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【#シロクマ文芸部6月③】真保町のポンコツ魔女・2

シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

上記プラス、おばあさんが読み聞かせをするというスタイルを今年は取ることにしました。そのため、シロクマ文芸部のお題から始まる部分が読み聞かせとなり、その後に会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。

6月の物語1回目はこちら👇

6月の物語2回目はこちら👇

水曜日が来てしまった。深いため息をつく。

リドルが魔法の花火を上げる魔女として選ばれた年の6月末は、水曜日だった。1週間の真ん中だし観光客も少ないんじゃない?とドリーとエルが慰めの言葉をかけたがのだが。その願いもむなしく、花火大会の会場となる砂浜には、びっしりと人が集まっていた。

リドルの重い気持ちとは裏腹に、期待に輝く観光客の顔を色とりどりの花火が彩る。真保町の花火大会が始まってしまったのだ。

「きれいだねー」
「でも、最後の花火はとにかくすごいんだろ?」
「真保町最高の魔女さんがあげるんだもんね」

無邪気に喜ぶ声がリドルに重くのしかかる。

「どうしよう……」
「だ、大丈夫だって」

ドリーが顔を引きつらせながら慰めるが、エルはそれを黙って見ている。一昨日の特訓で花火を上げるはずが、花火が砂浜に突き刺さり、大変だったことを思い出したからだ。

魔法で大波を作り出し、砂浜全体に海水をかけたおかげで花火は消え、大事にはならなかったけれど。花火大会スタッフからは、会場設営に影響が出るから前日練習は他でやってくれと言われてしまうし。こんな状態で最高の花火を作り出すことができるのかしら?

「はぁ……」

エルが思わずついたため息に気づき、リドルはシュンとする。

「あ、ごめん!そんなつもりじゃ」
「ううん……いいの。だって私ポンコツだもの」

そういってリドルはポロリと涙をこぼす。すると、その涙は地面に落ちた途端に手足が生え、チョロチョロと動き出した。それを見たドリーが、ハンカチで抑え取ろうとするが、涙はチョロチョロとすばしこくつかまらない。

「リドル!涙を止めて!」

ドリーが涙を追いかけながら叫ぶ。

「え?」

そう言われて涙が止まらないことに気づいたリドル。今もポロポロと涙が目からあふれている。地面につくと涙に手足が生え、チョロチョロリンと走り出す。ドリーだけでは間に合わないと感じたエルも涙を捕まえようとしたのだが、いたずら涙に誘導されドリーとゴッチンコしてしまう。額を抑えうずくまるドリーとエル。

「リドル!」

2人に叫ばれ、リドルも追いかけようとした時、大変なことに気づく。

「涙が花火大会の会場に向かってる!」
「えええ!」

📚📚📚

「涙に手足だってー」
「見てみたーい!」

涙が動くというところが気に行ったのか、チョロチョロリン♪チョロチョロリン♪と歌い飛び跳ねる子ども達。おばあさんはそんな孫2人を微笑ましく見つめます。

「おばあちゃんも!」

と言われ、しばらくチョロチョロリン♪を合唱しました。しばらく歌っていたが、眠さに勝てず眠りにつく孫2人。2人の寝顔を見ながらおばあさんがつぶやきます。

「涙もこんな風に楽しいものばかりだといいのだけど」

(つづく)

小牧幸助部長、今週もありがとうございました。