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正論を機能させる人は、正論を言わない。」

はじめに

先週、こう書きました。

「あなたの正論が通らないのは、あなたのせいではない」

では、正論はどうすれば機能するのか。

今日はその答えを書きます。


正論を「渡す」のをやめる

正論が機能しない時、多くの人はこう考えます。

「もっと分かりやすく説明しよう」
「データをそろえて証明しよう」
「何度でも伝え続けよう」

でも、これは全部「正論を渡そうとする」アプローチです。

渡された側は、こう感じます。 「正解を押し付けられている」 「自分の判断を否定されている」 「この人には負けたくない」

どれだけ正しい内容でも、渡された瞬間に「攻撃」として処理されます


正論を機能させる唯一の方法

15年以上の製造現場で、私が見つけた答えはシンプルです。

相手に考えさせて、相手の口から言わせる。

これだけです。

正論を「答え」として手渡すのではなく、 相手が自分で辿り着けるように「問い」を設計する。

具体的にはこうです。

例えば、
「コスト削減がサプライヤーの品質不正につながっている可能性がある」
と伝えても、誰も聞きません。

でも、こう始めます。

「サプライヤーの品質不正が起きる理由って、どんなことが考えられますか?」

相手が自分で理由を挙げていく。 「予算のプレッシャー」「品質チェックの省略」「評価基準の歪み」…

次にこう聞きます。

「その中で、今の私たちの現場で影響が大きそうなものはどれだと思いますか?」

相手が自分で考え、自分で選ぶ。

そして最後に、コスト削減との因果関係が見えてくる。

その時、相手はこう言います。

「言いたかったのは、こういうことだったのか」

これが、正論が機能した瞬間です。


なぜこれが機能するのか

人は、他人から与えられた答えより、 自分で辿り着いた答えの方を信じます。

「説得された」ではなく「気づいた」という感覚が、 行動を生みます。

しかもこの方法は、立場が上の人にこそ効きます

上の立場の人ほど、「部下に論破された」という事実に敏感です。
でも、「自分で考えてたどり着いた」なら、面子は傷つきません。

むしろ、「一緒に正しい道を見つけた」
あるいは、
「私が答えを見つけた」
という感覚になります。


的外れな意見が出た時

「相手に考えさせる」進め方をしていると、 必ず的外れな意見が出てきます。

その時、「それは違います」と否定してはいけません。
せっかく積み上げた対話が崩れます。

私がよく使う方法は3つです。

①仮定として取り込む 「仮にそれが原因だとすると、今起きているこの現象はどう説明できますか?」 相手が自分で「行き止まり」に気づきます。

②スコープを変える 「今のお話は短期の視点ですね。中長期で見た場合、優先順位は変わりますか?」 的外れを「間違い」にせず、「別のレイヤーの話」として整理します。

③Yes, Andで受け取る 「おっしゃる通りです。その上で、今回の問題に一番効くレバーはどれでしょうか?」 相手の意見を一度受け取ってから、本筋に戻します。


そして、実は4つ目がある

もう一つ、大切なことをお伝えします。

私が使う方法の中で、一番重要なのはこれです。

自分の正論が、間違っている可能性を持ち続けること。

「相手に考えさせる」対話を続けていると、 時に「自分が見落としていたこと」が出てきます。

相手の「的外れに見えた意見」の中に、 実は現場の重要な情報が隠れていることがあります。

そういう時は、こう言います。

「いろいろと話をしてきましたが、 こうして一緒に考えることで、正しそうな道筋が見えてきました。 ありがとうございます」

自分の正論を証明することがゴールではなく、 正しい結果を出すことがゴールだからです。

この姿勢が、最終的に最も深い信頼を生みます。


「正論を語る人」から「構造を動かす人」へ

正論が排除される人と、正論が機能する人の違いは、 「正しさ」の違いではありません。

「何をゴールにしているか」の違いです。

自分の正しさを証明することがゴールなら、 正論は武器になります。そして、嫌われます。

正しい結果を出すことがゴールなら、 正論は道具になります。
そして、信頼されます。

製造業の現場で15年以上、私はこの違いを何度も目撃してきました。

正論を「渡す人」は、やがて排除されます。 正論を「相手の口から引き出す人」は、最終的に不可欠な存在になります。

あなたの会社に、「正論を引き出す設計」はありますか。


YEES FACTORY|やすにぃ

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