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安定か挑戦か、ではなく“立ち止まる時間”|母として見つめ直した私のキャリア

「安定か挑戦か」
そう問われたとき、私は少し考え込んでしまいました。

なぜなら、私の30代はどちらでもなかったからです。
一見すると、正社員という“安定”を手放して、ただのお母さんになった専業主婦の私。

30代に差し掛かった頃、長女を出産し、私は会社員を辞めました。

これは、社会的にはキャリアのブランクかもしれないけれど、
私にとっては……
“人間のキャリアアップ”の時間でした。


 この記事は『私でいいんだ』を取り戻す|母の自己肯定感 シリーズ第5話です。
▼前回は、こちら


超氷河期世代|20代のキャリアで試行錯誤

20代の私は、けっして安定を求めて会社員をしていたわけではありません。

私が社会に出たのは、いわゆる超氷河期世代。
就職そのものが難しく、

「私に合う仕事ってなんだろう?」
「そもそも正社員として働けるのかな?」
「私には、どんな価値があるんだろう?」

……そんなことを日々考えていた時代でした。

転職も経験しました。
ありがたいことに、転職前の仕事でも、転職後の仕事でも正社員として雇っていただきました。

でも。

私の中でずっと違和感がありました。

給与と働く時間、働きがい、キャリアアップ。
そのバランスが、どうしても取れなかったのです。

“働けている”はずなのに、漠然とした不安が、心の奥にずっと残っていました。

30代で私は母に。|正社員を辞めました。

そんなとき。
私が30代に差し掛かった頃、長女が生まれました。

とてもとてもかわいい愛らしい女の子。

抱っこするたびに、
「なんて幸せなんだ」
と感じたのを覚えています。

当時、私は産休と育休をとり、職場復帰するつもりでいました。
漠然とした不安はあったけれど、仕事の楽しさも確かに感じていたからです。

けれど、長女と過ごす日々のなかで、少しずつ心が変化していきました。

「この子の成長を見守っていきたい」
「今の私にとっていちばん大切なのは、仕事よりもこの時間だ」

そう感じるようになり、私は正社員を辞めました。

「キャリアのブランク」じゃなく、“人間のキャリアアップ”だった

社会的には、私は「キャリアを止めた人」です。
仕事の名刺も、肩書きもなくなり、日中は子どもと向き合うだけの毎日。

だけど、私の中ではまったく逆でした。
仕事をしていた頃よりも、人として成長している実感があったのです。

子どもが今、何を求めているかを全身で感じ、それに応えようと考える。

子どもの求めに、どんな行動で、どんな手順で行えばスムーズに進むのかを試みる。

そして、家の中のタイムスケジュールはどうやったら上手く進行するかも、試行と改善を繰り返す。

これらは、仕事で培ったスキルよりもずっと高い“実践力”が求められました。

そしてなにより、子どもの命を預かるということは、命がけ。
この経験によって、私は“人間としての基礎”をもう一度、しっかり作り直すことができたと感じています。


私の30代は、社会的にはブランクでも、私にとっては“人間のキャリアアップ”の時間でした。
「働く力」も「生きる力」も学んでいたのだと思います。

そして今振り返ると、あの立ち止まった時間こそが、今の私の働き方の土台になっています。

社会で働くということは、
もしかしたら「人間のキャリアアップ」という時間を失うことかもしれない。
……そんなことを、ちょっとだけ思うのです。

再スタートは「私らしい働き方」から

子育てが少し落ち着いてから、私はフリーランスとして働き始めました。
選んだ理由は、家族のリズムと、私のリズムを大切にしたかったから。

会社員のような給与の安定はないけれど、自分の裁量で働ける自由があります。

子どもたちの受験に合わせて、休むこともできる。
そんな「自由と柔軟さ」が、今の私にはちょうどいいバランスです。

30代の経験を通して学んだのは、
“私らしくていい”ということ。

それは、私の働き方だけでなく、生き方そのものの軸になりました。

ただし、私の選択が「唯一の正解」というわけではありません。
私にとっては最適な選択だっただけ。

人によって“最適な選択”はまったく違います。
そのままキャリアを積み重ねる人もいれば、転職して新しい環境に飛び込む人もいる。
一度立ち止まって、また別の道を選ぶ人もいる。

どの道も、ちゃんと“あなたの人生”だと思っています。

30代のあなたへ

もし今、あなたが

「安定か、挑戦か」

その間で揺れているなら、私はそっと伝えたいことがあります。
その二択以外に、 “立ち止まる”という選択肢があってもいいと思う。


立ち止まることは、止まることじゃない。

自分を整え、これからの人生を見つめ直すための大切な時間です。
私にとっての30代は、まさにその時間でした。

社会的にはブランクでも、“人間のキャリアアップ”の時間。

だからどうか、焦らずに、比べずに、あなたが選んだ選択を信じてください。
どんな道を選んでも、それがあなたにとっての正解です。


この記事は第2章『私でいいんだ』を取り戻す|母の自己肯定感 シリーズの第5話でした。
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