30代で降圧薬を飲み始めた日|治療編 「カンデサルタン、いい薬です」 〜皮膚科専門医の高血圧治療 導入編③〜
https://note.com/health_derma/n/n3f101e1c7032
↑前回からの続きです。
心肥大と頸動脈の石灰化を指摘され、
さすがに「まだ様子見でいい」とは私は思えなくなりました。
クリニックの先生は、
「まだ若いので生活習慣を改めて、経過をみてもよい」と仰っしゃられました。しかし、
「降圧薬による治療を行ってもよいかもしれない」
とも仰っしゃられたのです。
これを受けて私は早急な治療の必要性を考えたので、
「降圧薬を処方してください」
と訴えました。
30代で降圧薬を始めることに、抵抗がなかったとは言いません。
一度始めたら一生やめられないのではないかという漠然とした恐怖心。
なんとなく血圧で薬を飲んでいるというのがオジサン臭いという虚栄心。
しかし、私は降圧薬内服の決断をしました。
生活習慣の改善は大事なことですが、即効性もありませんし、何よりそれだけで改善するとはその時の私は考えなかったのです。
私の申し出を受けて、先生は私にARBである「カンデサルタン 8mg」を処方してくださいました。この薬剤は5年経った今に至るまで、私に降圧の恩恵をもたらす薬剤として重宝しています。
ここからはこのカンデサルタンの解説です(少しマニアックなので読み飛ばしていただいても結構です)。
①カンデサルタンとは?
上記で説明したように、カンデサルタンはARBという薬です。
ARBは
Angiotensin II Receptor Blocker
の略で、日本語では
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
と呼ばれます。
オルメサルタン、テルミサルタン、カンデサルタンなど
「〜サルタン」で終わる薬がこの仲間です。
②血圧が上がる仕組みについて簡単に
体には、血圧が下がった時に元に戻そうとする仕組みがあります。
これを
RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)
といいます。
流れはこうです。
腎臓
↓
レニン分泌
↓
アンジオテンシノーゲン → アンジオテンシンI
↓
ACEで変換
↓
アンジオテンシンII
このアンジオテンシンIIが、血圧を上げる主役です。
③アンジオテンシンIIは何をする?
アンジオテンシンIIは主に AT1受容体 に結合して作用します。
すると
血管を収縮させる
副腎からアルドステロンを分泌させる
塩分と水分を体にため込む
結果として
血圧が上がる
わけです。
④ARBはここをブロックする
ARBは、この
AT1受容体
を先回りしてブロックします。
つまりアンジオテンシンIIが来ても、
「ここには結合できません」
という状態にする薬です。
イメージとしては、
鍵穴(受容体)に先にカバーをつける
感じです。
⑤その結果どうなる?
AT1受容体がブロックされると
血管が広がる
塩分・水分がたまりにくい
心臓の負担が減る
腎臓も守りやすい
という効果が出ます。
つまり、
血管を締めつける命令を止める薬
と考えるとわかりやすいです。
⑥なぜ糖尿病や腎臓にも良い?
ARBは血圧を下げるだけでなく、
腎臓の糸球体の圧を下げる作用があります。
そのため
糖尿病性腎症
CKD
蛋白尿
がある方にもよく使われます。
⑦ACE阻害薬との違い
よく似た薬にACE阻害薬があります。
ARBはACE阻害薬と違って
空咳が出にくい
のが大きなメリットです。
まとめると下の図のようなイメージ。

カンデサルタンのメリット
カンデサルタンの大きな特徴がいくつかあります。
①1日1回で24時間しっかり効きやすい
ということです。
朝に飲めば、日中だけでなく夜間の血圧もカバーしやすい。
最初は少量から始めることが多いです。
②副作用は比較的少ない
ARB系の薬は、降圧薬の中でも比較的副作用が少なく、使いやすい薬です。
起こりうるものとしては
めまい
ふらつき
頭痛
血圧が下がりすぎる
採血でカリウム上昇
などがあります。血圧が低下するわけなので、起こりやすいことがおわかりいただけると思います。
特に飲み始めは、急に立ち上がった時に少しふらつくことがあります。
③咳が出にくい
ACE阻害薬という別の降圧薬では、咳が出ることがあります。
一方でカンデサルタンはARBなので、
空咳が出にくい
のがメリットです。
ここは患者さんにも説明しやすいポイントです。
さて、カンデサルタン8mgを内服し始めて、血圧はどうなったのか?
続きます。
