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個の特性と役割のパズル

はじめに

「あの人は、うちの部門には欠かせない人材だ」

職場でそう言われている人が、本当にその場所で力を発揮できているとは限りません。

「欠かせない」という言葉の裏側に、実は「その人が抜けると困る」という、組織側の都合が隠れていることがあります。


その人の特性を、本当に見ていたか

ある時、他の部門から人材が欲しいという話が出ました。

周りの人間は、別の候補者を推しました。私一人だけ、違う人間を推しました。

その人は技術力のある人でした。ただ、当時いた部門では、その能力を活かせる機会がなかなかありませんでした。本人も現状に満足しているわけではなかった。でも、その場を離れる決断ができずにいた。

私はその特性と、異動先で求められる役割が、きちんと噛み合うと判断しました。


一人で推した時に起きたこと

その判断は、相当な反発を受けました。

「なぜあの人を外に出したのか」「それなら自分も異動する」

そんな声がたくさん聞こえてきました。

正直に言うと、自分でも迷いました。本当にあの判断は正しかったのか。周りから見えていない何かを、私は見落としていないか。

それでも、「この人はここではなく、別の場所で活きる」という確信だけは、変わりませんでした。


しばらくして届いた話

時間が経ってから、その人が異動先で活躍しているという話を聞きました。

その瞬間、「あの判断は間違っていなかった」と思いました。

ただそれ以上に感じたのは、あの人は最初から力を持っていた、ということです。

場所が変わっただけで、人は変わっていない。


それでも、うまくいかないことがある

一方で、同じように特性を紐解いて配置を考えたのに、何も変えられなかった経験もあります。

規模の小さな会社から「組織がうまく回らない、何かいい人の配置はないか」という相談を受けました。
現場以外の人材は10人程度で、それぞれすでに業務を多く抱えている状態でした。

知恵を絞って、兼任という形で人を配置すれば、それぞれの強みが活きると考えて提案しました。

ところが返ってきたのは、それぞれの人が抱えている制約でした。

ある人はハードな仕事は任せられない体調がある。
ある人はパートなので時間的な制限がある。

強みを活かす前に、一人ひとりが抱えている現実の方が大きすぎた。
結局、何も変えられないまま終わりました。

以前、ある読者の方から「小規模な現場では、配置の選択肢自体が少ない。紐解いても、どこにも置きようがないことがある」という指摘をいただいたことがあります。

あの言葉に深く頷いたのは、自分自身が同じ壁にぶつかっていたからです。


パズルのピースは、最初から揃っている

この二つの経験から、私が感じていることがあります。

人の特性は、最初から揃っています。

ただ、それが正しい場所に置かれていないことがある。

パズルのピースが間違った場所に置かれていると、全体の絵が見えなくなります。でも、正しい場所に置き直した瞬間に、絵が完成する。

「やる気がない」「能力が低い」と見えている人の多くは、ピースが間違った場所に置かれているだけかもしれません。

ただし、ピースが揃っていても、置ける場所がない場合もあります。先ほどの小規模な会社の話がまさにそれです。特性を紐解いても、現実の制約が大きすぎて、置き直すことができなかった。

ピースを正しい場所に置くことは、いつでもできるわけではありません。


それでも、簡単ではない

ただし、これは綺麗事ではありません。

正しい場所を見つけることは、簡単ではありません。「この人はここが合っている」と確信を持てるほど、その人を深く紐解けているかどうか。そして、その判断を一人でも通せるかどうか。

うまくいかなかった経験の方が、はるかに多いのが現実です。

それでも、ピースを正しい場所に置こうとし続けることが、組織を少しずつ良くしていく唯一の方法だと、今も思っています。


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