拝啓 HACHI(はちたや)さま
いま、少し緊張しながら
いつものスターバックスで、あなたへの手紙を書き始めることにしました。
あなたはお手紙が好きだと言っていたので、このあいだのライブの感想や、日頃の愛や感謝を込めて、お手紙を送るつもりでいました。
わたしもお手紙が好きなのです。
カードと、切手を選ぶ、あの瞬間が
このあと、またペンを握って切手を選ぶ、そういうお手紙を書くことでしょう。
けれども一度、ここにあなたへの愛を、あなたがわたしにしてくれたことの幾つかを、記すことにします。
お手紙の、秘めるような美しさは損なわれてしまうかもしれませんが、
あなたがわたしにしてくれたことを、秘密にしておくのは、少し惜しい気がしたのです。
手紙には書ききれなかったであろう、私事を書きます。
よかったら、聞いてくれますか?
あなたとは、Spotifyで出会いました。
当時、親友が進めてくれた星街すいせいちゃんをよく聞いていて
Andromeda、あれは名曲ですね。
親友とわたしの青春を、心臓をぐぐっと刺すような曲で、何度も聴きました。
それからSpotifyが、あなたへと導いてくれたのです。
お気に入りの曲やアルバムを聴いたあと、Spotifyはランダム再生になる。
わたしはそのひとつずつを誰の曲かだなんてチェックしないのに
後ろ髪を引かれるように、ぎゅっと掴まれたときだけ、ディスプレイで誰の曲かを確認する。
”Rainy proof”の、サビの伸びるような声と、やわらかで包み込むようなコーラスは、いまでも掴まれるような気持ちになります。
最後くらいはさ 最低な言葉で
突き放してくれたらどれほど良かっただろう
Rainy proof 君が望んだままに
Rainy proof
タバコもやめていたけど
その全てに意味がなくなれば
私はまた火をつけるだけ
この曲に出会ったのは、たばこをやめて1年ほど経ったころでしょうか。
何度も、あなたの名前を見かけました。
「夏灯籠」「八月の蛍」「バスタイムプラネタリム」
わたしを掴んで離さないのは、ぜんぶあなたの歌でした。
そして導かれるように、あなたの名前の横にあったハートマークを押して、わたしの暮らしの中に、あなたがやってきました。
あなたは最初から不思議な存在でした。
なぜだか、あなたの歌声を聞くと、執筆が捗るのです。
わたしは、日本語の歌詞を聞きながら執筆することができないのです。
ある一定の条件下で、決まった曲を聞くことはできるのですが、身を切るように感情を記すとき、わたしが共に戦う曲を吟味します。曲を決めることこそが、書く能力の一部だと本気で思っています。
それなのに、あなたはすうっと、いつでも、どんなわたしにも寄り添ってくるのです。
ほんとうに、運命みたいに
半分ずつ持っていた、パズルのピースみたいに。
2022年の後半からは、あなたの声を聞きながら、あなたの歌声に守られながら、たくさんのエッセイを書きました。
時は流れて、2023年の6月。
わたしは、スターバックスにいました。
いまちょうど座っている、この席のあたりです。
わたしはその朝、会社に行こうと家を出ました。
それがなぜだか、もうほんとうに信じられらないのですが、電車に乗っているあいだにぐんぐんと具合が悪くなり、
いやはや、そんなばかなと思いながら、必死に改札を出たけれど、どうしても会社にたどり着くことができず、このスターバックスでコーヒーを飲むことにしました。
わたしのヤマイは、わたしの心とは完全に離れたところから、こうして何度も刺すように襲いかかってきます。
それはもう、治るとか治らないとかではなくて、共存するしかないのでしょう。
わかってはいるのですが、その絶望たるや
家を出られたのに会社に行けない、愚かなわたし。
”当たり前”を失った、軟弱な身体。
たいして稼いでもいないのに、スターバックスでコーヒーを飲んでいる場合ではない。
生きている意味はあるのだろうか、と何度も思いました。
会社に行って帰って、ぎりぎりのところで家賃を稼いで
少し遊んだりすると、身体を壊す。
仕事にコミットすれば娯楽を失い
娯楽を選べば家と金を失うような究極の選択を繰り返し
ヤマイは、症状が行ったり来たりして
よくなったと思えば悪くなり、弄ばれるような日々で
自分の身体で、行きたいところに辿り着けないような日々でした。
それは比喩ではなく、会社に行けない朝のこと。
つまりわたしは、情けなく悔しく
しかし自身ではどうすることもできない歯がゆさで
ただ、涙がすうっと落ちてしまいそうなのを、コーヒーと一緒に飲み込んでいました。
そんなときです。
YouTubeが、新しい動画のアップロードを報せてくれたのは
それが、"Deep Sleep Sheep"でした。
画面の中、飛び跳ねるあなたを見て
静々と、それなのに強く語りかけるあなたの声を聞いて
ああ、この感動をもっと言葉にできればよかったのに
あしたになれば
ぼくらはさよならさ
また会おうね。
ねえ、わたしもさよならできるかな
いま、コーヒーと一緒に飲み込んだ涙を
いつか、いつか笑ってやれるだろうか…
堪えていた涙が、右側の目の端から溢れたそのとき
ああ、この子が同じ時代に生きているならば
もし、このまま身体が治らなくても、実家に帰っても、この子の新曲を聞くことができる。
だから、だいじょうぶ。
また、あなたの歌を聞きたいと思った。
次の新曲のあいだまでは、生きていたい。
せっかく、同じ時代に生まれたのだもの。
この嬉しい気持ちを、湧き上がる感情に、もう一度出会えるならば。
だいじょうぶ。
「生きよう」と思いました。
それからは、もっともっと積極的にあなたの歌声を聞くようになりました。
わたしは夜に執筆とか、自分の制作などをしていることが多いのですが、ついつい手を止めてタイムタインを見てしまったりするときにね
あなたが配信をしていると、嬉しくなってYouTubeの画面を開きました。
それまで、ラジオとか、生配信とか、ぜんぜん興味がなかったのに
「画面の向こうにあなたがいる」ということを強く感じて
同じ時代に生きていることが頼もしくて、あなたの笑い声にたくさん救われました。
人生の、隙間に落っこちてしまったような夜に
バルコニーにレジャーシートを広げて、倒れ込んだことがありました。
まだ少し寒かったのに、東京の白い空から星のひとつでもを探そうと思ったのに、目が悪くて何も見えなかった。
愚かなわたしは、自分に罰を与える必要があった気がしたのに、わたしは救いを求めるようにタイムラインの文字を追い、その夜のあなたの配信に辿り着きました。
深夜1時から、2時のあいだくらいの出来事で
いま思えば、毎週火曜24時〜「ミッドナイトステーション」だったと思います。
それは、一等星ですら見失う夜でした。
なんでこの子は、こんな夜中に歌っているんだ…
と思いましたが、わたしのような迷子のために、明かりをともしてくれたのでしょう。
わたしの夜はまっくらで、暗闇しかなくて、一筋の明かりもなかったはずなのに
わたしのまぬけなセンチメンタルは、あなたの歌声と笑い声で、あたたかく溶かされてしまったのです。
泣いちゃったよ。
また、生きようと思えて
ユニットバスに溺れて
叫んでいた弱音全部
強がってなきゃダメだった
夜に呑まれてく
闇を裂いた一等星
この手に掴みたくて
じっと見上げるだけ
あの夜、わたしを許してくれたのはあなたでした。
あなたの新曲を楽しみに生きようと決めてから、出会えたのは”まなざし”でしたね。
本当に久し振りなことなのだけれど、この1曲をリピートして、何度もエッセイを書きました。
さびしいとき、悲しいときに何度も聞いて
ときには涙を堪えて
ときには大いに泣いて
わたしは何度も、救われました。
地獄みたいな体調で過ごしていたこの夏を、なぜだか倒れずに生きながらえたうえに、毎日エッセイを書き続けることができたのは、この曲のおかげです。
それでも今生きてゆくと
あなたが、そう歌ってくれたから。
そういえば、すいちゃんを紹介してくれた親友にも、"まなざし"を紹介しましたよ。
親友が、わたしの紹介してくれた曲をすべて好いてくれるとは限らないし、それでいいと思います。
でも、“まなざし”は好きになって欲しくて、きっと好きになってくれると確信もあって。
わたしと親友を繋ぐ、ランドマークのひとつみたいな曲になる。そんな気がしています。
そして2023年10月9日、ライブ #Closetoheart_TOKYO お疲れさまでした!!
相変わらずヤマイと同居する暮らしなので、現地に行くことは断念し、
現地に行けないのならばなァと、ぐずぐず悩んでいましたが、配信チケットを買わせていただきました。
落ち着いて考えてみればね
現地に行けないわたしが、合法的にあなたに課金できるチャンスなんですから、悩んでいる場合ではなかったですね。
この日は仕事に行って、17時に会社を飛び出して、急いで家に帰りました。
今日は、はちたやに会える。そう思ったら、もうどうしようもなく浮かれてしまって
不思議だよね。
あなたもライブで言っいてたけど、配信でいつも会ってるのにね。
ライブ、素晴らしかったです。
今日は、そのことを伝えたかった。
あなたの歌に、たくさんの覚悟を感じました。
こんなことを言うと失礼かもしれないですが、たくさん、たくさん歌に向き合って、真摯に練習に取り組んだ人の歌だと思いました。
今まではあなたのことは「ラジオ(生配信)で歌う、わたしだけのお姉さん」みたいに思っていました。
それが、みんなを包み込む”歌姫”へと羽化したような、そんな奇跡的な瞬間に立ち会えたと思っています。
アーカイブは、家族と一緒に見たよ。
これを見たら、きっとHACHIを好きになるって、そう確信できるライブでした。
ライブの素晴らしさの根底は、あなたの歌であり、BEESへの愛だと感じています。
様々なジャンルに於いて、優劣や好みが存在していて、その中で「素晴らしいもの」の定義とは一体なんだろう。と、わたしは考えています。
結局のところ、”スキキライ”に帰着するしかないのだろうか、と。
或いは模範的なもの、ルールに則っているものを「美しい」と言うのだろうか。
子供が描いたような絵画と、巨匠のそれの区別
この問いに、近年のわたしはひとつの答えを見つけたんです。
もちろん”スキキライ”を覆すことはできないかもしれませんが、素晴らしいものには、条件があるような気がしています。
それは、丁寧であること。
自分で書いたエッセイも、コーヒーを淹れるときも、化粧をするときも、プレゼント選ぶときにも、時にはどこかで「これでいいや」と思ってしまう瞬間があります。
その瞬間を乗り越えて、練り続けて、じっくりと見つめて、不安になって疑う瞬間を越えて、そして最後に「よし!これでいこう!」って思えたとき。
そこまで、諦めずに向き合えたものには、美しさが宿っている。そんな気がします。
あの日のあなたは、まるで惜しむように歌っていました。
抱きしめるみたいに、ひとつずつ
ひとつも、手を抜かず。丁寧に、抱きしめるみたいに。
歌えば歌うほど、終わりに近づいちゃう
MCで、そんなことを言っていましたね。
それがさびしいって。
わたしも同じことを感じていた、というよりも、「そんなふうに思っているひとの歌だなぁ」と思ったところだったので、驚きました。
ちゃんと、伝わっていたよ。
また、このライブは「音」以外もすばらしかった。
わたし自身が、ライブハウスの照明屋さんだったこともあって、光にはすごく目がいくのだけれど
それはもう、大切にたいせつに練り上げられた光の道、物語でした。
あなたの歌と世界を具現化、後押しするような色とりどりに、目を奪われてばっかりです。
カメラワークも素敵でしたね!
ずうっとスクショばっかり撮っていました。
カメラがひとつで定点だとしても、勝負できる世界観を練り上げたうえで、映像でぐいぐい引き込んでくる。
ああ、ひとつも手を抜いていないなあ。
画面の向こうのひとりひとりを、全力で楽しませに来てくれている姿勢に感動しました。


サムネにも勝手に使ってごめんなさい…
そう、だからすべてを以てして、すばらしいライブだった。
はちたやが愛したものを、ライブを作り上げるみんなが信じて、愛していた。
それはきっと、ライブの座長が、はちたやだったからだと思います。
だって、手を抜いてしまうことは簡単じゃないか。
みんなに家族や暮らしがあって、ライブだって仕事のひとつで、言い訳なんかいくらでもできたはずなのに、
丁寧だった。
みんなが、みんな
言い訳なんてどこにもなかった。
はちたやだったから、あなたの歌がここまで導いたんだと思います。
なんていうとあなたは「いやいや、みんなのおかげだよ」と言うと思いますが、そういうあなただからたどり着いた答えでしょう。
代え難い夜でした。
この夜の記憶を頼りに、わたしはもう少し生きようと思います。
DVDとかブルーレイとか出ませんか?
それまで生きたいです。
拝啓 はちたやさま
あなたのおかげで、わたしは今日も生きています。
誇張ではなく、言葉の通りでございます。
あなたの歌に、希望を見ました。
死にぞこないみたいなわたしに、夢を与えてくれました。
むかしのわたしは、ピアノを弾いてライブをしたりしていましたが、もう何年もお休みしています。
ピアノより書くことのほうが好きだというのはこれからも揺らがない事実かもしれませんが、
いつか、あなたの曲を弾いたり、歌ったりしてみたいと思えました。
ありがとう、はちたや。
わたしの魂の一部確かに音楽に救われて、ここまできました。
そのことを思い出させてくれたのは、あなたです。
わたしにもう一度、音楽の素晴らしさを教えてくれてありがとう。
書くことや弾くことで、いつかあなたとお仕事をしてみたい。とも思えました。いやはや、これは口にするのもはばかられるようなムチャクチャな夢ではありますが。
これから武道館へ向かうあなたの、何かお手伝いなんていうのは恐縮ですけれど
あなたの生きている世界で、わたしも生きたい。
いつかチャンスが来たらきちんと掴めるように、わたしの自分の丁寧さを磨いて、背筋を伸ばして、”生きて”いこうって思っています。
取り急ぎ、きちんと働いて稼いで
あなたのCDをたくさん買って、大好きな友達に布教するとか
そういう暮らしをしてみたいものだなあ、と思います。
ね、これだったら叶いそうでしょ? 夢ができたよ。
そんなふうにわたしは、あなたの歌に導かれるように、生きて、ここまで来ました。
生きているうえにエッセイを書いて、それが誰かの希望になったりしていることがあるんですって。自分ではまだ信じられないんですけど…
あなたが救った命が
また次の誰かを救っています。
今日は、そのことをあなたに伝えたかった。
歌い”続ける”ことは、時として険しい道でしょう。
好きで歌っていたはずなのに、と惑う夜もあるかもしれません。
”歌の好きなおねえさん”から、”歌姫”となったあなたの日々は、苛烈をゆくものかもしれません。
O-EASTをソールドさせた次のあなたは、Zeppでしょうか。
ライブの規模を大きくすることの喜びの裏側に、不安な夜もあるかもしれません。緊張で眠れないことも、方位を失うことも
わたし自身は、そんなのばっかりです。
好きと義務の線引きが、簡単にわからなくなっちゃう。
「あなたもそうだよね」とは言いません。
でも、「あなたはそんなことないよね」とも言いません。
「歌っていて欲しい」と願うことの傲慢さを、理解しているつもりです。
歌い続けることは、喜びと平行線の苛烈を強いることになってしまうかもしれない、と思います。
お料理して食べて眠るだけの日々でも、人は充分に幸福です。
もうこれほど救っていただいたのだから、あなたの幸福以外、わたしは願うべきではないでしょう。
それでもどうか、はちたやさま
あなたが歌を願い続けるそのあいだずっと、
どうか、歌い続けてください。
聞いています。ここで、確かに。いまは、東京の片隅で
いつか、東京を追われたとしても
必ず、電波に乗るあなたの歌を聞いて、励まされて、わたしは書いて、生きてゆきます。
「応援してよかったと思ってもらえるように」と、あなたは言ってくれますが
わたしが何かを成したときには、あなたの名前を呼びます。
「VTuberのHACHIの歌を聞いて生き延びました」って言います。
わたしのほうこそ、あなたの恩のひとつを返せるように
生きます。
あなたからもらった命で、必ず。
この、まなざしに賭けて

拝啓 はちたやさま
歌を選んでくれてありがとう
2023年10月18日 ねる
愛を込めて
これからも応援しています。
(HACHIが気になるあなたは、こちら聞いていってください)
🐝ダイジェストムービー公開🐝
— HACHI🐝10/9 「Close to heart」東京公演! (@8HaChi_hacchi) October 13, 2023
HACHI LIVE TOUR「Close to heart」東京公演ダイジェストムービーを公開いたしました。
沢山のご来場、配信でのご観覧本当にありがとうございました!!https://t.co/EXeVf038eP #Closetoheart_TOKYO pic.twitter.com/uNXU6G6g5C
ナタリーさんとリスアニさんのライブレポート、めっちゃよかった…
感動よみがえる
親愛なる同士BEES様の感想文も最高でした〜〜〜!!
それぞれの出会いと感情に感動しました…
ぜひ読んでいただきたい
(追伸)
先日、ついにすいちゃんと共演していましたね!!
はちたやが歌っているところ以外はあんまりちゃんと見れていないけれど、
たや、かっこよかったよ!!!!!
HACHI(はちたや)の話をしているエッセイなど
推し活にいそしむわたし
めっちゃローソン行ったなァ…
見つけられなくて半泣きだったところ、家族が買ってきてくれた。
今年の夏は、推しが新譜を出したので正気を保って生きています🌻
— 松永ねる (@hangloose_5) August 18, 2023
あなたの歌を聴いて
本とブロマイドを眺めて
何度もしあわせだなァと思えるわたしで
同じ時代を生きられて
よかったなァと思ってます😌 https://t.co/8VZ5B2HuhC pic.twitter.com/auGNjQkG6T
ライブ直後のポスト
ありがと、はちたや
はちたや、ちょうカッコよかった👏👏
— 松永ねる (@hangloose_5) October 9, 2023
あなたのファンでいられてよかった
歌を、選んでくれてありがとう💖
#Closetoheart_TOKYO pic.twitter.com/4YciiWADEm
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