なぜ他のコンサルには見えない「現場の真実」を、私は引き出せるのか。
はじめに
前回の記事で、こんなことを書きました。
「上司が見ている問題と、現場が抱えている問題は、ほぼ別物である。」
では、なぜ私はその「別物」を引き出せるのか。今回はそこを書きます。
結論から言います。
私自身が、かつて「本音を言えなかった側」にいたからです。
私はずっと、損をする側にいました
長いキャリアの中で、私はずっとあることを抱えて仕事をしてきました。
自分がやっていることを、うまく言葉にできない。 結果を出していても、それを「成果」として認識できていない。
今では笑い話ですが、以前他の人から言われるまで、私がやっていたことが「他の人にはなかなかできないこと」だと気づいていませんでした。
自分にとっては当たり前のことだったからです。
その結果、評価は上がらず、処遇も思うようには改善されませんでした。
ある時、周囲の人から言われました。
「あなたのやっていることは他の人には出来ていないことなんだから、もっとアピールすべきだ」と。
その言葉をきっかけにアピールするようになってから、昇格のスピードが変わりました。
現場の人たちに起きていることは、かつての私と同じです
製造現場で問題が起きている時、当事者を見ると、かつての私に重なることがあります。
実はちゃんとやっているのに、うまく伝えられていない。 上司との役割の認識がズレていて、それが原因で評価されていない。 何が期待されているのかが曖昧なまま、ひたすら動いている。
こういう状況にいる人は、結局「損をする側」に回ります。能力の問題ではなく、構造の問題です。
だから私は、彼らの話を聞く時、外から入った専門家としてではなく、同じ側にいた人間として話をします。
本音を引き出す、3つのこと
①「ツボ」を探して、押す
最初から本音が出てくることはありません。特に、上司の評価が高くない人は、何かしらの問題を内側に抱えていることが多いです。
私がやるのは、会話の中でその「ツボ」を探すことです。どこを押すと反応が出るか。どこまで押すと問題になるか。その境界線を確認しながら、丁寧に近づいていきます。
現場の人たちの多くは、話すことがあまり得意ではありません。実は私自身もそうでした。でも「話せる・話せない」は関係ありません。言葉にできなくても、誰かが言語化してあげれば伝わる。私はその役割を担おうとしています。
逆に、よく話す人も要注意です。滅茶苦茶話す人の奥にも、何か隠れていることがあります。ツボを押すことで、その隠れているものが表に出てくることがあります。
②「私も同じ側にいた」を伝える
ただ「ツボ」を押すだけでは、本音は出てきません。
特に最初のうちは、私が相手の上司と繋がっていることを相手も知っています。だから、本音を話すことに躊躇があります。
そこで私は、自分自身の実体験を話します。
今の会社で恵まれているわけではなかったこと。言語化が苦手で、正当に評価されなかった時期があったこと。そして、「私のような処遇の人をこれ以上作りたくない」という気持ちで、この仕事をしていること。
この一押しが、相手の気持ちを動かすことが多いです。
「この人は外から来た人間ではない。同じ側にいた人間だ。」
そう感じてもらえた瞬間に、話が変わります。
③2度のヒアリングで、本当のことを聞く
1度のヒアリングで本音が出ることは、ほとんどありません。
上司との関係性を気にしている間は、どうしても建前が先に出ます。だから私は、必ず2度話を聞きます。
1度目は、信頼関係を作るための場です。自分の話をして、相手がどんな人間かを少しずつ確認します。
2度目になると、変わります。「この人には話せる」という感覚が生まれると、最初には出なかった言葉が出てきます。「実は、上司との役割の定義が、よく分かっていない」「できなかった時、どうすればいいか分からない」——こういう言葉が、ようやく出てくるのは、2度目以降です。
「分析される」ではなく「言語化してもらう」
ここで一つ、重要なことを書いておきます。
私がやっているのは、現場の中で仕事を見せてもらいながら話をする、時には自分も手を動かしながら一緒に仕事をする、その中で話を聞くことです。フラットな立場で、同じ目線で。
立場や距離感が変わると、聞ける話が変わります。「見られている」「評価されている」という感覚があると、人は本音を出しません。同じ目線で、同じ空気の中にいるからこそ、出てくる言葉があります。
そしてもう一つ。「どんな企業でも、どんな規模でも、同じような状況にいる人がいる」ということを伝えます。あなただけの問題ではない、と知るだけで、相手の雰囲気が変わることがあります。
言語化できていないことを問題だと思っていない人は、そもそも助けを求めません。でも「それは言語化できていないだけで、あなたの能力の問題ではない」と伝えると、初めて「そうだったのか」という顔をします。
私が本音を引き出せるのは、同じ側にいた人間として、言語化を一緒にする役割を担えるからです。
本音が出た後にやること
本音が出てからが、本当のスタートです。
まず「押してはいけないツボ」を確認します。どこに地雷があるか。どこを変えようとすると抵抗が起きるか。ここを把握しないまま動くと、必ず途中で止まります。
その上で、目標に向けてスケジュールとストーリーを作ります。月→週→日に落とし込み、できたことを積み上げながら進む。この進め方については、前回の記事で書いた通りです。
「引き出す」のではなく「一緒に言語化する」
最後に、一つだけ言わせてください。
私がやっていることは、「本音を引き出す」というよりも、「一緒に言語化する」に近いです。
現場の人たちは、何も感じていないわけではありません。何かがおかしいとは思っている。でも、それを言葉にする機会も、言葉にする力も、持てていないことが多い。
私は、その言葉を一緒に探す役割を担っています。
かつて、自分自身が言語化できずに損をしてきた経験があるからこそ、その作業ができます。
これが、私が製造現場の本音を引き出せる理由です。
私は、かつての私のような人をこれ以上作りたくないという思いで、YEES FACTORYを立ち上げました 。
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