ニヤッと笑う君に、また救われる|”素直になれない大人”を、4歳児に教わる日々
「こらっ!」「あ〜、もうっ!」
4歳の息子につい、大声を出してしまう。
月の半分は離れて暮らしているぶん、会えるときくらい、ニコニコ優しいお母さんでいたい。
……はずなのに。
一瞬のイラっとした感情が、大声や表情として噴き出してしまう。
怒鳴ると、息子はすぐに逃げる。
「ヤバい、早く逃げよう」と学習してしまったらしい。
私はと言えば、「またやってしまった……」と後悔の波にのまれる。
別に、大声を出すほどのことじゃなかったのに。
息子も私も、しばらく気まずい時間。
でもふと見ると、干してある洗濯物の隙間から、彼がこっちを覗いている。
目が合うと、ニヤッと笑う。
そして、何事もなかったかのように「ママ〜、何してるの〜?」と話しかけてくる。
私は思わず笑ってしまい、親子の時間が、また静かに動き出す。
子どもって、すごい。
気まずいときに、自分から話しかけに行ける勇気があるんだもん。
素直になれない大人
でも、大人になるとーー。
素直になれない。
なかなか勇気が出ない。
また怒られそうで、怖い。
「相手が先に謝るべきだ」って気持ちに縛られて、身動きが取れなくなる。
そのうち、人間関係はぎこちなくなって、やがて、こじれてしまう。
私も、何度も経験してきた。
素直になれなかったせいで、疎遠になった人がたくさんいる。
過去の恋愛も、たぶんそれが原因で何度か終わってしまった。
今だって、夫と気まずくなることはよくある。
「ごめんね」と、たったひと言伝えれば済む話なのに、なぜか言えない。
むしろ、目を合わせた瞬間、責めるような言葉をぶつけてしまうことさえある。
きっと私たちが夫婦じゃなかったら――
彼氏彼女の関係だったら、とっくに終わってたかもしれない。
でも、私たちは家族で、息子の両親だ。
だから、お互いに歩み寄ろうと努力する。
一晩くらいは口を利かなくても、冷静さを取り戻したら、タイミングを見て、また話し合う。
……これ、けっこう労力がいる。
早く仲直りしたくても、相手がどう思ってるか分からない。
何て声をかければいいのかも分からない。
悶々と考えてるうちに、仕事にも集中できなくなって、気づいたら3日くらい消耗してる。
「ごめんね」って、たった一言なのにね。
それでも人間関係を手放せない理由
それでも、私は向き合おうとする。
そう思えるのは、相手が家族だから。
これが他の人間関係だったら、
わざわざ修復しようなんて思わないかもしれない。
「まあ、その程度の付き合いだったんだな」
そうやって、あっさり諦めることの方が多かった。
でも、人間関係って、簡単には切れないことも多い。
わだかまりを抱えたまま、当たり障りのない会話だけでやり過ごす。
そんな関係が、職場や親族、知人とのあいだに、いくつもある。
そして、そうした“気まずいままの関係”が、少しずつ積み重なっていく。
気づけば、自分の居場所が減っている。
誰にも本音を話せない。安心できない。
その積み重ねが、「生きづらさ」になって、
やがて心をむしばんでいく。
……結局、原因は自分の中にある。
素直になれなかった、自分の言動に。
いつの間にか育っていた息子のレジリエンス
息子の回復力――レジリエンスって、改めてすごいと思う。
母親に怒られる、というプチ困難を、
彼はとても柔らかく乗り越えていく。
たとえば今日のあの「ニヤッ」も、
彼なりの“しなやかな修復スキル”だったのかもしれない。
ちょっと離れたところから様子をうかがい、
目が合ったら笑ってみる。
もしまだ怒っていそうなら、一度引っ込む。
でも、時間を少しおいて、また挑戦してみる。
この距離の取り方と縮め方は、
彼自身の心を守るためでもあるのだろう。
気まずい雰囲気の直後に「ママ〜!」とハグしたら、
「今は無理!」って、余計に怒られるかもしれない。
でも、アクションを起こさなければ、
気まずいままなのも分かっている。
その間(あいだ)で揺れながら、
彼なりに一番いいやり方を、選び取ってるんだなあと思う。
まだ4歳なのに。
息子の力を借りて、母も成長します。
あ〜あ。
また今日も、30代の母は、4歳の息子に救われてしまった。
「ま、いっか。」
毎回そう思ってるわりに、
私はすぐに“イラっ”としてしまう。
だからせめて、怒りのマネジメントを考えてみる。
目標は、イラっとした瞬間にすぐ声を荒げないこと。
やってしまったことは、仕方ない。
そのあとは、仲直り担当の息子にバトンを渡すことにする。
……洗濯物の隙間から、そっと覗く勇気。
あの小さな背中に、今日も教えられた。
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