一人暮らし料理の楽しみ方
はじめに
冷蔵庫を開けると、半分残った玉ねぎと卵、使いかけのきのこが見つかる。今夜のために新しい材料をすべて買わなくても、手元にある物から一皿を考えることができます。
玉ねぎを薄く切り、きのこと一緒にフライパンへ入れる。しんなりしたところへ卵を流せば、ばらばらに残っていた食材が温かな一品へまとまります。自分の分だけを作る料理には、好きな味へ寄せながら、食材をきれいに使い切る面白さがあります。
一人暮らしの料理というと、毎日きちんと自炊し、栄養の整った献立を何品も並べなければならないように感じるかもしれません。けれど、一人で食べる日の料理は、毎回一人前を一から作ることでも、すべて手作りにすることでもありません。
二食分をまとめて作り、翌日は味を変える。野菜の半分を冷凍し、残りを汁物へ使う。疲れた日は市販の総菜へご飯と野菜を添える。自分の時間、体調、台所の広さに合わせて食事を組み立てられることが、一人暮らし料理の大きな特徴です。
一人暮らし料理とは
一人暮らし料理は、食べる人が自分一人だからこそ、量、味、費用、調理時間、片づけまでを暮らしに合わせて考える料理です。一般的なレシピを一人分へ縮めるだけではなく、余った食材を次の食事へつなぎ、無理なく続けられる形へ整えることも含まれます。
一人分の料理で難しいのは、調味料を細かく量ることより、食材が一回で使い切れないことです。キャベツや大根を丸ごと買えば数回分になり、肉や魚も一食分だけでは割高になることがあります。
そこで、一回の料理だけを完成させるのではなく、買った食材を二、三回の食事へどう分けるかを考えます。今日の主菜、明日の汁物、冷凍して来週使う分というように出口を決めると、少ない食材から違う料理を作れるようになります。
この記事でいう月2回は、毎日の食事を月に二度しか作らないという意味ではありません。普段の自炊とは別に、新しい料理を試す日や、買い物と保存の方法を見直す日を月2回ほど設ける想定です。
一人暮らし料理の基本情報
主な楽しみ方 手元の食材を使い、自分の量と好みに合う一食を組み立てる
おすすめの頻度 日々の食事に取り入れながら、新しい料理は月2回前後
趣味として取り組む時間 約60〜100分
普段の一食を作る時間 約20〜40分から
買い物と片づけを含む時間 約130分
主な場所 自宅のキッチン
最初の献立 ご飯、フライパンで作る主菜、簡単な汁物または野菜の一品
時間に余裕のある休日なら、冷蔵庫の確認、買い物、下ごしらえ、調理、保存までを一度に進められます。平日は、切る材料を減らし、一つの鍋やフライパンで完成する料理を選べば、短い時間でも温かな食事を用意できます。
料理を趣味として楽しむ日も、何品も作る必要はありません。いつもは市販のたれを使う料理の味付けを自分で考える、普段買わない野菜を一つ試すなど、一か所だけ丁寧にするだけでも十分です。
一人暮らし料理にかかる費用
一人暮らし料理の費用は、普段の食事に必要な生活費と、趣味として新しい料理へ挑戦する追加費用を分けて考えます。毎日の米、肉、魚、野菜、卵などは基本的な食費であり、すべてを趣味の費用として数える必要はありません。
基本的な調理器具がない場合 約5,000円〜15,000円
趣味として一回に追加する費用 約200円〜1,000円
一食分の食材費 約300円〜900円前後
月2回、新しい料理を試す年間追加費用 約6,000円〜24,000円
調理器具は、包丁、まな板、フライパン、小鍋、菜箸やへら、計量スプーンがあれば、多くの日常料理へ対応できます。すでに備え付けや手持ちの物がある場合は、不足している道具だけ購入すれば十分です。
食材費は、選ぶ肉や魚、野菜の季節、地域、購入量によって変わります。一人分だけを小分けで買うより、二食分を作って翌日へ回したほうが、一食あたりを抑えやすいこともあります。
趣味としての追加費用には、普段なら買わない香辛料、少し珍しい野菜、いつもよりよい肉や魚などが入ります。新しい調味料は一度に何本もそろえず、手持ちのしょうゆ、みそ、酢、塩、油を中心に一品作り、本当に必要な物だけ加えます。
安い食材を大量に買っても、使い切れずに傷ませれば節約にはなりません。一人暮らしでは、価格の安さだけでなく、二、三回で無理なく使える量かどうかを見ることが大切です。
一人暮らし料理をおすすめする3つの理由
1.自分が食べたい量と味へ細かく合わせられる
一人分の料理では、誰かの好みに合わせる必要がありません。辛さを控える、野菜を大きめに切る、汁を少なくするなど、その日の気分に合わせて調整できます。
同じ料理を何度か作ると、レシピに書かれた数字より、自分が心地よく感じる味が分かってきます。しょうゆを少し減らして香りを足す、肉を少なくしてきのこを増やすなど、小さな変更が自分の定番になります。
量も自由に決められます。食欲のある日はご飯を多めにし、遅い時間の食事なら汁物と小さな主菜にするなど、生活の流れへ合わせられます。
2.一つの食材を違う料理へ展開できる
一人暮らしでは、買った食材を一食で使い切れないことが珍しくありません。けれど、同じ物を数日間同じ味で食べる必要はありません。
鶏肉なら、一日目は塩焼き、二日目は野菜と煮る、残りは下味を付けて冷凍する。キャベツなら、炒め物、汁物、和え物へ分けることができます。
料理名を数多く覚えるより、一つの食材に対して「焼く」「煮る」「汁物へ入れる」という三つの使い道を持つほうが、買い物の迷いを減らせます。冷蔵庫の中身から次の料理を考えられるようになると、食材が残ることへの負担も小さくなります。
3.忙しさに合わせて手間を増減できる
料理を続けるためには、毎回同じ水準を目指さないことが大切です。時間のある日は野菜を切って煮込み、疲れた日は冷凍野菜や豆腐、卵を使って短く仕上げられます。
炊いたご飯、即席の汁物、市販の総菜を組み合わせる日があっても構いません。すべてを手作りすることより、外食や買ってきた物も含めて、自分が食べやすい一食へ整えることが中心です。
今日は調理を楽しむ日、明日は温めるだけの日と分ければ、料理が毎日の義務だけになりにくくなります。手間をかける日と休む日を自分で決められることも、一人暮らしならではの自由です。
最初の献立は一つのフライパンで作る
初めて一人分の料理へ取り組むなら、ご飯と、肉または豆腐と野菜を合わせた主菜から始めます。副菜を何品も作らず、一つのフライパンにたんぱく質と野菜を入れれば、切る量と洗い物を抑えられます。
たとえば、鶏肉とキャベツのみそ炒めなら、材料は鶏肉、キャベツ、好みできのこほどです。味付けには、みそ、しょうゆ、砂糖またはみりんを使い、家にある調味料でまとめられます。
最初にご飯を炊き、その間に材料を切ります。火の通りにくい肉から加熱し、表面の色が変わってから野菜を加え、最後に合わせた調味料を回し入れます。
食べる前に少量を味見し、薄ければ調味料を少し足します。濃すぎる味は戻しにくいため、最初から全量を入れず、途中で調整できる余地を残します。
二食分を作った場合は、食べる分を盛りつけたあと、残りを清潔な容器へ移します。翌日はそのまま食べるほか、ご飯へ載せて丼にする、少量の水やだしを加えて煮るなど、簡単な変化を付けられます。
最初にそろえたい道具
一人暮らしの台所では、収納できる量にも限りがあります。用途が重なる道具を選び、大きさの違う鍋や便利器具を初めから数多くそろえないほうが扱いやすくなります。
最初に必要なもの
包丁、まな板、20〜26センチほどのフライパン、小さめの片手鍋、菜箸または耐熱へら、計量スプーンが基本です。食材を一時的に入れるボウルや深さのある皿も一つあると便利です。
フライパンは、炒めるだけでなく、ふたを使えば蒸し焼きや簡単な煮物にも使えます。小鍋では汁物、ゆで卵、麺、少量の煮物を作れます。
包丁は本数より、手に合う一本を安全に使えることが大切です。まな板は、流しと作業台の広さを測り、無理なく洗えて乾かせる大きさを選びます。
続けるなら用意したいもの
保存容器、冷凍用の袋、キッチンばさみ、電子レンジ対応の耐熱容器があると、余った食材や二食目を管理しやすくなります。保存容器は大きな物一つより、一食分を入れられる小さな物を数個用意すると使いやすいでしょう。
料理用温度計やタイマーは、肉の加熱や煮込み時間を確認したいときに役立ちます。ただし、最初からすべてそろえず、作る料理に必要だと感じた段階で追加します。
最初は後回しにできるもの
大きな鍋、複数の包丁、フードプロセッサー、専用のスライサーなどは、最初の料理には必要ありません。便利な道具も、洗浄や収納に手間がかかると使わなくなることがあります。
一つの料理にしか使わない調理家電も、使う頻度を考えてから選びます。鍋やフライパンで代用できるうちは、台所に余白を残しておくほうが作業しやすくなります。
買い物は料理名より使い道で考える
一人暮らしの買い物では、七日分の献立を細かく決めるより、数日で使う食材と使い道を考えるほうが続けやすくなります。
最初に肉、魚、豆腐、卵などから主菜の中心を一、二種類選びます。次に、複数の料理へ使いやすい玉ねぎ、にんじん、キャベツ、きのこなどを二、三種類加えます。
買う前に冷蔵庫を見て、残っている物を一つ使う料理を考えます。半分の玉ねぎがあれば、新しい野菜を何種類も増やさず、卵や肉を組み合わせるだけでも一品になります。
食材ごとに、最初の料理と次の使い道を決めておくと安心です。キャベツは炒め物と汁物、きのこは主菜と冷凍、卵は朝食と丼というように、二度使える物を選びます。
冷蔵や冷凍が必要な物は、買い物の最後にかごへ入れ、帰宅後に早めに収納します。肉や魚は汁がほかの食品へ触れないよう袋や容器へ入れ、使う量に分けておくと次の調理も楽になります。
一人分を無理に作らない
二人分や四人分のレシピを、一人分へ細かく割ると、調味料が量りにくくなることがあります。小さじ4分の1を正確に量ることへ時間をかけるより、二食分を作って分けるほうが現実的な料理もあります。
炒め物や煮物は二食分、ご飯は数食分をまとめて炊く。一方、麺や揚げ物など時間がたつと食感が変わりやすい料理は、その日に食べる量だけ仕上げます。
同じ料理を翌日も食べたくない場合は、味付け前に半分を取り分けます。ひき肉と玉ねぎを炒めた段階で分ければ、一方はトマト味、もう一方はしょうゆ味にできます。
作る量を増やすときは、何でも単純に二倍へしないようにします。調味料は控えめに加え、全体を混ぜて味見をしながら整えると、濃くなりすぎるのを防げます。
一つの食材を三回へつなげる
食材を使い切る工夫は、同じ料理を続けて食べることではありません。形や加熱方法を変えれば、同じ野菜でも別の食事になります。
たとえば、キャベツを買った日は、大きめに切って肉と炒めます。翌日は細く切って卵入りの汁物へ入れ、残りは塩でもんで簡単な和え物にできます。
きのこは、買った日に石づきなどを整え、一回分ずつ分けます。すぐ使う分は炒め物へ、残りは冷凍し、後日の汁物やパスタへ加えられます。
玉ねぎは、薄切りにすれば炒め物や汁物、くし形にすれば煮込みへ使えます。食材名から料理を一つだけ思い浮かべるのではなく、切り方と加熱方法を変えると使い道が増えます。
この方法なら、毎回違う食材を買う必要がありません。冷蔵庫にある物が分かるようになるほど、少ない材料で一食を考える力が育っていきます。
平日の料理を楽にする小さな準備
休日に一週間分の料理を作り置きしなくても、次の一食を少し楽にする準備はできます。野菜を一つ洗っておく、肉を一回分に分ける、ご飯を一食分ずつ包むだけでも、平日の作業が短くなります。
作り置きを増やしすぎると、食べる予定が変わったときに余ることがあります。最初は翌日分の一品や、味付け前の下ごしらえにとどめると管理しやすくなります。
保存する料理には、作った日と中身が分かるようにします。見た目が似た容器を何個も並べず、冷蔵庫を開けたときに早く使う物が見える位置へ置きます。
冷凍する場合も、家庭で作った料理は市販の冷凍食品と同じように長期間保存できるものではありません。小分けにして空気をできるだけ抜き、忘れないうちに食べ切ります。
洗い物まで含めて献立を選ぶ
料理を負担に感じる原因は、加熱時間だけではありません。材料を切るためのボウル、調味料を合わせる小皿、複数の鍋を使えば、食後の片づけが増えます。
忙しい日は、フライパン一つで完成する炒め物や蒸し焼き、鍋一つで作れる汁物や麺を選びます。材料を切ったまな板の上で混ぜるのではなく、切った物を順番に鍋へ入れれば、ボウルを減らせる場合もあります。
加熱の待ち時間にすべてを片づけようとすると、火元から目が離れることがあります。火を使っている間は料理を優先し、調理が終わってから、食べる前に数点だけ洗うくらいで十分です。
食後に残る道具の数まで考えて料理を選べるようになると、自炊を始める心理的な負担が小さくなります。
安全に料理を続けるために
調理前、生の肉や魚、卵へ触れた後、食事の前には手を洗います。生で食べる野菜や完成した料理へ、肉や魚の汁が付かないよう、切る順番と置き場所を分けます。
包丁とまな板は、使用後すぐに洗います。同じまな板を続けて使う場合は、生で食べる野菜を先に切り、肉や魚を後にすると作業を分けやすくなります。
肉や魚、卵など加熱が必要な物は、表面の色だけで判断せず、中心まで十分に火を通します。電子レンジでは加熱むらが出ることがあるため、途中で向きを変えたり、かき混ぜたりします。
料理を作ったまま室温へ長く置かず、保存する分は浅い容器へ小分けして早く冷まします。食べるときは十分に温め、においや見た目に違和感がある物は無理に食べません。
加熱中は台所を離れず、鍋の取っ手を通路側へ出さないようにします。油を使う料理では、水分の多い食材を入れるときのはねに注意し、濡れた布や紙を火の近くへ置きません。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 一つの料理を自分の分だけ完成させる
最初は、フライパン一つで作れる主菜や、鍋一つで作れる汁物を選びます。材料を切り、加熱し、味を見て、食べ終わった後に片づけるところまでを一つの流れとして経験します。
レシピどおりにできたかだけでなく、量はちょうどよかったか、また作りたい味だったかを一つだけ覚えておきます。
第2段階 二食分を違う形で食べる
一回の料理から二食分を用意し、翌日は丼、汁物、麺の具などへ変えます。同じ物をそのまま繰り返すのではなく、少ない手間で別の食事へつなげられるようになります。
味付け前に分ける方法や、主菜だけを残して主食を変える方法も覚えます。
第3段階 冷蔵庫の中から献立を考える
買い物前に在庫を確認し、残っている食材を中心に料理を決めます。「何を食べたいか」だけでなく、「何から使うと無駄がないか」という視点が加わります。
使い慣れた肉や野菜について、炒める、煮る、汁物へ入れるという複数の使い道を持てるようになります。
第4段階 自分の定番を育てる
疲れた日の料理、休日に作る料理、野菜を多く食べたい日の料理など、暮らしの場面ごとに定番を持ちます。毎回レシピを一から探さなくても、手元の食材に合わせて少し変更できるようになります。
調味料の量や切り方も、自分の好みに近づいていきます。簡単だから作る料理から、自分が食べたいから作る料理へ変わる段階です。
第5段階 季節と生活の変化に合わせて料理を組み立てる
暑い時期には火を使う時間を短くし、寒い時期には鍋や煮込みを取り入れる。仕事が忙しい週は冷凍できる料理を選び、時間のある休日には新しい一皿を試します。
一人で食べる料理だけでなく、家族や友人を招く日の料理へ広げることもできます。普段一人分を作っている経験が、人数に合わせて量と段取りを考える力につながります。
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日常料理は、冷蔵庫にある物やその日の予定に合わせ、一食を無理なく組み立てる楽しみです。一人暮らし料理で覚えた買い物、下ごしらえ、味見、保存を、毎日の食事全体へ広げられます。
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野菜料理では、同じ野菜でも切り方や火の入れ方を変え、異なる味や食感を引き出します。余らせやすい野菜を一つ買い、炒め物、汁物、和え物へ使い分けたい人にもつながります。
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最初の休日は、特別な調味料や多くの道具をそろえなくても大丈夫です。卵、肉や豆腐、二種類ほどの野菜を用意し、フライパン一つで二食分の主菜を作ってみてください。
一食目はそのまま皿へ盛り、残りは翌日の丼や汁物へつなげる。買った材料が冷蔵庫に残らず、自分のための食事として最後まで収まったとき、料理は毎日の作業から、暮らしを整える小さな楽しみへ変わっていきます。
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