【#シロクマ文芸部8月③】小鳥、お使いをする
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
上記プラス、おばあさんが読み聞かせをするというスタイルを今年は取ることにしました。そのため、シロクマ文芸部のお題から始まる部分が読み聞かせとなり、その後に会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。
8月の物語1回目はこちら👇
8月の物語2回目はこちら👇
「雲を売る店に僕のかわりに行って欲しいんだ」
少年は小鳥にお願いをしました。小鳥は小首をかしげます。今まで空を自由に飛んでいましたが、雲を売る店なんて見たこともありません。
「そんな店知らないよ」
「大丈夫……これがあれば行ける」
少年は懐から写真を一葉、小鳥に差し出しました。その写真には綺麗な女の人と、少年が写っています。2人共、幸せそうに笑っていました。優しそうな雰囲気も出ています。小鳥はなんだか楽しい気分になりました。でも……
「写真を持っているだけで行けるの?」
「うん……行けるんだ。本当は僕が行ければいいのだけど」
「君、動けないものね」
寂しそうに笑う少年を見ているうちに、小鳥の小さな胸にポッと灯がともりました。
「いいよ!」
ついっと写真をくわえ、小鳥はパタパタと羽を動かし始めます。
「お願いね」
少年に向かって、小鳥はくるんと空中で回転しました。
「わかってるよ!友達だもん!」
本当はそう言いたいのですが、写真をくわえていたので、声が出せなかったのです。でも、それで十分、小鳥の心は少年に伝わりました。
「ありがとう……」
嬉しそうなのに。小鳥の小さな丸い目には少年が消えてしまいそうに映りました。
早く戻らなくちゃ。
ぶるんと胴を震わせ、出せる限りのスピードで小鳥は空高く飛び立ちました。
📚📚📚
「男の子と小鳥はお友達になったんだね」
「よかったね」
「小鳥さん、お友達になれて良かったね」
ホッとした様子の姉と弟を見て、おばあさんも笑顔になりました。
「あのね、おばあちゃん」
「なあに」
「幼稚園に行く時に、小鳥さんが「ピイイヨ」って鳴いているの」
「そう」
そこまで言うと姉は黙ってしまいました。なんとなくモジモジしています。
「どうしたの?」
不思議に思い、おばあさんは先を促すのですが、姉はもじもじとしたままです。
「あのね、お姉ちゃんは小鳥さんと仲良くなりたいんだよ」
見かねた弟が助け舟を出します。
「私も「ピイイヨ」って言うんだけど近くに来てくれないの」
ちょっとだけ、姉の目がうるみ、それを見た弟もつられてウルウル。シクシク泣き出した孫達におばあさんは優しく布団をかけ直し、ポン、ポンとゆっくりとたたき始めました。
ポン、ポン、ポン……ポン
おばあさんのリズムがゆっくりになるにつれ、かわいい寝息が聞こえ始めます。
「いつか仲良くなれるといいね」
そう言いながら、おばあさんは電気を消しました。
(つづく)
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
