜなら女性は常にRIGHTだから!
ネバダアリゾナにはエイリアンも結構いるらしい

そう、女性はいつも正しい!ファック家父長制!俺なんか最近引っ越してきてから自称「主夫」やし。いやーしかしここで「こんなトイレ入れるか!」て引き返す人もいるのだろうか。そして指示の通りに左のトイレに入ると、さらなる民主主義の本場を見せつけられてしまった。

NOW THAT'S FAKE NEWS!

うおおおー!ミスタープレジデント!これに怒るようなガチの人はさっきの看板ですでに引き返してるから大丈夫だねたぶん。てか州政府があるしアメリカ人にとっての大統領って、うちらが考えてるよりもちょっと遠い存在なんじゃないかと思い始めてきた。東海岸の方に行ったらまた雰囲気違うのかもしれんけど。チャールズ・ブコウスキーがここで用を足したら「史上最高の小便(the best piss I've ever had)だった」とか書くかもしれん。

日本で同じようなことしたら即日大炎上やろうね。最近藤原氏気取りのあいつの顔にして、下の文字はそう、"TO RAW ASSHOLE" って入れたらどうかな。英語らしく発音すればタ・ゥロゥ・アスホォー。ポッポッポポムポムポッポッポポムポム……

世界一でかいやつとカーズ

彼女にトイレの写真を見せて、もう今日何回目かわからんけど爆笑しながら「どうなってるのこの国」と言い合っている。そして俺たちはどちらからともなくあの歌を口ずさみ始めたんだ。「どーなってるのーこの国はー、ドナルドドナルドドナルドとーらんぷ!」

ラストストップで買った灰皿「アメリカを再びハイに」

やれやれ、この旅最初の給油をしよう。アリゾナネバダのスタンドは日本のクレジットカードでもそのまま使えるところが多くてよかった。6.1ガロン入れて32.45ドル。単位が違うから現地では特に何も気にしてなかったけれども、今ちょっと算数してみようか。約23リットルでクレカの明細が5346円だからー、リッター…232円…ってコト!? わァ……おかいもの検定1級、不合格!!真面目に計算せん方がいいねこれ、へこんできた。

同じ通りのちょっと先に車をとめなおして、セリグマンで絶対に立ち寄らなければならない場所、エンジェルさんのギフトショップ(Angel & Vilma Delgadillo's Original Route 66 Gift Shop)に行く。ここで床屋を営んでいた彼は、I-40開通後に街がどんどん衰退していくのに心を痛めて、ルート66復興のための活動を始めた。1987年、アリゾナヒストリックルート66協会発足、会長となる。数か月後、州政府によってキングマン~セリグマン間が「ヒストリックルート66」に指定され、その後この運動が他の州にも広がっていったということらしい。マザーロードの父。

ヒストリックルート66生誕の地
御年99歳
キングマンのミュージアムにて「ルート66の守護天使」

マグネットとピンバッジを買ってスタンプも押してもらった。数軒先にあるSnowcapっていうバーガーとかアイスとか売ってる店はエンジェルさんの兄が始めた店で、今はその子どもたちが継いでるらしい。次はもうちょっとゆっくり来て、ここで何か食べたいな。

Delgadillo's Snow Cap Drive-In
さっきのカーズさんに再会 憧れのマスタングだった

またちょっと天気が怪しくなってきた。雨に追いつかれる前に次の街に向かおう。もうすぐ15時30分。天気も、人の運勢も、国とか町の盛衰も同じようなものなのかもしれんね。「物は極まれば通ず」ってやつだ。

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もくじ&旅のプレイリスト(Spotify / YouTube)はこちら

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