見て見ぬふりをした「2つのサイン」。そして、他者依存と甘い事業計画【どん底編②】
この記事の続きです。
冷静に考えたら、経費も借金も増える「ものすごく怖い状況」。
それなのに、2号店オープンを周囲に告知すると、たくさんの方からお祝いのメッセージが届き、私のテンションはますます上がっていきました。
既存のカフェ営業を続けながらの新店舗のオープン準備は、想像以上に過酷でした。長年支えてくれたスタッフであり、既存店の新店長になってくれたCちゃんに助けられながら、もはや「テンションだけ」で乗り切っていたような状態です。
ただ、ふと我に返る瞬間がありました。
「買っても買っても、まだ必要な備品がある……」
1号店の開業準備の時は、備品を一つひとつ選んで調達するのがあんなに楽しかったのに、この時はただただ「疲労」しか感じていなかったのです。
他人任せの罠と、ズレていくコンセプト
一方、新店舗の現場は、複数の問題点が浮き彫りになっていました。
厨房の位置やスペースの構造的な問題。そして、私やスタッフの能力に対して、出そうとしているメニューの難易度が合っていないこと。
その最大の原因は、「コンセプトのズレ」でした。
今回、全面的にバックアップしてくれていた経営者の方や、その繋がりの協力者の方々。彼らは素晴らしい実績と人望を持っていました。
その方たちとの打ち合わせの中で、当初私が考えていたものとは別の方向にコンセプトが向かっていったのです。それに合わせてメニューを決めるのは至難の業でした。
でも、私は何も言えませんでした。
尊敬している凄い方たちだからこそ、「この人たちに関わってもらっていれば、成功間違いなし!」と、思考停止の他人任せになっていたのです。
さらに、この話をくれた知人が出店先の責任者だったこともあり、変な安心感を抱ききっていました。
これがのちに、大きな悲劇に繋がっていくとも知らずに。
私がスルーしてしまった「2つのサイン」
この時期、私はとてつもなく大きなミスを犯しています。
そもそもこの新店舗出店自体が大きな失敗だったのですが、実は、それを未然に防げたであろう「サイン」があったのです。
私は一瞬それに気づいたにもかかわらず、自らスルーしてしまいました。
サイン①:直感が告げた「嫌な感じ」
ひとつは、その施設のレストランスペース奥にある厨房に、初めて足を踏み入れた時のこと。
「……ここ、なんか嫌な感じがする」
「ちょっと怖い。見えない何かが、いるんじゃないか?」
そんな、背筋がゾワッとするような感覚がありました。
しかし、すでに出店を決めて高揚していた私は、それを無意識のうちに打ち消しました。
「気のせい、気のせい! 大丈夫!」と。
サイン②:論理が告げた「甘すぎる数字」
もうひとつは、施設との契約にあたり、簡単な事業計画書を提出した時のこと。
元々計画書を作るのが得意だった私は、あまり深く考えずにパパッと作ってしまいました。
その売上予測や収支計画が「一部甘いんじゃないか?」と指摘され、直した時のことです。
私の頭の片隅で、冷静な声が響きました。
「あれ? この収支計画、これでもかなり甘すぎない?」
「本当にこんなに上手くいく? もしこの通りに行かなかったら、ヤバいよね?」
「お金、本当に大丈夫……?」
しかし、私はこの声も、自らの手で握り潰してしまったのです。
「まぁ、何とかなるでしょ」
「凄い人たちも付いてくれてるんだし」
「普通にやってれば赤字にはならないって言ってたし」
今振り返ると、本当に過去の自分を張り倒したくなります(笑)。
いやいや、そこ! 絶対にスルーしちゃダメなところだから!!
反面教師にしてください
これから自分のお店を持つ人には、私のこの大失敗をぜひ「反面教師」にしてほしいです。
自分の直感が告げる違和感や、数字が示す残酷な現実から、絶対に目を逸らしてはいけません。
新規出店に際しては、あらゆる角度から分析し、慎重に判断する必要があります。
ただ「やりたいから」「チャンスが来たから」だけでは非常に危険です⚠️
さて……この後、私はどうなるのでしょうか?
精神的・体力的・時間的に、すでに限界ギリギリだった準備期間を経て、ついにもてはやされた新店舗のオープンの日を迎えます。
そう、ここまでの苦労は、まだまだ「地獄の序章」に過ぎなかったのです。
(つづく)
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