【#シロクマ文芸部 7月④】お題:熱帯夜(#怪異LABO)
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今年で3年目の挑戦となります。
1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
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第3話はこちら👇
熱帯夜ではありますが、海面をなぞるように吹いてくる風が心地よく感じられます。連日の熱帯夜に疲れていた私には最高のプレゼントです。
「気持ちいいのにゃあ」
ハイテンションになったフロフはクルリクルリと何度も回転し、女の子から男の子、そして猫と何度も変身を続けました。
「フロフ、そんなに変身して疲れない?」
「疲れにゃ~い!」
初めての砂浜、初めての海にフロフは大興奮。砂を掘ったり走ったり。
「連れてきてよかったね」
いつもは人を小ばかにするような表情を浮かべてニヤつく相棒もフロフのはしゃぐ姿に癒されているようです。
「へえ、そういう顔もするんだ」
と思わず指摘すると、慌てた様子でいつものすまし顔に戻りました。
「にゃにゃにゃ!」
フロフが少年の姿になったときです。慌てた様子で海を指さします。
「どうしたの?」
「いいから見るのにゃ!」
フロフの指さすほうへ顔を向けると……
「はあい♪」
そこには、人魚が波の上に優雅に座っていました。波は常に形が変化するのにどうして位置を変えることなく座っていられるのでしょう?人よりも体幹が優れているので動く波の上でも微動だにしないとか?
月明りに鱗がキラキラと輝く様子は人にはない美しさを醸し出しています。神秘的な生き物への畏敬ともいえる気持ちが生まれたときです。
「岩の上だから」
「へ?」
相棒が突然声をだしました。なにが岩の上かわからず、私が間の抜けた声を出すと、
「今、波の上に座っていると思ったっしょ?顔に出てた」
とにやにやします。いつもの様子に戻った相棒にムカつきながら、そんなに表情が出ていたかと頬をパンパンと叩きました。
「あはは!面白いねその子!気持ちが丸わかり!怪異LABOのメンバー?」
人魚が底抜けに明るい声を出すと相棒はクツクツと笑いながらうなずきます。私はどうしていいかわからず赤面してしまいました。
「ねえ、人間なの?魚なの?」
とフロフが聞いてきたので人魚だと教えると、
「魚の匂いがして美味しそうにゃのにゃ……」
とつぶやきます。なんとなく口元によだれが……
「ちょっ!依頼人を食べようとしないでよ!そんな可愛い顔で物騒なことを!ん?マジ可愛い!海中に連れて行っていいっすか?」
人魚の言葉を聞いたフロフは連れていかれてなるものかと、慌てて猫の姿に戻り私の腕の中に逃げ込みました。
「あはは!怪異LABOのメンバーはみんな面白くてかわいいなあ♪」
私とフロフが赤面すると、さらにテンションが上がったのか人魚は岩から降りて波の間を飛び跳ねました。
「そんなに興奮しないで。依頼内容をまだ聞いていませんよ」
冷静な相棒の声で慌てて岩の上に戻り、人魚は口を開きました。
「実は……」
(つづく)
部活動に滑り込みセーフ!
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
《 創作大賞2026参加作品 》
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