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【#シロクマ文芸部10月⑤】最終話

シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

上記プラス、おばあさんがお題から始まる部分が読み聞かせをし、その後に孫との会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。

10月1回目はこちら👇

10月2回目はこちら👇

10月3回目はこちら👇

10月4回目はこちら👇

「夜に降るのはぁ~」

足元に転がって来た黒色のクレヨンを拾うと、先生は男の子の横にすとん、と座る。

「あ!先生!ひどい!」

先生が突然、黒色でグリグリと男の子の絵を塗り潰したのだ。

「やめてぇ!」
「やめないよぉ、楽しいもぉん」

いつもは手を洗いなさい、早くお支度をしなさいと遊びをやめさせる先生が面白そうに男の子の絵をめちゃくちゃにしている。

「せんせー!めちゃくちゃにしないでえ!」
「めちゃくちゃじゃないよ~」

男の子がいくらお願いしても、先生は手を動かす。もうやめよぉ、手を洗おうとお願いするのは男の子。いつの間には立場が逆転。男の子は先生を止めるのに必死で手にしていたクレヨンを放り出した。コロコロンと男の子の手から逃げ出せたクレヨン達はホッとしたのだが。

「黒色がちっちゃくなっちゃった!」

水色が悲しそうに叫んだ。画用紙一面を真っ黒にした先生が黒色を箱にしまったとき、黒色の背は三分の一くらいになっていた。

「こーくん、ちょっと見ててね」

先生はなんでも出てくるポケットから竹串を出すと、黒の画用紙の上に一本線を引いた。

「あ!」

自分がめちゃくちゃに塗った色達が線に沿って出てくる。

「夜に降るのはどんな色ぉ、色々な星の色♪きらっきらっきら♪」

そう歌いながら竹串で星の形を描く先生。黒の中に浮かび上がる色とりどりの星々に男の子はうっとりとした。

「先生、夢中になりすぎて真っ黒になっちゃった」

うっとりと眺めていた男の子の前に手のひらを突き出す先生。パッと開いた手のひらは真っ黒、持っている竹串も真っ黒。

「あーせんせー、手を洗わなきゃ」

男の子がぐいっと先生の手を引っ張る。

「おお!こーくんエライエライ!」

先生はニコニコと立ち上がる。続きは手を洗ってお弁当を食べてからね、といいながら2人は優しく転がったクレヨン達をしまった。

「せんせー、ぼく後であのまっくろくろの絵にお月さまを描くんだ」
「色々な色が出てくるのに?」
「うん、色々な色のお月さまが描きたいの!」

男の子の言葉を箱の中で聞いていた色達は「色々な色の月だって」とささやき合った。

「色々な月!いいね!」

そのとき、水色が叫んだ。

「月の色が色々だったら月の味も色々あるんじゃないかな?」

そう言うと「黒色、助けてくれてありがとう」とお礼を言った。

「いいよう」と言った黒色の色が少し赤みがかったように見えた。

📚📚📚

「これねぇ、スクラッチアートって言うんだよ」

姉がおばあさんに言いました。

「この前幼稚園でやったの、シュクラッチアアト」

弟が回らない口で続きます。

「2人共なんでも知ってるのね、すごいわ」
「おばあちゃん、描いてあげようか!」
「僕も僕も!」
「明日にしましょ!明日3人でおててを真っ黒にしちゃいましょ!」
「わーい」

スクラッチ!シュクラッチ!とベッドの上てしばらく騒いでいましたが、だんだんとまぶたが重くなり、2人はウトウト。おばあさんはそっと2人にうわがけをかけます。

すぐにすうすうと可愛らしい寝息が聞こえ、おばあさんは電気を消して部屋から出ました。

(おわり)

今月も無事1カ月物語が終わりました。来週から11月の物語が始まります!今年の読み聞かせ物語シリーズも残り2つ、時の流れは早いです。楽しく妄想を膨らませ続けていきたいと思います。