構造は、全員を救えるわけではない。
はじめに
「人は変えられない。でも構造は変えられる。」
私が普段から言っている言葉です。
ただ、はっきり言っておきたいことがあります。
構造を変えれば、全員が救えるなどとは、一度も思っていません。
救えない人は、いる
紐解いて、見える化して、適材適所に当てる。そうすれば、やる気がないように見えた人が、動き出すことがある。
これは本当の話です。何度もそういう場面を見てきました。
でも、それで全てが解決するわけではありません。
何を試しても変わらなかった人がいます。紐解いて、配置を変えて、それでも合わなかった。
最後にその人と話した時、何を言えばよかったのか、今でも分からないことがあります。
世の中に完全な構造などありません。10人いたら、10人を同じように救える方法など、存在しないと思っています。
これは、痛いほど分かっています。
それでも、なぜ続けるのか
偉そうなことを言うつもりはありません。
私自身、若い頃、誰かが道を作ってくれたわけではありませんでした。
転職してすぐ、自分の強みとは違う仕事に配属されたことがあります。すでに別の転職者が優秀な働きを見せていて、私には「何をさせようか」という空気の中、経験のない測定の仕事が回ってきました。
2年ほど、強みを活かせない時間が続きました。
イライラしていました。不安もありました。この会社に転職して、本当に良かったのだろうか。そう思いながら過ごす日々でした。
傍から見れば、私はきっと「やる気がない人」に見えていたと思います。
私も、下手をすれば、本当に投げやりになって、やる気を失っていたかもしれません。
それなら、勝手にやろうと思いました。
特許を調べ、材料の情報を整理し、他社のものづくりを徹底的に調査しました。
気づけば、設計から測定まで、その仕事の全工程を理解している人間になっていました。
これは、誰にでもできることではないかもしれません。ただ、当時の私には、不安を抱えたまま立ち止まっているよりも、勝手に動いている方が、よほど楽でした。
「やる気がない」と思われていた人間が、実は不安の中で何かにすがろうとしていただけだった。
今、紐解くという作業をする時、私はいつも、あの頃の自分を思い出しています。
先日、ある読者の方とのやりとり
先日、noteのコメントで、ある読者の方から指摘をいただきました。
小規模な現場では、配置の選択肢自体が少ない。紐解いて理解したとしても、結局どこにも置きようがないことがある、という内容でした。
何年も現場でマネジメントをされてきた方の、切実な言葉でした。
私は、構造を変えても救えない人がいること、自分のやっていることが万能ではないことを、そのままお伝えしました。
その方からは、こんな言葉が返ってきました。
うちの現場でも、結局同じところに行き着くことが多い。考える余地を作ってみても、ダメな時はダメで、去っていく人を見送るしかない場面がある。きれいに解決できた話より、そちらの方が現実には多いので、万全ではないと言ってもらえると、少し気持ちが楽になる、ということでした。
一人でも、一社でも
全員は救えません。
でも、一人でも救えるなら。
一社でも、構造を変えることで現場が軽くなる会社があるなら。
それで十分だと、私は思っています。
大きなことを成し遂げたいわけではありません。日々、現場で改善を重ねながら、一人でも多くの人、一社でも多くの企業を、構造という形で前に進められたら。
それが、私にとって一番の幸せです。
最後に
構造は万能ではありません。
私のやっていることも、完璧ではありません。
それでも、目の前にある現場を、一つずつ良くしていく。
救えなかった人のことは、忘れません。
だからこそ、次に出会う一人を、見過ごしたくないのです。
YEES FACTORY|治部康臣(やすにぃ) 製造組織の構造改革者
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