ブラインドサッカーの楽しみ方
はじめに
足元を離れたボールが、しゃらしゃらと音を立てながらピッチを転がっていく。守備へ向かう選手の「ボイ」という声、ゴールキーパーやコーチの指示、ゴール裏から届くガイドの声が重なると、目には見えない1枚の地図が少しずつ立ち上がります。
ブラインドサッカーは、単に目を覆って行うサッカーではありません。ボールの音を聞き分け、自分の位置を声で伝え、離れた仲間から受け取った情報を次の一歩へ変える競技です。静けさの中で交わされる短い言葉には、方向、距離、相手の動き、いま選ぶべきプレーまで含まれています。
「視覚に障がいがなければ参加できないのでは」と思うかもしれませんが、一般向けの体験プログラムや、障がいの有無を問わず活動するクラブがあります。ただし、体験に参加できることと、公式大会へ選手として出場できることは別です。大会ではチーム登録や選手登録、視覚障がいのクラス分け、男女やポジションごとの出場条件が定められています。
まずは道具を買わず、指導者のいる体験会かクラブ練習で、音の出るボールに触れてみるのが安心です。ここでは、初めて参加するための準備から費用、競技ならではの見どころ、安全に楽しむための約束まで、ひとつずつ整理していきます。
ブラインドサッカーの基本情報
体験の目安
主な楽しみ方:体験プログラムやクラブ練習に参加し、音の出るボールを使った歩行、パス、ドリブル、シュート、少人数のゲームへ進む
最初の頻度:まずは1回。続けたくなったら、近隣クラブの活動日に合わせて月2〜4回ほど
1回の目安:体験会や練習は約60〜120分。受付、説明、着替えを含めると前後に余裕が必要
主な場所:体育館、フットサルコート、人工芝のグラウンドなど。安全な境界設備と、音を聞き取れる環境が必要
運動の特徴:短い走り、停止、方向転換、ボールを蹴る動作を繰り返す。足首、膝、股関節に負担が集まりやすい
始めやすさ:専用のボールやアイマスクは体験先で借りられることが多い。ただし、活動地域や参加対象は主催者ごとに異なる
公式競技の人数と音
公式のブラインドサッカーは5人制で、4人のフィールドプレーヤーと1人のゴールキーパーがピッチに入ります。フィールドプレーヤーは両目にアイパッチを貼り、その上から緩衝材の入ったアイシェードを着けます。ボールには転がっている間も音が出る仕組みがあり、ピッチの両側には高さ100〜120cmのフェンスが置かれます。
攻守の情報を支えるのは、フィールドの外にいる人たちです。守備側の区域ではゴールキーパー、中盤ではコーチ、攻撃側ではゴール裏のガイドが声を届けます。ガイドがゴールの位置を伝えるときには、声に加えてゴールポストをたたき、音の目印を作ることもあります。
2026〜2029年の国際公式規則では、試合は20分ずつの2ピリオドです。フィールドプレーヤーが相手へ近づいてボールを奪いに行くときは、「ボイ」「ゴー」などの声を明確に出します。これは存在を知らせ、接触を避けるための競技上の約束です。プレー中に観客へ静けさが求められるのも、ボールと選手、ガイドの音を競技者が聞き取れるようにするためです。
参加区分の違い
ここで区別しておきたいのが、ブラインドサッカーとロービジョンフットサルです。前者はB1カテゴリーを中心とする競技で、後者は見え方の異なるB2・B3カテゴリーの選手が主にプレーします。現行の国際公式規則では、男子ブラインドサッカーのフィールドプレーヤーはB1、女子はB1に加えてB2・B3も認められ、ゴールキーパーは視覚に障がいのない人またはB2・B3の選手が務められます。国内大会には別の参加枠が設けられることもあるため、出場を考える段階で大会要項を確かめます。
ブラインドサッカーにかかる費用
初回体験と主な費用
初めの1回は、専用用具を購入するより、貸し出しのある体験会を選ぶ方が無理がありません。一般向け体験には無料の催しもあれば有料のプログラムもあり、現行の個人向けプログラムでは1人4,000円、所要時間90分の例があります。このプログラムは18歳以上を対象に、アイマスクで歩く、ボールを探す、蹴る、仲間と声を交わすといったワークを行うもので、競技練習や試合出場そのものを目的にした場ではありません。
初回体験料:無料〜4,000円ほど。会場までの交通費は別
最初の服装代:手持ちの運動着と指定に合うシューズがあれば、追加費用はほとんどかからない
続ける場合の費用:クラブ会費、練習参加費、施設使用料、スポーツ保険、交通費など。金額と支払い方はクラブごとに異なる
個人用具を買う場合:競技用アイマスクは2,530〜2,990円、ボールとアイマスクのセットは6,900〜7,300円ほどの販売例がある
大会へ進む場合:登録料、大会参加費、ユニフォーム、遠征交通費、宿泊費などが加わることがある
シューズと専用用具
運動着のほかに購入候補となるのは、屋内用シューズやトレーニングシューズ、すね当てです。公式規則ではスパイクシューズは認められていないため、練習場所の床や人工芝に合うものをクラブへ確認してから選びます。アイマスクだけを用意すれば正式な用具条件を満たすわけではなく、公式戦ではアイパッチや認められた形状のアイシェードなどの確認もあります。
音の出る公認ボールは1球6,800円ほどの販売例がありますが、1人で安全に練習するための道具ではありません。音の聞こえ方を試すには周囲の安全確認と見守りが必要で、クラブならフェンスやゴール、複数のボールも共有できます。初回から個人購入せず、何度か参加してから必要性を判断する方が、費用も保管の負担も抑えられます。
年間予算
年間費用は、全国一律の金額に置き換えられません。月2回、年間24回の練習へ1回1,000円で参加し、スポーツ保険などの予備費2,000円、個人用アイマスク2,530円を加えると、初年度は28,530円です。1回1,000円で通う場合の計算で、交通費、シューズ、すね当て、大会や遠征の費用は含みません。
実際の予算は、月会費制か参加ごとの支払いか、用具を借りられるか、遠征へ参加するかで大きく変わります。見学を申し込むときに、体験料、入会金、会費、保険、用具の貸し出し、遠征参加の扱いをまとめて聞いておくと、続けたときの予算を具体的に考えられます。
ブラインドサッカーをおすすめする3つの理由
音が、広いピッチの地図へ変わっていく
最初に聞こえるのは、ボールの中で鳴る細かな音かもしれません。慣れてくると、音が右から左へ移る速さ、フェンスへ当たって変わる響き、足元で小さく刻まれるドリブルの間隔から、ボールの位置と動く方向が少しずつ分かるようになります。
音だけを追いかけて走るのではなく、自分が向いている方向、ゴールまでの距離、近くにいる仲間を頭の中で組み合わせます。止まったボールは音が消えるため、足裏や声を使って探し直す場面もあります。聞こえた1つの音を、次の動きへ変えられた瞬間に、この競技ならではの手応えがあります。
3つの声を受け取り、自分で次のプレーを選べる
ブラインドサッカーでは、ゴールキーパー、コーチ、ガイドが、それぞれ決められた区域から情報を伝えます。守備では相手の位置、中盤では味方との間隔、攻撃ではゴールの方向というように、声の役割が切り替わります。
ただし、外から届く声が選手を遠隔操作するわけではありません。複数の情報を聞き分け、ボールを運ぶか、パスを出すか、シュートへ進むかを決めるのはピッチの選手です。短く正確な言葉と、選手自身の判断がかみ合ったとき、目に見える合図とは違う速さで攻撃がつながります。
「伝える」と「任せる」の両方がプレーになる
声をかける側は、ただ大きく話せばよいわけではありません。「こっち」ではなく方向と距離を具体的にし、必要な情報だけを届く長さに整えます。受け取る側も、自分の名前や位置、ボールを持っていることを言葉にし、仲間が判断できる手がかりを返します。
声を出して相手へ伝えたら、次はその人が選ぶ動きを待つ。相手の声を受け取ったら、自分の判断で一歩を踏み出す。この往復がパスや守備そのものになっているため、会話とプレーを別々に考えられません。障がいの有無にかかわらず、同じ場で役割を持ち、互いの情報を使って1つの局面を作れるところに大きな魅力があります。
始める場所と最初の道具を選ぶ
最初の候補は、一般向け体験プログラム、地域のクラブ練習、視覚に障がいのある子どもや女性などを対象にした練習会の3つです。一般向けプログラムは、運動経験が少ない人でも音とコミュニケーションを知りやすい一方、競技の試合は行わないことがあります。実際のパスや守備、ゲームへ進みたいなら、クラブへ見学・体験を相談すると目的に近づきます。
全国のクラブには、視覚に障がいのある人とない人が一緒に活動しているチームがあります。ただし、見学はいつでも可能でも体験日は限られる、初回は練習の一部だけ参加する、年齢や健康状態によって受け入れ方法を調整するなど、条件は同じではありません。連絡するときは、年齢、サッカー経験、見え方、希望する役割、必要な移動サポート、参加したい日を伝えます。
ここでいう「見え方」は、参加できるかどうかを本人以外が決めるための質問ではありません。会場案内や練習内容を安全に調整するための情報です。全盲、弱視、視野の狭さ、まぶしさなどは一人ひとり異なり、白杖を使っているから全盲とは限りません。どのような説明や誘導が分かりやすいかも、本人へ確かめるのが基本です。
初回の持ち物は、動きやすい服、会場指定のシューズ、飲み物、タオル、着替えが中心です。クラブから案内があれば、すね当ても用意します。時計、アクセサリー、硬い髪留めなど、接触したときに自分や相手を傷つけるものは外しておきます。
専用ボール、アイマスク、アイパッチ、ビブスは、貸し出しの有無を事前に確認します。視覚に障がいのある参加者が普段使う白杖、遮光眼鏡、スマートフォンなどは、スタッフが勝手に預かったり移動させたりせず、置き場所と返し方を本人と決めます。会場までの経路や最寄り駅からの案内が必要なら、申込時に相談しておくと当日が落ち着きます。
大会出場は、体験とは別の段階です。国内の公式大会へ参加するクラブには年度ごとのチーム登録があり、選手やゴールキーパー、ガイド、コーチなどの登録手続きもあります。国内大会では、視覚に障がいのない人がアイシェードを着けてフィールドプレーヤーとして出場できる場合もありますが、すべての大会、すべての部門に当てはまるわけではありません。
国際大会では、眼科的なクラス分けと、男女・ポジション別の参加条件が関わります。クラブで楽しく練習できるか、国内大会へ出られるか、国際公式戦の資格を満たすかは、それぞれ別に考えます。最初の体験時点で診断書やクラス分けを心配する必要はなく、大会を目指すことになったら、所属クラブと一緒に最新の要項を確認します。
初めてブラインドサッカーを体験する1日の流れ
前日まで|目的に合う体験先を選んで申し込む
音の出るボールへ触れてみたいなら一般向けプログラム、競技として続けたいならクラブ練習というように、目的から入口を選びます。「体験」と書かれていても、ワークショップ、選手向け練習、親子イベントでは内容が違うため、対象年齢と実施内容を確かめます。
申込時には、用具の貸し出し、シューズの種類、着替える場所、集合方法を確認します。見え方や移動について配慮してほしいことがある場合は、遠慮せず具体的に伝えます。
出発前|体調と持ち物を整えて会場へ向かう
当日は、足首や膝を曲げやすい服装にし、爪を短く整え、装身具を外せるようにしておきます。食事は直前に詰め込みすぎず、飲み物と必要な薬を忘れないようにします。
初めての会場では、受付や更衣室を探す時間も見込み、開始の15〜30分前を目安に到着すると安心です。到着時に移動の案内が必要なら、事前に決めた待ち合わせ場所からスタッフへ連絡します。
到着後|会場の形と安全な動線を共有する
練習の前に、入口、更衣室、トイレ、ベンチ、ピッチの出入口を確認します。視覚に障がいのある参加者へ案内するときは、腕や白杖を急につかまず、まず名乗って、どのような誘導がよいか本人に聞きます。
ピッチでは、フェンス、ゴール、壁、柱、荷物などの位置を共有します。アイマスクを着ける前に、必要な案内を受けながら1度歩き、止まる合図やスタッフの声も確かめます。
開始直後|準備運動と音の確認をする
足首、膝、股関節をゆっくり動かし、短い歩行や軽いジョギングで身体を温めます。普段あまり運動しない人は、そのことを最初に伝え、走る距離や休憩を調整してもらいます。
続いて、ボールを手で持って鳴らし、転がる音が距離によってどう変わるかを聞きます。声を出す人の位置、笛、停止の合図も確認し、何の音か分からないまま動き始めないことが大切です。
活動の前半|アイマスクで立つ、歩く、止まる
いきなり走るのではなく、アイマスクを着けて立ち、名前を呼ばれた方向へ顔を向けるところから始めます。次に数歩だけ歩き、止まる、方向を変える、元の場所へ戻るという短い動きを繰り返します。
見えない状態への感じ方は人によって異なります。不安、圧迫感、めまい、息苦しさがあれば外して休み、無理に「慣れなければ」と続けません。体験先の指示がある場合を除き、アイマスクを着けた人を無言で動かしたり、後ろから押したりしないようにします。
活動の中心|パスとドリブルでボールとの距離をつかむ
最初のパスは、短い距離で相手の名前を呼び、返事を聞いてから転がします。受ける側は足を開いてボールを止め、どこで音が消えたかを足裏で確かめます。
ドリブルではボールを大きく離さず、左右の足で細かく触れて音を絶やさないようにします。速く進むことより、ボールと自分の間隔を一定にし、声を聞いたら安全に止まれることが最初の目標です。
活動の後半|シュートや小さなゲームで声をつなぐ
シュート練習では、ゴール裏のガイド役が声やゴールをたたく音で方向を伝えます。選手はその音を聞き、助走の向きと蹴る強さを選びます。初めてボールが狙った方向へ伸びたときは、速さよりも「情報を動きへ変えられた」ことがうれしく感じられます。
少人数のゲームへ進む場合は、範囲と速度を小さくし、「ボイ」の声、名前を呼ぶパス、停止の合図を優先します。一般向けワークショップでは、競技形式の試合を行わず、グループでボールを探したり声を届けたりするところまでで終わることもあります。
終了後|振り返り、片付け、次の入口を決める
終了後はアイマスクを外し、ゆっくり歩いて呼吸を整えます。足首や膝に痛みがないか確かめ、借りた用具はスタッフの指示に従って返します。
振り返りでは、聞き取りやすかった声、迷った方向、安心できた案内を具体的に伝えると、次の練習につながります。続けたい場合は、見学できる通常練習、会費、保険、担当できる役割を聞きます。1回で選手になると決めなくても、まず試合を観戦し、音と声が実戦でどう使われるかを知る方法もあります。
安全に楽しむために確認したい5つのこと
指導者のいる、障害物を管理できる場所で行う
アイマスクを着けた状態では、小さな荷物や壁際の段差も衝突につながります。初回は、競技を理解する指導者がいて、ピッチ外へ人や物が入り込まない体験会を選びます。自宅前の道路や一般の公園で、見守りなしに目を覆ってボールを追う練習はしません。
ゴールが固定されているか、フェンスの端や柱が保護されているか、ピッチと障害物の間に安全な余地があるかも大切です。何かがコート内へ入ったときは、声だけでよけさせようとせず、全員を止めてから取り除きます。
「ボイ」と停止の合図を、速さより先に身につける
相手へ近づいてボールを奪いに行くときの「ボイ」は、雰囲気を盛り上げる掛け声ではなく、安全のための情報です。声を出さずに近づく、相手の進路へ急に入る、頭を下げたままボールを探すといった動きは接触を招きます。
体験では、ボールを奪う技術より先に、名前を呼ぶ、返事をする、止まる合図に反応する練習を重ねます。プレーに関係のない人は無断でピッチへ入らず、周囲もボールが動いている間は不要な声や音を控えます。
アイマスクは段階的に使い、違和感を我慢しない
見え方をそろえるためのアイシェードは重要ですが、きつく締めすぎると圧迫や頭痛につながります。ずれた状態では鼻や目の周囲に当たりやすいため、指導者に位置を確認してもらい、必要に応じて緩衝材やサイズを調整します。
体験時は、静止、歩行、ボール操作と段階を踏みます。めまい、吐き気、強い不安、呼吸のしづらさがあれば、その場で止まってスタッフへ伝えます。公式戦用のアイパッチやアイシェードは用具条件があるため、自己流で代用品を作らずクラブの確認を受けます。
足元と暑さへの対策を整える
方向転換とキックを繰り返すため、準備運動では足首、膝、股関節を丁寧に動かします。滑る床に合わない靴、すり減った靴底、スパイクは避け、接触へ備えてすね当てを着けます。身体へ当たる可能性のある時計やアクセサリーも外します。
屋外では、暑さ、寒さ、紫外線への感じ方や必要な対策が人によって異なります。特にアルビノの人など紫外線の影響を受けやすい参加者もいるため、一律の服装を押しつけず、休憩、日陰、屋内への変更を含めて相談します。痛み、強い息切れ、ふらつきがある日は中止する判断も大切です。
声かけ、誘導、撮影は本人の希望を確かめる
視覚に障がいのある人を案内するときは、まず自分の名前や役割を伝え、「案内しましょうか」「どの方法が分かりやすいですか」と聞きます。希望があれば、案内する側の肘や肩につかまってもらい、半歩前を歩きます。手や白杖を引く、背中を押す、「あちら」「もう少し」と曖昧に伝える方法は避けます。
声をかけることと、代わりに決めることは違います。本人が自分で移動したい、説明だけ受けたいと答えたなら、その希望を尊重します。撮影も同じで、会場の許可だけでなく、写る本人の同意を得てから行い、SNSへ載せる場合は公開範囲まで確認します。大会や練習には撮影を制限する日があるため、その場の案内を優先します。
経験を重ねると変わる5つの楽しみ方
第1段階|音の方向へ身体を向け、ボールを止める
最初は、転がってくる音に正面を向き、足元でボールを止められるだけでも景色が変わります。返事をしてから動く、分からないときは止まるという基本が、安心して参加する土台になります。
1回の体験で速いドリブルまで進まなくてもかまいません。音が近づく感覚と、自分の足へ触れた瞬間を丁寧に結びつけることが、この段階の楽しみです。
第2段階|名前を呼び、短いパスをつなぐ
相手の名前を呼び、返ってきた声へ向けてパスを出します。ボールが途中でフェンスへ触れたのか、相手の足元まで届いたのかを音から確かめ、次は角度や強さを変えます。
受け手も「ここ」「戻す」と情報を返すようになると、2人の間に見えないパスコースが生まれます。技術と会話が同時に整っていく段階です。
第3段階|3つの声を使い分けて攻撃を組み立てる
守備、中盤、攻撃で異なる声を聞き分け、自分がピッチのどこにいるかを組み直します。ボールを持ってから明らかに攻撃しない状態が40秒続くと反則になるため、公式の試合では情報を受け取りながら前へ進む判断も必要です。
ガイドの声へまっすぐ向かうだけでなく、相手をかわすため1度フェンス側へ運ぶ、仲間へ預けて位置を取り直すなど、選択肢が増えていきます。音の地図が、戦術の地図へ変わるところです。
第4段階|自分の役割を磨き、試合の流れを読む
ボールを奪うのが得意な選手、細かなドリブルで前進する選手、声で味方の間隔を整える選手など、同じフィールドプレーヤーでも役割が見えてきます。ゴールキーパーやガイドを経験すると、どの情報が届きやすく、どの言葉が判断を遅らせるかも分かります。
クラブ内のゲームから地域大会へ進むなら、登録、用具、クラス分け、出場資格をチームと確認します。勝敗だけでなく、観客の静けさから歓声へ切り替わる瞬間や、ベンチを含む全員で1つの攻撃を作る感覚が濃くなります。
第5段階|選手、ガイド、運営として競技の場を育てる
長く関わる方法は、選手として上達することだけではありません。ゴールキーパー、ガイド、コーチ、審判、体験会スタッフ、大会ボランティア、観客として、それぞれの立場から競技を支えられます。
大切なのは、視覚に障がいのある人を一方的に「助ける」構図へ戻さないことです。誰もが役割を持ち、必要な情報を出し合い、選手の判断を尊重する。最初の体験で覚えた短い声の往復が、やがて安心して挑戦できるチームや会場を作る力になります。
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サッカーの楽しみ方
広い場所へボールを運び、仲間の動きに合わせてパスコースを作る面白さは、ブラインドサッカーにもつながります。視覚で周囲を確認するサッカーと、音と声で位置を共有するブラインドサッカーを比べると、同じプレーに必要な情報の違いがよく分かります。
フットサルの楽しみ方
小さなコートで素早く攻守が切り替わるフットサルは、足裏でボールを止める技術や短いパス、限られた空間の使い方を楽しめます。ブラインドサッカーの元になった競技との共通点を知ると、フェンスやガイド、音の出るボールが担う役割も見えやすくなります。
ボッチャの楽しみ方
ボッチャは、目標球へどの角度と強さでボールを近づけるかを考える競技です。走る動きは少ないものの、限られた言葉で作戦を共有し、1球ごとに空間の状態を読み直すところに、ブラインドサッカーとは違う形の集中と戦術があります。
音と声の間に、次の一歩が生まれる
ブラインドサッカーのピッチでは、静けさは何も起きていない時間ではありません。ボールの音を探し、仲間の声を選び、自分が踏み出す方向を決めるための、情報に満ちた時間です。その静けさを破る「ボイ」の一声にも、相手と同じ場で安全に競い合うための意味があります。
最初から見えない状態で走ったり、試合へ出たりする必要はありません。道具を借りられる体験会でボールを手に取り、数メートルのパスを1本つないでみる。そこから、音が距離へ、声が方向へ、仲間への信頼が自分の動きへ変わっていく面白さが始まります。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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