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読むだけじゃ、伝わらない。|まこ式ことばの魔法

前回までは、「読み聞かせ」や「言葉の力」についてお話ししてきました。
▼前回は、こちら


子どもたちが成長するにつれて、私はあることに気づいていきました。

“読む”だけでは、言葉は育ちきらない。

絵本の読み聞かせは、言葉の土台を作るには良いツールです。
でも、人が成長し、心を通わせながらコミュニケーションをしていくためには、それだけでは足りない。

親が話し、子が話し、心を交わす中でこそ、言葉は息づいていくのだと。

そこで私は、ある小さな習慣を、日常の中に取り入れるようになりました。
今回は、その習慣、そして今も続く“ことばの往復”について、お話しします。

この「交わす」時間こそが、親子の信頼と、表現力の芽を静かに育ててくれるのだと感じています。


この記事は 「自己肯定感を伸ばす子育て学|まこ式10の法則」シリーズ番外編 ⑥ です。


言葉はキャッチボールで育つ

「おかあさん、だいすきだよ」
「長女ちゃん、なわとびがじょうずで、かっこいいね」

小さなお手紙のやりとりが言葉のキャッチボールになりました。

我が家では、折り紙やコピー用紙に書かれた、そんな小さなお手紙をやりとりしていました。
文字が上手に書けないときは、絵で。
文字が書けるようになると、ひらがなを使って。

文字が鏡文字になっても、上手でなくてもいいのです。

その手紙をもらったら

「ありがとう!おかあさん、長女ちゃんからお手紙もらえて嬉しいな。
あら!上手に書けてる!すごいね!」


そんな言葉を添えて。

まさに“言葉のキャッチボール”だったと思います。
子どもが手紙を書き、親が返す。

その往復のなかで、
「気持ちを伝えること」
「相手の言葉を受け取ること」
を自然に学んでいた、と思っています。

この小さな往復には、心理学的な意味もあります。
心理学では「自己開示の模倣効果」という言葉があります。

相手が自分の気持ちを打ち明けてくれたとき、人は自然に「自分も話したい」と感じる傾向のこと。

これは“返報性の心理”(※)とも呼ばれ、信頼や共感を生み出す大切なしくみです。

思えば、親子の手紙交換もその一つ。
「大好き」と伝えると、「大好き」が返ってくる。

信頼が積み重なり、ことばが往復するたびに、親子の関係が少しずつ深まっていきました。
これはまるで、心と心のキャッチボールのようでした。

ライティングでも「返報の法則」がありますよね。
それと同じです。

漫画でつながる今の“言葉の交換”

子どもたちが大きくなるにつれて、お手紙交換は自然と姿を変えていきました。

最近では、家族のあいだで“漫画のプレゼン”がブームです。

子「お母さん、この漫画、1巻だけ読んでみて!」
私「わかった。読んでみる」

……数時間経過。

私「すっごくおもしろい!よし、全巻買っちゃおう!」

子どもたちが漫画をプレゼンして、私が採用すれば全巻買ってもらえるという“わが家ルール”(笑)

もちろん、私の好みに合わなければ、買ってもらえません。

最近のプレゼンで成功したのはこちら。

『二月の勝者』 高瀬 志帆 (著)
★紙で読みたい方はこちら▼
まずは【第1巻】から 
※「コミック(紙)」を選択してください。


★kindle版(電子書籍)で一気読みしたい方は
▼こちら
『二月の勝者』kindle版(全21巻セット)


次女からおすすめされて、読んでみたら……
全巻一気読みしてしまいました!

中学受験のお話ですが、大学受験にもつながっています。

ここ数年、早稲田大学の一般入試では、募集人数が減らされています。
そのあおりを受けたのが、我が家の長女。

「なんで、募集人数減らすの……(泣)」

って、嘆いていました。
募集人数が減らされるということは、合格の難易度もあがるということ。
受験が終わった今だから言えるのですが、本当に熾烈な戦いでした。

その熾烈な戦いの理由を、『二月の勝者』で学びました。

今、小さいお子さんがいらっしゃる方、
中学受験しようと思っている方はもちろん、
高校受験、大学受験を控えている受験生や親にも読んでほしい漫画です。

ただし、今、受験真っただ中にいる方にはおすすめしません。


話は少しずれてしまいましたが、
今でも、こんな“漫画プレゼン会”が、わが家で時々開催されています。

漫画を読み終えたあとに感想を言い合うのも、また楽しい時間。

「え、あのシーンそういうつながりだったの!?」
「この話、泣けるよね~!」

そんな会話をしていると、作品の話を超えて、「感じ方」や「考え方」の違いが見えてきます。

このやりとりこそが、“読む”を超えた学びの場。
自分の感情を言葉にすること、相手の意見を受け止めること。
どちらも、日常の中でしか育たない力です。

そして不思議なことに、こうした“作品トーク”は、親子の距離を縮めてくれます。

お互いに同じページをめくり、同じシーンで笑ったり泣いたりする。
たとえ年齢や立場が違っても、「共通の世界」を共有できる。

私はこの時間を、“言葉の往復練習”のように感じています。

「どう思った?」
「なんでそう感じたの?」

そんな小さな問いかけを通して、子どもたちは“自分の言葉”を磨いていく。
それはまるで、絵本から始まったキャッチボールが、今はストーリーを通じた“対話”へと進化しているような感覚です。

“話す”より“交わす”が生む学び

子どもと話す時間は、決して“話の量”だけでは測れません。
大切なのは、「話す」よりも「交わす」こと。

つまり、双方向のやりとりです。

親が一方的に教えるのではなく、
「あなたはどう思う?」
「それって、どんな気持ち?」
と問いかけて、子どもの考えを受け止めていく。

この小さな往復こそが、思考力と表現力を育てる“ことばの練習場”になります。

教育心理学の分野では、これを「対話的学び」と呼びます。
ハーバード大学のMeredith Rowe博士をはじめ、複数の研究で「親が子どもに説明的な会話や質問を多く投げかけることが、語彙力や思考力の発達に好影響を与える」ことが報告されています。

また、「対話的読み聞かせ(Dialogic Reading)」の研究でも、親子の会話の“ターン数”が多いほど、子どもの言語能力が高まる傾向が示されています。

つまり、“教える”より“引き出す”。

それが、子どもが「自分の言葉で考える」力につながります。

日常のちょっとした瞬間。
たとえば漫画の感想を話すとき、
「どこがおもしろかった?」
「このシーン、どう思う?」
そんな問いかけが、子どもの中で“考えるスイッチ”を押します。

親が答えを持っていなくてもいい。
一緒に悩み、一緒に考える時間こそが、親子の信頼と学びを深めていく。
“読む”から“交わす”へ。

その変化の中で、子どもたちは、「言葉で考える力」を少しずつ身につけていくのだと思っています。

おわりに|ことばは、家族の思い出になる

思えば、私たちの毎日は、たくさんの“ことば”に囲まれて過ぎていきます。

子どもが初めて話したひとこと。
お手紙に書かれた「だいすき」。
漫画をおすすめしてくれたときの、うれしそうな顔。

その一つひとつが、私にとっては小さな宝物です。
時間が経っても、その言葉を思い出すと、あの日の温度や、笑い声までも蘇ってくる。

「読む」から「交わす」へ。

形は変わっても、言葉を通して心が行き交う時間は、家族の歴史そのものを紡いでいくように感じます。

そして、私がこれまでの子育てで学んだことは、
“完璧に話す”よりも、“心を込めて交わす”こと。

それだけで、十分に伝わるということでした。
今日もまた、夕飯のあとに誰かが話し出します。

「ねえ、お母さん、あの漫画なんだけど・・・」

そんなやりとりが、我が家の小さな“ことばの魔法”です。


もし今、うまく言葉にできない日があっても大丈夫。

子どもに、家族に、たったひとこと
「今日ね」
と話しかけてみてください。

そこから生まれる“言葉のキャッチボール”が、きっとあなたの心もあたためてくれます。

言葉は、特別なものじゃなくていい。
今日の一言が、未来の「思い出の言葉」になるのだから。


この記事は「自己肯定感を伸ばす子育て学|まこ式10の法則」シリーズ 番外編 ⑥でした。
▶次回、⑦は こちら
▶①は こちら


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