100点主義では、多様性は機能しない
はじめに
子供の頃から、
「100点を目指しなさい」
と教えられてきました。
テストでは満点が理想とされ、
苦手科目をなくし、
全体的にバランス良く点を取ることが評価される。
これは、基礎教育としては必要な考え方だと思います。
最低限の知識や教養を身につける、という意味では合理的です。
ただ、大人になってから、
仕事や組織の中で、
この価値観がそのまま使われている場面を見るたびに、
私はずっと違和感を感じてきました。
「何点だった?」という問いへの違和感
例えば、資格試験や受験です。
多くの場合、
一定の点数以上を取れば「合格」です。
70点が合格点であれば、
70点でも100点でも、結果は同じです。
それでも試験が終わると、
「合格できた?」ではなく、
「何点だった?」
という会話がよく交わされます。
私はこのやり取りが、昔から不思議でした。
目的は合格だったはずなのに、
なぜその先で、さらに点数を比べようとするのだろう、と。
実は私は、これまで満点を目指して勉強したことがほとんどありません。
合格点以上を取れれば目的は達成されるので、
残りの点数を埋めるために時間を使うより、
別のことに時間を使った方が良い、
そう考えてきました。
この感覚は、人によって合う・合わないがあると思います。
ただ、この違和感が、今回の話の出発点でした。
100点思考は、どこから来たのか
学校では、
「全体的に良い点を取ること」が正解になりがちです。
苦手をなくし、
平均点を引き上げ、
ムラのない状態を目指す。
この価値観は、大人になってからも残り続けます。
仕事でも、
資料は完璧に仕上げてから出す
不良は極力ゼロに近づける
何でもそつなくこなせる人が評価される
こうした考え方が、無意識のうちに「正しさ」になります。
一方で現場を見ていると、
6〜7割の段階で共有し、調整しながら進めた方が早い場面も多い。
製造業でも、ある程度の不良を前提に改善を回した方が、
結果的に強くなるケースは少なくありません。
それでも私たちは、
つい100点を目指してしまう。
評価制度は、何を守るために存在しているのか
ここで、評価制度の話になります。
評価制度は、
成果を正しく測るため、
本人の成長を促すため、
そう説明されることが多いです。
ただ、少し引いて見ると、別の側面も見えてきます。
組織は、人が増えるほど不確実性が高まります。
不確実性を下げるためには、比較可能な指標が必要になります。
点数、ランク、平均値は、管理しやすい。
その結果、
尖った強み
文脈に依存する能力
例外的な成果
は、評価からこぼれ落ちやすくなります。
評価制度は、
「誰がどれくらい優秀か」を測る装置というより、
組織を予測可能な状態に保つための仕組み
として機能している側面があるのではないか、
私はそう感じています。
評価は、誰のための仕組みなのか
評価制度は、主に次のような役割を担っています。
経営や管理側が説明責任を果たすため
昇給・昇格・配置転換を判断しやすくするため
評価する側が、主観的だと責められないため
これらは、組織運営上必要なものです。
ただ、
評価される本人のために設計されているケースは、それほど多くない
という点は、意識しておく必要があるように思います。
成果は出ている。
でも評価項目には合わない。
そんなときに感じる違和感は、
個人の問題ではなく、
評価の設計と実態がズレているだけなのかもしれません。
多様性が腑に落ちない理由
以前、
「多様性」という言葉に違和感を覚える人に向けて、
投稿を書きました。
(過去の投稿はこちら)
多様性は、
ただ受け入れよう、と言うだけでは機能しません。
違いを理解し、
役割として配置し、
全体として価値を出す。
そこまで含めて、はじめて意味を持つものだと思っています。
今回書いてきた
「100点を目指す思考」
「評価制度が平均を求める構造」
は、実はこの多様性の話と深くつながっています。
全員に100点を求める評価では、
役割の違いは見えにくくなります。
その結果、
尖った強みや、文脈に依存する価値は拾われず、
「何でもそこそこできること」が正解になってしまう。
多様性が機能しない理由は、
意識や姿勢の問題ではなく、
評価や設計の問題なのかもしれません。
これは正解の話ではありません
100点を目指すことを否定したいわけではありません。
満点を取ることに価値を感じる人も、当然いると思います。
ただ、
なぜ私たちは100点を目指しがちなのか
その評価軸は、今の仕事や組織に合っているのか
合格や成果の先で、何を比べようとしているのか
一度立ち止まって考えてみてもいいのではないか、
そう感じています。
これはあくまで、
私自身が長年感じてきた違和感を、
言葉にしてみただけです。
あなたはどう思いましたか?
良ければコメントで教えてください。
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これは「やすにぃの視点」シリーズです。
構造を見抜き、本質から考える。
そんな思考を言語化しています。
