見出し画像

クィクィルコの曲芸師と花 : Los contorsionistas Cuicuilcas y las flores by ルア・ノアール

宇宙民話 もくじ
自己紹介/わたしについて(ルア・ノアール)
大好きな日本のみなさまへ(ルア・ノアール)
*メキシコの新米作家によるスペキュレイティブな民話集。

Title image by Lua Noire

真の美しさが草原にはあった。その美しさは、曲芸師がからだを曲げ、全身を伸びあがらせ、魔法の動きを見せたとき、初めて現れた。

山々は緑に染まり、その深い緑が、みずみずしさが、その透明さが、喜びとなってあなたを包み込む。

緑が空を清める。木々はまるで、空の巨大な肺のようだ。

星々が空を明るく照らしていたが、真に世界を美しく彩っているのは花々だった。

だれもがその心によって花咲くことができる。自分の歩むべき道を見つければ、わたしたちはその口元から花開く。花の言葉を心の内から引き出せば、喜びの歌が自然を愛でる。しかしすべてを満開にするには、曲芸師がいなくては。

曲芸師たちによって、花々は最高の輝きを見せることができた。雨の、太陽の達人たちが、花々の美しい成長に手を貸していた。

曲芸師が背をそらすたびに、花咲く草原が一つ生まれた。

曲芸師がその肩に足を乗せるたび、わたしたちの心に、くちびるに花が生まれた。

だれもが、自分の花を咲かせる責任を負っている。


著者による注釈
スペイン到来前のメキシコでは、人間は顔を持たずに生まれ、自分の運命(行くべき道)や職業を見つけて初めて、顔が「開花する」と信じられていました。同じように人間の心も、社会の中で他者と交流することで開花するものであり、それ以前はほとんど存在しないものと見られていました。また詩は「口の中で咲く花」と呼ばれ、花はこの時代、文化的にとても重要なものでした。
作品のタイトルに使われているクィクィルコは、メキシコ・シティ南部にある先古典期の遺跡の名前で、「歌が花咲く場所」を意味しています。

だいこくかずえ訳・フェルナンダ・カルバハル [スペイン語→日本語訳] 校閲


いいなと思ったら応援しよう!