美山 諏訪神社大祭 棚野の千両祭
2025.10.05記(2025.11.13改訂)
『美山考』で、南丹市美山町の神社や行事のことについて調べているときに知った諏訪神社の大祭、15年に一度の「棚野の千両祭」。
今回のチャンスを逃すと次はもう見に来れない年齢になっていそう?なため、是非とも見学したい美山の行事として、この日を楽しみにしていた。
【参考】祭りの名称に冠されている「棚野」については、『北桑田郡誌』が紹介する 応永3(1396)年12月付の古文書に「棚野村」の村名が見えることから、少なくとも室町時代前半には存在した地名と思われる。
また、同誌で千両祭の踊りや田楽の由緒などが詳しく解説されており、その一部を抜粋すると「..略..我が鶴ケ岡村の歌謡も恐らくは室町時代に於ける民間舞踊の形式を残存せるものにして、..略..風流の趣きを如実に語るもの..略..」と記され、古くから伝承されている祭りであることがうかがえる。
自宅を6:30に出発、いつものルートとペースで8:30頃に諏訪神社に着いた。駐車場になっている旧小学校のグランドは雨のぬかるみで後輪が空転し、尻を左右に振りながら駐車スペースまでなんとか進めた。

諏訪神社の境内周辺は既に人で賑わい始めているが、雨が音を吸っているのか、なんだか静かな空気感。心も落ち着き清らかにさえ感じる。

祭りの開始にあたり、実行委員長の挨拶があった。コロナ禍で令和2年の大祭を中止せざるを得なかったこと、伝承を授ける側の高齢化、伝承を受ける側の人口減少が進み、是非とも今実施したい強い意志が集約されたことなど、今回の祭りに対する意気込みとこれまでのご苦労が充分に伝わってくるものだった。

9:00から神事が始まった。境内横の建屋を出た神職と巫女の行列が、一旦境内の外に出て正面門から本殿に入って行った。

本殿横で神事の様子を見させてもらった。神職の所作や祝詞から厳粛な雰囲気が伝わってくる。

神職と参列者による神事が一通り終わったあと、舞台の上で巫女舞いが始まった。大勢の人がさす傘の間から巫女の舞う姿が少し見れた。
巫女三人が松尾大社で神社庁の人から1ヶ月間舞いを教わったそうで、今後の祭りでも巫女舞いを取り入れたいとのこと。
福居・豊郷・盛郷・高野・鶴ケ岡の各地区が奉納する踊や神楽は11:00から始まった。
境内に入る時に盛郷と福居の山車について説明した資料をいただいた。読み進めていると山車と祭りに込めた熱い想いが伝わってくる。

『美山考』関連で色々調べているときに、盛郷と福居の太刀振、豊郷の獅子舞・姫踊、高野の神楽、鶴ケ岡の俵振りを交えた神楽などがあることを郷土誌を読んで知った。文字の上だけでなく、こうして実際に演じられているものを自分の目で直接見ていると、やはり体に直接訴えかけられ、心に響くものを感じる。
そして、これまで十分に練習を積み、晴れの舞台で披露している演者の熱量も伝わってくる。






舞台正面ではたくさんの人たちが見学している。自分は諏訪神社本殿横に坐す八幡神社の社殿から、舞台を横から見るような位置に陣取り見学させてもらっていた。

まだ手を引いて歩くような小さな女の子が花笠を被り、親御さんたちが装束を整えている、祭り装束を身に着けた元気が有り余る男の子が自分の出番を待っている、高下駄を履いた天狗がいる、漆黒の着物に赤い被りものの一見地味にも見える装束にはかえって目が惹かれる、俵を担ぎ腰には狐のお面を下げている、..等々、各地区ごとの装束の違いに目が惹かれ、さらにそれらの由来も気になってくる。
舞台に上がる通路を演者たちが緊張した面持ちで通って行く姿や、演じ終わって舞台から降りてくる演者の姿にはやり遂げた感が伝わってくるなど、晴れの舞台に上がる前と後の様子も間近に見ることができた。
じっと座って見学しているだけだが、それでも昼になるとお腹がすいてくる^^
売店であん入りの栃餅が3つ入ったパックを買い昼食にした。先日恒例の栃の実拾いが行われたことが振興会のSNSで紹介されていたが、それを使っているのかな..

14:00頃に全ての奉納芸は終わった。雨のため短縮バージョンだったらしいが、それでも充分に堪能することができた。
実行副委員長の祭りの終わりを告げる挨拶は、祭りの始めにされた挨拶同様に聞き入る内容で、地域の人たちが大切にされている祭りであることを充分に感じとることができるものだった。
駐車場に戻った。轍でぬかるみ度がさらにアップしている。にゅるにゅるになったところを避け、芝が残る経路を選びながら、それでも尻を振り振りしながらなんとか脱出した^^
時間がまだ早かったので、美山図書室に寄り高野(今宮)の郷土資料をコピーしてもらった。
帰りがけに、少しばかり顔見知りになった館員の方から「〇〇さんのとこに栗はある?」と聞かれたので「うーん、買わないとないけど..」などと話していると、ご自宅で採れたという栗を袋いっぱいくださった。ありがとう^^
帰路の空には晴れ間が見え始めていた。
