見出し画像

リアルテニス(コートテニス)の楽しみ方

はじめに

低いネットの向こうから来た球が、壁へ当たり、傾斜した屋根を伝って不思議な角度で落ちてくる。木製のラケットで低く切るように返すと、手作りの球は床を滑り、壁の小さな開口部へ吸い込まれていきます。現代のテニスに似た得点のなかへ、建物そのものを使う戦略が重なるのが、リアルテニスの景色です。

リアルテニスは、現在のローンテニスにつながった原型のラケットスポーツです。米国では「コートテニス」と呼ばれますが、別の規則を持つ競技ではありません。日本にはすぐに体験できる常設の入口がないため、英国、フランス、米国、オーストラリアの現役コートへ予約し、専門家から習う旅として考えるのが現実的です。


リアルテニスの基本情報

リアルテニスの歴史は、中世のヨーロッパで行われた手打ちの球技へさかのぼります。囲われたコートの記録は13世紀、屋根のあるコートは15世紀に見られ、革の手袋や打具を経て、1500年ごろにはストリングを張ったラケットが使われるようになりました。15、30、40と数える得点法も、15世紀には記録されています。

19世紀後半に、屋外の平らなコートで楽しむローンテニスが生まれると、古くからの競技を区別するためにリアルテニスという呼び名が広まりました。英国やオーストラリアではリアルテニス、米国ではコートテニス、フランスではジュ・ド・ポームやクルト・ポームと呼ばれます。名称は違っても、同じ競技と同じ国際的な交流のなかにあります。

競技は1人対1人のシングルス、または2人対2人のダブルスで行います。専用コートは四方を壁に囲まれ、中央のネットでサービス側とハザード側に分かれます。3方向の壁にはペントハウスと呼ばれる傾斜屋根が張り出し、その下にギャラリーと呼ばれる開口部が並びます。

コートには、デダン、グリル、ウィニング・ギャラリーという得点につながる開口部があります。メインウォールから斜めに突き出すタンブールへ球が当たると、返球方向が急に変わります。壁と屋根は障害物ではなく、球を返し、相手を動かし、得点を狙うための競技空間です。

すべてのコートが同じ寸法と形をしているわけではありません。ペントハウスの角度、タンブールの幅、壁の素材などに違いがあり、公式規則もコートや大会ごとの特別規則を認めています。初めて訪れる場所では、以前のクラブと同じ跳ね方だと思わず、プロから固有の特徴を教わります。

ネットは中央で約91cm、両端で約152cmとなり、現代のテニスとは逆に中央が低く両端が高い形です。サーバーは毎ゲーム交代するのではなく、常にサービス側から打ち始めます。サービスは相手側のサービスペントハウスへ1度以上触れます。レシーバーが先にボレーしない場合は、サービスコートへ落ちるか、ウィニング・ギャラリーへ入れば有効です。

球は直径62〜65mm、重さ71〜78gで、コルクの芯へ布やひもを巻き、表面を縫って仕上げます。一般的なテニスボールのように缶から出して交換する物ではなく、各クラブのプロが作り、傷み具合を見ながら管理する伝統的な用具です。硬く密度があるため、柔らかそうな表面だけを見て安全だと思わないようにします。

ラケットは左右非対称の木製で、全長は680mm以下、ヘッド内側は長さ241mm、幅178mm以下とされています。先端側へわずかに傾いた形は、低い球や強い回転を扱いやすくするためのものです。現代テニスやスカッシュのラケットを代用せず、初回はクラブが用意する貸出品を使います。

得点は15、30、40、デュース、アドバンテージと進み、通常は6ゲームを先に取ると1セットです。6対5でセットが決まり、2ゲーム差やタイブレークは必要ありません。点数はサーバーからではなく、直前のポイントを取った側から先に読み上げる点にも違いがあります。

リアルテニスを特徴づけるのが「チェイス」です。球の2回目のバウンドが特定の区域へ落ちたり、得点用ではないギャラリーへ入ったりすると、その場では得点を確定せず、位置を記録します。チェイスが2つできるか、どちらかが40またはアドバンテージのときに1つできると両者が側を替え、記録した位置より良い球を打てるかによってポイントを決めます。

チェイスがあるため、ラリーを取ることと、有利なサービス側へ移ることを分けて考えます。強く打てる場面でも、相手へ良いチェイスを残さないために別のコースを選ぶことがあります。現代テニスの経験があっても、最初はプロやマーカーに得点と交代を読み上げてもらう方が流れを理解しやすくなります。

世界の競技運営は、英国、米国、オーストラリア、フランスの4か国と、国際的なプロのネットワークが支えています。各国で大会、規則、施設、育成を担い、プロは競技を教えるだけでなく、球やラケットの管理にも関わります。限られたコートを国を越えて守りながら、競技を次の世代へつないでいます。

競技は3大陸の50面近い専用コートで続けられ、世界大会や各国のリーグ、年代別大会も開かれています。マスターズやジュニアの世界大会もあり、歴史展示として残るだけではありません。世界規模では限られた人数ながら、現在も活発にプレーされている競技です。

一方、日本には常設の専用コートや、一般向けの定期体験がまだありません。「コートテニス」という名前から通常のテニスコートで行えると思わず、専用コートがある海外の受入先へ事前に連絡します。国内で新しい募集を見つけた場合も、実際にリアルテニス用の設備と指導者がそろうかを確かめます。

リアルテニスにかかる費用

日本から初めて体験する場合、競技そのものの料金よりも、航空券、宿泊、現地交通、旅行保険の負担が大きくなります。体験枠を確保する前に航空券を買わず、海外からの旅行者を受け入れるか、予約日、使用言語、用具、服装、支払方法をクラブから確認します。現地通貨を円へ換算した金額は、予約時の為替と手数料で変わります。

英国には、グループ入門と、ラケット貸出を含む個別入門を用意するコートがあります。開催日と空きによって料金や条件が変わるため、希望日に合わせて貸出内容まで聞きます。歴史的な建物では、観光するための条件とコートでプレーするための予約が同じとは限らないため、入口と集合方法も確かめます。

同じ場所で数か月試せる入門会員制度もあります。通常のコート代は、シングルスとダブルス、会員とゲストで異なり、指導料が別に加わることもあります。旅行中に1回体験するのか、滞在して続けるのかで費用の組み方が変わります。

英国には、会員や大学関係者以外も申し込める少人数の体験枠があります。定例の案内があっても、希望日に必ず開かれるとは限らないため、実施、料金、空きをプロへ確認します。参加費の有無にかかわらず、予約なしでコートへ入れる催しではありません。

オーストラリアにも、初心者向けの個別体験と、複数人で申し込めるグループ体験があります。数か月の入門会員に、グループレッスンとラケット貸出が含まれることもあります。短い旅行中の1回と、滞在しながら続ける場合では条件が違うため、希望する参加方法を先に伝えます。

米国やフランスにも現役のコートがありますが、会員制施設、教育機関、歴史的建物など運営の形はさまざまです。住所が分かっても、旅行者が当日に利用できる意味ではありません。初回料金、ゲスト条件、プロの空き、キャンセル期限まで返信を得てから訪れます。

最初の体験では、専用ラケットと球を買う必要はありません。貸出の有無を確認し、自分で用意する物は次の範囲から始めます。

  • ノンマーキングの室内コート用シューズ

  • クラブの服装規定に合う運動着

  • ラケット競技用の規格に適合したアイガード

  • 飲み物、タオル、着替え

  • 海外での運動を補償範囲に含む旅行保険

英国の伝統的なクラブには、白を主体とした服装とノンマーキングシューズを求める場所があります。色の条件は安全用品まで白にするという意味ではないため、アイガードや医療上必要な用具については予約時に相談します。購入前に、上衣、パンツ、靴のそれぞれに決まりがあるかを聞いておくと安心です。

継続する段階では、会費、コート代、レッスン代、ラケット貸出または購入費、球の管理費が必要です。専用ラケットは一般のスポーツ店で選びにくく、ストリングや修理も競技を知るプロへ頼むことになります。初回の印象だけで輸入せず、クラブで複数の重さや握りを試してから相談します。

リアルテニスをおすすめする3つの理由

建物全体が競技相手になり、1球ごとに違う景色が生まれる

平らな床とネットだけでなく、壁、傾斜屋根、開口部、斜めのタンブールまで球の行方に関わります。同じ方向へ打っても、当たる高さと回転が少し違えば、相手へ届く角度は変わります。古い建物の癖を少しずつ知る時間が、そのまま技術になります。

初めは予想外の跳ね方に追いつけなくても、壁へ当たる音と球の速度から次の場所を読めるようになります。正面だけでなく、横や頭上を含めてコートを見るため、1本のラリーに小さな発見が続きます。歴史的な空間を眺めるだけでなく、自分の打球で確かめられるのが魅力です。

チェイスを知るほど、力より考える時間が深くなる

すぐ得点にならないチェイスは、最初こそ複雑に感じられます。けれども、どこへ2回目のバウンドを置き、いつ有利な側へ移るかが分かると、強打とは別の道が見えてきます。相手が返しにくい低い球と、守りにくい位置を組み合わせる面白さがあります。

ハンディキャップ制度が細かく整えられ、経験や年代が違う人とも接戦を作りやすいことも特徴です。速さだけを競わず、コース、回転、判断で差を埋められます。落ち着いて考えた1球が、体力のある相手との試合を変える瞬間があります。

旅先の歴史と、現在のクラブ文化を同時に味わえる

ハンプトンコート、オックスフォード、ケンブリッジ、フォンテーヌブローなど、長い歴史を持つ土地に現役のコートがあります。そこでは古い建物を保存するだけでなく、プロが球を作り、初心者を教え、会員が日々の試合を続けています。観光の景色へ、現在進行形のスポーツが重なります。

新しいコートも造られ、シドニーでは2025年にプレーが再開しました。古い競技をそのまま閉じ込めるのではなく、女性、ジュニア、年代別の大会を含めて次へつないでいます。1つのクラブを訪ねた経験が、別の国のコートを巡る旅へ広がります。

始める場所と最初の道具を選ぶ

最初の候補は、各国で現在使われている専用コートから探します。英国には最も多く、ロンドン周辺だけでなく、ケンブリッジ、オックスフォード、ブリストル、マンチェスターなどにもあります。米国、フランス、オーストラリアを選ぶ場合も、旅行者の初心者体験を受け入れる窓口へ連絡します。

問い合わせでは、リアルテニスが初めてで日本から訪れることを先に伝えます。希望日、人数、年齢、ラケット競技の経験、必要な言語、見学か体験かを書き、ラケットとアイガードの貸出を聞きます。会員の紹介が必要な施設もあるため、「料金を払えば誰でも入れる」と考えません。

予約が取れたら、クラブの住所だけでなく、実際の入口と受付時間を確認します。宮殿、大学、会員制クラブの敷地では、観光客用の入口とプレーヤー用の入口が異なることがあります。遅刻すると限られたコート時間が短くなるため、現地交通の遅れも見込んで到着します。

初回のラケットは貸出品を使い、握りの太さと重さをプロに合わせてもらいます。非対称のヘッドには向きがあり、現代テニスのようにどちらの面でも同じ感覚で振れるとは限りません。自己流で強く握らず、低い球へ届く持ち方と、面を開きすぎない振り方から教わります。

球もクラブが管理する物を使います。手作りの球は、使い込むほど反発や表面の状態が変わり、温度によっても感触が変わります。落ちている球を勝手に選び、傷んだ物をゲームへ戻さず、プロやマーカーの指示に従います。

アイガードは、見た目が似た一般眼鏡ではなく、ラケット競技向けの耐衝撃規格に適合した物を選びます。BS 7930-1、AS/NZS 4066、ASTM F803、ASTM F3164-19、CSA P400など、スカッシュ用の国際的な基準を満たす製品が候補です。顔に合うか、ストラップが必要かも確認します。

国内のテニスコート、スカッシュコート、体育館へ線や仮設物を置いても、リアルテニスの専用コートにはなりません。ペントハウス、ギャラリー、タンブール、チェイスラインが競技の一部であり、壁の用途も異なります。正式な施設がない場所で自己流の再現をせず、映像や規則を学ぶ時間と実地体験を分けます。

体験前に試合映像を見るなら、得点の速さより、サービス側とハザード側、チェイスを告げるマーカーの声、選手が側を替える場面へ注目します。すべてを理解してから行く必要はありません。聞きたいことを2〜3個だけメモしておくと、現地で見た動きと説明が結びつきます。

初めてリアルテニスを体験する1日の流れ

前日まで|予約、服装、入口をもう1度確かめる

開始時刻、集合場所、体験料金、支払方法、貸出用具、服装規定をクラブから届いた案内で確認します。白を主体とする服装が必要か、ノンマーキングシューズの底が適切か、アイガードを借りられるかを見ます。観光予約だけで競技枠も取れたと思い込まないようにします。

長距離移動の直後に体験するなら、睡眠と水分を確保します。発熱、強い疲れ、めまい、肩や膝の痛みがある日は、遠くまで来たことを理由に無理を重ねません。見学へ変更できるか、キャンセル時の連絡先も控えておきます。

到着後|サービス側とハザード側を歩いて見る

受付を済ませたら、プロと一緒にコートへ入り、ネットを境にした2つの側を確認します。デダン、グリル、ウィニング・ギャラリー、タンブール、ペントハウスを指してもらい、どの開口部が得点になり、どこがチェイスになるかを聞きます。名称をすべて暗記する必要はありません。

床のチェイスライン、壁のアウトライン、球の置き場、出入口も見ます。ギャラリーは観客がいる空間でもあり、勝手に手を入れたり荷物を置いたりしません。コート固有の壁や屋根の癖、立ち入らない場所を最初に教わります。

用具確認|ラケットの向きと、アイガードの状態を整える

貸出ラケットに割れ、ささくれ、緩んだグリップ、切れかけたストリングがないかをプロと確かめます。非対称のヘッドをどちらへ向けて持つかを習い、軽く振って手首や肘に違和感がない物を選びます。借り物へ自分でテープを足したり、ストリングを動かしたりしません。

アイガードはレンズの傷、フレームの緩み、ストラップの位置を確認します。以前に強い衝撃を受けた物は、外見が無事でも交換が勧められます。靴ひも、ポケットの物、アクセサリーも整え、走ったときや壁際で引っかからない状態にします。

準備運動|床の止まり方と、低い打点を先に覚える

歩く、軽く走る、左右へ動く、止まる順に身体を温めます。足首、膝、股関節、背中、肩、肘、手首を痛みのない範囲で動かし、ラケットを持たずに小さなスイングをします。長い移動で身体が固い日は、通常よりゆっくり始めます。

ラケットを持ったら、腰より低い位置へ面を運び、短く振ります。壁際へ走り込まずに止まる場所、タンブールから離れる方向も教わります。球を追う前に、床で滑らず、相手と距離を取って動けることを確かめます。

最初の打球|低い球を、切るようにまっすぐ返す

プロが近い距離から送り、1回バウンドした球を面の中央で捉えます。上へ強く振り上げるより、球の後ろへ入り、面を安定させて低く運びます。最初は得点用の開口部を狙わず、相手が取りやすい場所へ返します。

次に、壁やペントハウスへ当たって落ちる球を待ちます。反射的に頭上へラケットを振らず、球の経路が見えなければ避けます。数球ごとに握りを緩め、手首、肘、肩へ痛みが出ていないかを確かめます。

サービスとチェイス|屋根へ当て、記録した位置を比べる

サービス側の決められた位置から、相手側のサービスペントハウスへ球を当て、床まで通す練習ではサービスコートへ落とします。実戦ではレシーバーが着地前にボレーでき、ウィニング・ギャラリーに入るサービスも有効です。オーバーハンド、アンダーハンド、フォア、バックの方法がありますが、初回はプロが選んだ扱いやすい形から始めます。速さより、屋根へ触れて正しい区域へ進む軌道を覚えます。

チェイスの練習では、2回目のバウンドをマーカーが読み上げ、その線を実際に見ます。側を替えたあと、先ほどの位置より良いか悪いかを比べて、保留されたポイントを決めます。紙の説明だけでは難しい仕組みが、同じ場所を反対側から打つことで少しずつ見えてきます。

ミニゲーム|マーカーの声を聞き、コートの違いを味わう

基本の返球とサービスができたら、短いゲームで15、30、40を数えます。プロやマーカーに、サービスフォルト、チェイス、側の交代、開口部への得点を読み上げてもらいます。分からないままラリーを止めず、区切りで理由を聞きます。

ハンディキャップを使う場合は、開始時の得点や条件を全員で確認します。初回は勝敗より、球の行方を見失ったら振らないことと、相手へ安全な空間を残すことを優先します。短い休憩で水分を取り、目と身体の疲れも確認します。

余裕があれば、タンブールへ当てた球、ペントハウスから落ちる球、メインウォールを使う球をプロに見せてもらいます。自分で強く狙う前に、どこから見ると経路を追いやすいかを確かめます。コートの癖を知ることが、建物を傷めず安全に使うことにもつながります。

別のクラブで経験があっても、その打ち方を同じまま持ち込みません。壁の速さ、照明、床、開口部の幅によって判断は変わります。「このコートではどうするか」をプロへ尋ねることも、リアルテニスらしい楽しみです。

終了後|用具を返し、次の予約と身体の変化を確認する

急に座り込まず、歩きながら呼吸を整え、前腕と肩をゆっくり休ませます。目や顔への接触、手首、肘、肩、腰、膝、足首の痛みがないかを見ます。頭痛、吐き気、見えにくさ、しびれがあれば、帰路を急がずクラブの責任者へ伝えます。

ラケット、球、アイガードを指定どおり返し、傷や緩みを見つけたら報告します。次回の体験や別クラブを勧められた場合は、正式な窓口と申込条件を聞きます。旅の記録には得点より、壁の音、難しかった球、もう1度試したいサービスを書き残します。

安全に楽しむために確認したい5つのこと

規格に適合したアイガードを、最初の1球から使う

リアルテニスではアイガードの使用が強く勧められています。一律の義務ではない場所でも、視力へ長く影響する事故を防ぐために省きません。71〜78gの球が壁やタンブールで急に方向を変えるため、初心者だけの用品とは考えないことが大切です。

ラケット競技用の耐衝撃規格を満たし、顔へ合う製品を選びます。ストラップは横からの衝撃でフレームが動くことを抑え、ポリカーボネートレンズは強い衝撃でも割れにくい素材です。強い球を受けたアイガードは、傷が小さくても点検し、必要なら交換します。

球を見失ったときと、人が打線に入ったときは振らない

壁と屋根を使うため、球は正面から来るとは限りません。見上げた球が照明へ重なった、タンブールで逆方向へ変わった、相手やパートナーが前へ入ったときは、無理にラケットを出しません。1点を続けるより、全員が次の球へ安全に戻れることを優先します。

目や顔へ球が当たったら、こすらずプレーを止めます。見えにくい、二重に見える、強く痛む、出血する場合は、会場の責任者から医療につなげます。頭痛、吐き気、めまい、ぼんやりする感じがあるときも、その日の競技へ戻りません。

ノンマーキングシューズで、壁際へ追い込みすぎない

歴史的なコートの床は、現代の屋内テニス施設と同じ素材とは限りません。クラブが指定するノンマーキングシューズを使い、濡れ、砂、靴底の摩耗がないかを確認します。床を傷つける靴や、横方向で滑るランニングシューズを自己判断で使いません。

球が壁際へ落ちても、身体を壁へ向けたまま全速で追いません。止まれる歩幅を残し、タンブール、ネットポスト、開口部の縁へ手や肩をぶつけない位置を覚えます。古い建物の突起や固有の注意点は、プレー前にプロから聞きます。

木製ラケットの間隔を取り、腕だけで強く振らない

ダブルスでは2人が同じ球へ近づくことがあります。打つ人を早めに決め、パートナーの前を横切ったり、背後で素振りをしたりしません。ラケットが接触したら続けず、木部の割れとストリングの緩みを点検します。

低い球を拾おうとして手首だけを返すと、前腕、肘、肩へ負担が集まります。足で打点へ入り、短いスイングから始め、返球数を少しずつ増やします。鋭い痛み、しびれ、握力低下、関節の不安定さがあれば、その日の練習を終えます。

クラブの特別規則と、海外での体調管理を優先する

コートごとに形が異なるため、ローカルルールと立入区域にも違いがあります。以前訪れた施設の習慣をそのまま使わず、マーカー、プロ、管理者の判断に従います。見学者も、開口部から身体や撮影機材を出さず、撮影の可否を確認します。

海外では時差、長距離移動、気温、慣れない食事で反応が遅くなることがあります。到着直後へ詰め込みすぎず、水分、睡眠、帰路の余裕を確保します。旅行保険がレクリエーションとしてのラケット競技と現地治療を含むかも、出発前に確認します。

経験を重ねると変わる5つの楽しみ方

第1段階|壁から来る球を見て、面の中央で低く返す

最初はプロが送る穏やかな球へ足を運び、1回バウンドのあとにまっすぐ返します。大きく振るより、非対称のラケット面を安定させ、相手が取りやすい高さを作ります。壁へ当たった球を見失ったら振らず、経路を追う習慣を覚えます。

ペントハウスから落ちる音や、床へ触れる速さが分かると、構える位置を早められます。3往復、5往復と続くうちに、現代テニスとは違う低い打点が自然になります。安全に相手へ返る1球が、この競技の入口です。

第2段階|サービスとチェイスを、実際の線で理解する

サービスをペントハウスへ当て、正しい区域へ落とせるようにします。次にチェイスの位置を聞き、側を替え、記録した線を守る側と超える側を経験します。保留されたポイントが決まる瞬間を繰り返すと、複雑だった規則に輪郭が生まれます。

15、30、40の得点と、6ゲーム先取のセットも覚えます。サーブが毎ゲーム自動で替わると思わず、チェイスが側の交代を作ることを意識します。自分で数えきれない間は、マーカーの声を聞いて動けば十分です。

第3段階|回転、壁、開口部を組み合わせてコースを作る

低く切るショットが安定したら、メインウォールやペントハウスを使い、相手の位置から遠ざけます。タンブールで角度を変える球や、デダン、グリルを狙う球にも少しずつ挑戦します。強打より、壁へ当てる高さと回転の質が大切です。

守るときは、相手がどの開口部を見ているかを読み、次の跳ね方へ先回りします。良いチェイスを残すか、すぐ得点を狙うかを選べるようになると、1本の意味が深まります。コート固有の癖も、自分の戦略へ変わっていきます。

第4段階|ハンディキャップで競い、別のコートを訪ねる

世界共通のハンディキャップへ記録されると、経験差のある相手とも接戦を作れます。受ける得点や条件を理解し、レベル別、年代別、男女混合の催しへ参加します。勝敗だけでなく、違う世代と同じコートを囲めることが続ける力になります。

別のクラブを訪ねると、壁の速さ、屋根の角度、タンブールの癖が変わります。いつもの正解が通じない場所で、プロから新しいサービスや守り方を教わります。競技を目的に旅を組み、1面ごとの歴史と現在の文化を味わえる段階です。

第5段階|競技の技術と、コートを守る文化を次へ渡す

経験を重ねたら、初めての人へラケットの向き、アイガード、球を見失ったときの判断を伝えられます。チェイスを急いで説明しすぎず、実際の線と短いゲームで体験してもらいます。初めて壁からの球を返せた瞬間を一緒に喜べることも、続けた人の楽しみです。

リアルテニスは、専用コート、手作りの球、用具を整えるプロがそろって初めて続きます。会費や訪問だけでなく、観戦、催しの手伝い、歴史的な施設への配慮も競技を支えます。古い形式を守りながら新しい参加者を迎えることが、次の1球へつながります。

リアルテニスと一緒に読みたい関連記事

テニスの楽しみ方

15、30、40と数え、ネットを挟んでラケットで球を返すところには、リアルテニスから受け継がれたつながりがあります。相手の位置を見てコースを変え、回転と深さを使い分ける面白さも、2つの競技を知る手がかりになります。

現代のテニスは平らな長方形のコートで行い、壁、ペントハウス、開口部、チェイスを使いません。ラケット、球、サービス、セットの決まりも異なるため、リアルテニスを昔の道具で行う通常のテニスとは考えないようにします。


スカッシュの楽しみ方

四方を壁に囲まれた室内で、跳ね返る球を読み、低い打点へ入る感覚には共通する部分があります。相手と同じ空間でラケットを振るため、打線へ入らない判断とアイガードの大切さも学べます。

スカッシュは正面のフロントウォールへ返球し、中央のネットやペントハウス、チェイスを使わない別競技です。球、ラケット、コートも専用であり、スカッシュコートへ仮のネットを置いてリアルテニスを再現することはできません。


パデルの楽しみ方

ネットと壁を1本のラリーへ組み込み、相手の位置と反射角を読むところには、似た楽しさがあります。ダブルスを中心に声をかけ、壁から戻る球を待って次のコースを作る時間も、ラケット競技の幅を広げてくれます。

パデルはガラスや金網のある規格コートで、穴の開いたパドルと専用球を使います。リアルテニスは非対称の木製ラケット、手作り球、傾斜屋根や開口部のある歴史的な専用コートを使うため、壁を使うという点だけで同じ競技にまとめません。


壁と屋根を巡る1球が、遠い歴史を休日へ連れてくる

リアルテニスの魅力は、現代テニスの原型を知ることだけではありません。壁へ響く音を聞き、傾斜屋根から落ちる球を待ち、チェイスの線を挟んで同じ1点をもう1度競う。建物、用具、規則が重なることで、ほかでは出会えないラリーが生まれます。

日本では気軽に通える常設の入口がなく、最初の1回にも準備が必要です。それでも、現役コートへ予約し、貸出用具と専門家の指導を頼れば、旅のなかで安全に触れられます。古いコートに自分の打球音が加わる日は、何世紀も続いた競技が自分の休日へつながる日になります。


休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。

ほかの趣味やレジャーも探してみたい方は、こちらの一覧から気になるものを覗いてみてください。

記事作成に使用している元情報や、データの整理方針についてはこちらで紹介しています。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集