長い歴史の中で日本人が育んできたものを精神科目線で再評価したのが「仕方がない」「生まれてきてよかった」である
「まんが夜のこころの診療所 精神科医がいるスナック」(扶桑社)を読みました。
作者は、精神科医でYouTuberの益田祐介先生とまんが家の青山ゆずこさんです。
なんだか最近自分でも気がつかないうちに
心にもやもやがたまっていませんか?
毎日に余裕がない
なにをしても楽しくない
なぞの劣等感と焦りにおそわれる
やる気が出ない
ごはんがおいしくない
どこで、だれに、相談していいか、わからないし
専門書を読む、気力もなければ、時間もない
とにかく、余裕がない
でもそんな行き場のない、大人のもやもやを
ほんのちょっと軽くしてくれる
夜の”こころの診療所”があるんです
そこは”生きづらさ”を抱える人が集まる隠れ家スナック
出迎えてくれるのは、現役の精神科医の先生
ゆるく気軽にカウンセリング体験もできちゃうような……
そんな不思議空間、ちょっと覗いてみませんか?

そういうプロローグではじまります。これを見たらもう読むしかない!
こころの診療所の登場人物は以下のとおりです。
マスターは益田祐介先生。現役の精神科医。”毎日にちょっと疲れた人”だけがたどり着く、街外れのスナックのマスター。お酒は飲まない
にゃん吉。「こころの診療所」のもうひとりの住人(外ネコ)。
益田先生のよき相談相手
リョーハム。語尾が「~ハム」の変わった常連。ハムスターが好き。
「こころの診療所」のマスコット的存在。
常連さんたち。この店をこよなく愛する人たち。
人生経験の豊富さから、新規のお客さんを優しくアシストする。
母子密着、うつ病、子どものうつ、発達障害、といった心の問題について、ケースごとに解説しています。
青山ゆずこさんの絵で重々しさが緩和されて、いろいろと勉強になりました。

益田先生が最後に述べております。
お酒の場とは、不思議な魅力をもつ空間です。
一日の終わりに、静かにグラスを傾けながら、自分自身と向き合うこともあれば、店主やほかの客とのなにげない会話の中から、思いがけない発見や癒やしを得ることもあります。
こころの治癒が目指すものは「仕方がない」と思えること、「生まれてきてよかった」と思える瞬間を少しでもよいので増やすことです、と益田先生は述べております。
「仕方がない」「生まれてきてよかった」とは、日本的かつ、仏教や禅の世界から、欧米を中心としてサイエンスとエビデンスの世界で正しいとされる治療的ゴールに近いものを、私なりに選んできたものだとおっしゃっています。
欧米的な正しさは日本人にはそのまま理解することが難しいため、長い歴史の中で日本人が育んできたものを精神科目線で再評価したものだそうです。
この二つのフレーズを伝えると、「私の子育ては間違ってなかった」と安心してくれたり、「自分たちが仕事の中で大事にしていることと同じだ」と感激してくれる人が多く、治療的な手応えを感じているとのこと。
経歴を見ると、益田先生は、防衛医大出身で自衛隊の医官をやっていました。
私も防衛省に勤務していたことがあるので、なんとなく親近感が湧きました。
「仕方がない」「生まれてきてよかった」という言葉を治療のゴールにしていることにしっくりきました。
とりわけ「仕方がない」は、宮崎弁の「じゃが、じゃが、じゃっとよー」に通じるところがあります。
こうして納得したうえで、まわりに感謝できるようになる、そんな境地にたどり着ければいいかな、と思いました。

さて、宮崎市のニシタチは日本でも有数の飲み屋街です。
今日も誰かが、どこかのスナックやバーのカウンターで心を癒やされているかも。
関係ありませんが、NHKの土曜ドラマで始まった「まぐだら屋のマリア」には心が揺さぶられました。
主人公が死のうと北の果ての岬に行ってたどり着いた食堂のご飯で、生きる気力が湧いてくるシーンが私的にはよかった。
詳しくは、noteクリエーターの章音さんの記事に紹介されています。
読んでいて映像が浮かんでくるほどの解像度が高い文章です。
中島みゆきさんの主題歌もいい。
土曜の夜におすすめのドラマです。
上から目線で恐縮です。
