『トラベリング Too ビジー』─── 第79回カンヌ国際映画祭(2026)の記録 - 1日目(前日譚:事前準備 / パリ編①)
そうだ、カンヌに行こう!
2026年春、一念発起してカンヌ国際映画祭に参戦するを決意した。
何を隠そう、今年は日本初の「カントリー・オブ・オナー」。
更に言ってしまえば、日本映画がコンペティション部門に3作品もノミネートされている。
これは2001年の第54回カンヌ国際映画祭以来となる四半世紀ぶりの快挙だ。
■『ナギダイアリー』
監督:深田晃司 / 主演:松たか子、石橋静河
■『急に具合が悪くなる』
監督:濱口竜介 / 主演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒
■『箱の中の羊』
監督:是枝裕和 / 主演:綾瀬はるか、大悟、桒木里夢
2020年に企画・製作を行った拙作『突然失礼致します!』の製作メンバーであり、映画研究・ジャーナリズムの道を究めていた友人の小城大知(広島大学映画研究会)に連絡を取る。
どうやら彼も「プレス」の立場でカンヌ国際映画祭に参加するらしい。
よっしゃ!小城さんがいれば百人力だ!
あとは有給取ってカンヌ行くだけだぜ…っ!
そう思っていた熊谷だったが、事態はそう単純ではなかった…。
見積りの甘さに震える…
あれ…もしかして今、円安やばい?
1ユーロは怒涛の180円超え。
以前、イタリアに『ジョジョの奇妙な冒険 第5部~黄金の風~』の聖地巡礼に行ったことがあるので、ヨーロッパ旅行の相場観は大体分かっている。
「180超え」は笑いごとにならない数値だ…。

更に中東情勢の悪化で飛行機の数が減少…。
本来は中東を経由して格安でのフランス渡航ができるのでは!?と見込んでいたが、そもそも飛行機が飛ばない可能性を考慮すると、自ずと取れる選択肢は「直行便」ただひとつに…。
▼とこうけん の ねだん は ゆうに 20まんえん を こえた!

その上、パス代があまりにも高い…っ!
自分が取得できる可能性があるのは「マルシェ・ドゥ・フィルム」というマーケットのパスだけだ。
これを取得できればマーケット入場だけでなく、映画も見放題となる。
パスの取得自体は審査制。ただマルシェは承認ハードルが低いと聞く。
しかしこのマルシェ、中々に曲者だ。
値段は、なんと怒涛の529ユーロ。
そして、そこに異様に高いフランスのVAT(付加価値税)が追加される。
VATの数値はまさかの+20%。
529*1.20=634.8ユーロ。
ということは、そこに180を掛けると…。
びっくり仰天の数値が出てくる。
これだけでも10万円超えるじゃねえか!!

EARLY BIRD(459ユーロ)は間に合わなかった…。
※補足:
どうやら28歳以下が使える「3 Days in Cannes」というパスや、
実質的なデイリーパスの「Daily Marché Badge」みたいなもっと格安のパスもあったらしい。
だが、ここで10万のマルシェを取ったことが「後々に決定的なアドバンテージに繋がること」を熊谷はまだ知らないのだ…。
そしてカンヌのTPO…。
タキシード必須…?ふざけるな!そんなもん持ってるわけないだろ!
これもどうやら1から購入が必要らしい…。

「ガラ上映はタキシード必須」の文言が…。
ありがたいことに、宿泊はどうにか格安の当たりがつきそうなのだが、それ抜きにしても高すぎる…。
余裕で見積もり50万を超えてしまうよ…。
一ヶ月以上にも渡る長考の末、
漢・熊谷は、意を決してのカンヌ渡航を決めた。
もしかしたら、一生に一度の経験だ…。
20代のうちにカンヌに行ったということは、自分の映画人生にとって大きな財産となるだろう───。
4月下旬。
震える手を抑えながら、値段が「NOMAL」価格のうちにマルシェ・ドゥ・フィルムの決済フォームへと進む。
細田守監督の傑作『サマーウォーズ』の主人公の気持ちが少しだけ分かった気がした。

(©2009 サマーウォーズ製作委員会より引用)
「最高にフランスを楽しむプラン」の考案
ここからは、情報戦のフェーズである。
あとは「カンヌをどう堪能し尽くすか」を徹底的に詰めるのみ───。
まずは「スケジュールの設計」だ。
カンヌの上映スケジュールは5月頭に出るらしい。
とてもじゃないが、公式発表を待っていたら全てが破綻してしまう…。
現実的な話、一度に有給を取れる限界は何日なのだろうか…。
Geminiとの壮絶な問答の末、算出された結論は「5営業日(1週間)」。
たしかに現地宿泊等を考えるに、そこらへんがリアルな落としどころか…。
カンヌ国際映画祭は、現地日程の5月12日(火)~23日(土)の開催。
パーティー系は第1週に集中し、マルシェ・ドゥ・フィルム自体も20日にはクローズするらしい。
必然的に第1週の参加で調整がベターな選択だろう。
格安航空(LCC)を抑える以上、いくら直行便といえど、片道で1日は優に吹き飛ぶぞ…。
開催初日の火曜日に合わせて現地入りがベストか?
しかし週を跨ぐ有給取得はさすがにまずいのでは…?

これらを基にクマガイ・ニューロンを逡巡させる。
そして出た結論。それは「前入り観光コース」だった。
カンヌへの参戦歴のある諸先輩方(某N社の加藤さん)らにヒアリングを行い、「せっかく高い金払っていくなら、映画祭だけじゃなくて観光もした方がええやろ!」という結論に帰着した。
そうだ!この際、パリにも行こう!
同じフランス行きの時点でイニシャルコストは大して変わらない。
それだったら花の都にも行った方が良くない!?
この直前に敬愛して止まないアニメ作家・谷口悟朗監督の傑作『パリに咲くエトワール』を鑑賞していたこともあり、パリ行きには興味津々だった。
よっしゃ!パリに行こう!
ルーヴル美術館でモナリザを見よう!
シネマーク・フランセーズで映画鑑賞だ!
エッフェル塔と凱旋門にも行きたい!
あとポンヌフ!レオス・カラックスごっこをしよう!
直近に映画美学校で作った自叙伝『クマガイヒロアキ:リザルト』で、全力でレオス・カラックス監督の傑作『汚れた血』のパロディを楽しんだ身として、次は『ポンヌフの恋人』を再現したいという欲求が抑えられなかった。
何を隠そう、熊谷の身長はアレックス3部作の主演俳優であるドニ・ラヴァンと大して変わらないのだ。
身も心も、さながらアレックスだ。あとは現地でジュリエット・ビノシュを探すんだ!
どんどん増大していく煩悩に頭を抱えながらも、最適なスケジュールがおぼろげながら見え来た。
<最適スケジュール>
5月8日(金):退社後、その足で羽田空港に行く。
5月8日夜~9日朝:羽田→シャルルドゴール空港にフライト。
5月9日(土)~10日(日):パリ観光(2日間)
5月11日(月):電車でパリからカンヌに移動。
5月11日午後:カンヌ入り。事前偵察。
5月12日(火)~16日(土):カンヌ国際映画祭参戦(5日間)
5月17日(日):帰国。
よし!完璧やんな!
実はGW中に小笠原諸島に旅行をしている。
GW期間中の事前準備・パッキングができないことから、GW前の本島にいるうちに全ての手筈を整える。
小城さん、そして、かつて副実行委員長を務めた「京都国際学生映画祭」の直属の後輩でフランス留学歴のある外村さんの阪大コンビにアドバイスをもらい、パリの優良宿泊施設(マレ・4区のシャレオツエリア)の確保と、現地での動き方を整理する。
旅券、海外保険、各種書類の手配。
そして大型キャリーケースを知人のUBIさん(『突然失礼致します!』で製作に携わってくれた。最新作『人間カノン』にも出演!)に貸してもらった。

え?タキシード?
買うと余裕で10万超えるの!?
レンタルも日数長すぎて、延長料で同じくらいの金額になるだって!?
TPO?とりあえず、それっぽくクリアできればいいのさ!
「(つまるところ)タキシードは自己満」という加藤さんの言葉に感化され、AOYAMAで最低限の代替ができる格安ブラックスーツ(3万円台)を調達し、タキシード用のワイシャツと蝶ネクタイだけ別途購入する。
革靴もABC MARTで調達だ。
かかった総額は半額の5万円以下。これで形だけは「それ」っぽくなった!
あとはドン・キホーテで大量のカロリーメイトとみそ汁の素を買い込む。
これで現地での食糧問題もクリアだ!
外貨両替も完璧だ!
業界最安手数料で済むドルレンジャー新宿西口店で500ユーロを換金!
今思うと、ちょっと多すぎたかもしれんね…。
よし、これで準備は完了だ!
心置きなく小笠原に行けるぞ!

追ってnoteにレポあげます。
実はここで海外SIMの手配をド忘れしていた。
英語もフランス語もおぼつかない自分にとって「現地で携帯が使えるかどうか」は旅行成否の分水嶺となってしまう。
小笠原の帰路、電波が入るうちに小城さんに連絡し、なんとかSIMを調達・郵送していただいた。
圧倒的感謝…っ!
だが、この決断がまた大きな波乱を生むことを熊谷はまだ知らない───。
パリ編、突入(5月8日~9日)
0日目・夜 ─── パリへフライト!爆睡!
そして来たるべき5月8日(金)。
定時ちょうどで仕事を切り上げ、駅のロッカーからキャリーケースを回収。
羽田空港の第3ターミナルを目指す。
道中で「交通定期」を落としたことに気付く。
だが、もう探している余裕はない。諦めて羽田空港を目指す熊谷。
命からがら空港に到着し、脇道のスペースで荷物の最終整理を実施。
なんと、ここで財布を落としました!(1回目)
優しい観光客の方のご厚意で、財布はインフォメーションに届けられていました…。
おいおい…やべえよ…。
あれ?こんなんで本当に大丈夫か?
パリはスリが非常に多いとよく聞く。事前に多くの有識者からも注意喚起を受けていた。
震える思いで気を引き締め、パリ行き搭乗券を確保。
LCCの規定の重さ(最大23kg)もクリアし、Lets Go to PARIS!!
22時発→現地着、翌朝6時。
一晩に渡るパリへの往路。飛行機の中で機内サービスのシャンパンを一杯飲み、後は熟睡あるのみ。
ハンドタオルをアイマスク代わりにして、10時間の睡眠の旅路へ。

1日目・朝 ─── いきなりのトラブルと初めてのチケット争奪戦
5月9日(土)。時刻は朝6時。
遂にフランス上陸だ────ッ!
定刻通りにシャルル・ド・ゴール国際空港(CDG)に到着!
うひょ~!ここから華々しいフランスライフが始まるぜ!
心ぴょんぴょん状態で、まずはライフラインの確立───、携帯のSIM入れ替えを行う。
「あれ…?なんか電波繋がらんくね?」
ここで衝撃の事実が発覚する。
なんと小城さんが購入したSIMは、日本国内での事前のアクティベート設定が必要だったのだ!
WOW!一体どうすりゃいいんだ!
シャルル・ド・ゴール国際空港内はフリーWi-Fiが繋がるが、一歩でも外に出たら一巻の終わりだ。
手荷物受け取りカウンターで頭を悩ませる熊谷。
だが、ここで3人の日本人がキーマンとして登場することになる。
1人は現地で知り合った日本人・カズミさん。
彼女からバスでパリ入りする方法を教わり、メモを取る。
2人目も現地で知り合った日本人・寿和子さん。
えらっい気さくな美人さんだな…と思っていたが、どうやら司会業等もやられているらしい。年齢は自分とそこまで変わらない模様。
彼女からはE-SIMの発行方法を教わり、ついでに行きのタクシー乗り場の案内までしていただいた。
なんと、彼女とはカンヌでまさかの再会を果たすこととなる(!?)
3人目は、日本から中継を繋いでくれた坂本遼さん。
坂本さんとは100BANCH(パナソニックのインキュベーション施設)で同じプロジェクト(「Koto no Hashi」)に所属させていただいており、日々お世話になっている映画製作の大先輩である。
日本からLINE通話で繋いでもらい、電波が無くなって以降の的確な対応フローを教えていただいた。
3人のおかげでなんとなくの対応方法は見えた!
応急でE-SIMをアクティベートするも接続は不安定。
坂本さんの指示に沿ってGoogleのオフラインマップをダウンロードし、とりあえずパリのホテルまでタクシー移動開始!
Uber Taxiで片道18ユーロの便を発見したが、直前に25ユーロに値上がりして憤慨。
ただ運転手のおっちゃんは良い人で、きちんとマレのホテルの真ん前までエスコートしてくれた!
関係各位の皆さんには、本当に圧倒的感謝…っ!

ホテルに到着し、最強のWi-Fi環境を手に入れ、真っ先に向き合うことになった課題がある。
それは「カンヌ国際映画祭の上映チケットの確保」だ。
マルシェを取って本当に良かったのは「オンラインでのチケット争奪戦に参加できること」である。
(後になって知ったのだが「3 Days in Cannes」等の格安のパスでは争奪戦に参加できなかったらしい。マルシェで良かった!)。
公式HPから予約フォームに遷移することで、5日後の上映チケットの予約争奪戦に参加ができるようになる。
今日は5月9日。すなわち取得できるのは5月13日(水)のチケットである。
ここまで皆さん、お気付きだろうか。
カンヌ国際映画祭は5月12日(火)から開催なのだ。
そう ───。熊谷は12日のチケット確保をド忘れしていたのである。
なにやってんだ!開会式、見れねえじゃねえか!
嘆いてももう遅い。時は無常である。
12日はもともと上映本数が少なく、全てがSOLD OUT。
すなわち、次に打てる最善の一手は「13日のチケットの確保」である。
13日の目玉は、なんと言ってもこの2プログラムだ。
11:00~12:30
ピーター・ジャクソン監督による『マスタークラス』
15:00~16:50
深田晃司監督『ナギダイアリー』のワールドプレミア上映
この2つは何が何でも観たい!
前日の争奪戦を制した小城さん曰く、秒でチケットが売り切れるらしい。
小城さん自身も相当手こずったと聞く。
釜山国際映画祭のチケット争奪戦を共に勝ち抜いた歴戦の猛者・小城さんが苦戦するレベルなのだ。

時刻はまもなく解禁時間の9:00を迎え、チケット争奪戦が始まる───。
ホテルのチェックインカウンターで知り合った日本人のおばちゃんから叱咤激励を受け、このためだけに持ってきた自前のゲーミングPCを起動。
時報を片手に、予約解禁の瞬間をひたすら待つ。
リロード…リロード…リロード…リロード…。
結果。
ピーター・ジャクソン、競り負け!
深田晃司監督『ナギダイアリー』確保!!!!!!!!!!!!!!!!!
ついでに9:00~のピエール・サルヴァドーリ監督の『The Electric Kiss』も取れました!
ラッキー!!!
『ロード・オブ・ザ・リング』と『ラブリー・ボーン』がむっちゃ好きなのでピーター・ジャクソン監督のマスタークラスも聴きたかったが、深田監督の最新作のワールドプレミア(しかもカンヌ最大規模&格式最強の劇場である「ルイ・リュミエール大劇場」の上映)を確保できたのでモーマンタイです!
勝利の喜びでおばちゃんとハイタッチ!ありがとう、おばちゃん!
おばちゃんは手を振って、そのまま日本に帰国していった。
ホテルで追加の調査等を済ませているうちに、携帯のSIMアクティベートが無事完了!
これでパリの街に繰り出せるぜ…っ!!
キャリーケースをホテルに置かせてもらい、さっそくパリ観光スタート!
1日目・昼① ─── シネマテーク・フランセーズとジョルジュ・メリエス美術館
よっしゃ!どこに行こう!?
正直なところ、パリの具体的なスケジュールはあまり詰まっていなかった。
飛行機の機内Wi-Fiを使ってGeminiと多少相談したようなレベル感だ。
その際、Geminiが出した結論は以下の通りだった。
12:00:宿到着
物流: 荷物を預け、身軽になる。
重要: パスポートと500ユーロを分散保持(200ユーロを財布、300ユーロをセキュリティポーチ等)。
13:00 - 15:30|シネマテーク・フランセーズ(12区)
移動: 徒歩(約20分)またはメトロ1号線→14号線「Bercy」駅。
https://maps.app.goo.gl/HeEKRZKwJ26NXgch9
16:00|宿へ一時帰還・チェックイン
装備: 夜の冷え込みに備えパーカーを装備。スマホをフル充電。
https://maps.app.goo.gl/a914jh5v5Qoy3oi56
17:30 - 19:00|凱旋門(Arc de Triomphe)
移動: メトロ1号線「Saint-Paul」から直通「Charles de Gaulle - Étoile」駅。
撮影: 12本の通りが放射状に広がるのを記録。
https://maps.app.goo.gl/odgmiSsG68rhi3U39
19:15 - 20:30|シャンゼリゼ〜トロカデロでの「作戦会議(休憩)」
アクション: 凱旋門からエッフェル塔方面へ、シャンゼリゼ通りを散策しながら南下。
https://maps.app.goo.gl/mNh9r2QWoN3rcCiU6
食事・休憩: 21時からの階段登りに備えて夕食。
凱旋門近くのカフェやブーランジェリーで、本場のバゲットサンドイッチなどを。
重要: ここでしっかり水分を摂り、新宿から持参した「カロリーメイト」を半分食べておくと、後の階段674段が楽になります。
移動: 20:30頃にメトロ6号線で「Trocadéro(トロカデロ)」駅へ移動。
https://maps.app.goo.gl/1iGhRzPw1fnCGr7x8
21:00 - 21:05 | ★運命の5分間
場所: シャイヨー宮
ミッション: 1回目のシャンパンフラッシュを「外」から鑑賞。 塔全体が宝石のように輝く瞬間を肉眼に焼き付ける。
https://maps.app.goo.gl/HkyPHRD344szULVF9
21:10 - 21:30 | 現場突入・チケット確保
場所: エッフェル塔・南(Sud)または東(Est)の柱
移動: シャイヨー宮からイエナ橋を渡って徒歩。
ミッション: 「階段専用窓口」へ直行。「階段+最上階エレベーター券(€22.40)」を実弾で購入。
https://maps.app.goo.gl/znTvkXvQSvLbjZff8
21:40 - 22:30 | 頂点への挑戦
アクション: 674段を自力で登り(2階まで)、
そこからエレベーターで最上階(Sommet)へ。
23:00: 2回目のシャンパンフラッシュを「最上階」で体験。 祝杯を挙げるならここ。
23:30 - 25:00 | 凱旋・安全帰還
移動ルート:
塔から徒歩25分でメトロ1号線 「Franklin D. Roosevelt」駅へ。
https://maps.app.goo.gl/C44y489jXVu2McCi7
いや、ストイックすぎるだろ!!!!!!!!!!
エッフェル塔の階段ダッシュ登頂!?
俺は『オトナ帝国』のしんのすけじゃないんだぞ?
帰宅、夜2時ってなってるぜ?
おいおい、こっちは観光初日だぞ?
まったくイカれてやがるな!
こうなったら自棄(ヤケ)だぜ…。
このスケジュール通りに行ってやらあよ!
時刻はまだ11時前だ。
1時間のバッファを持って、まずは映画の殿堂「シネマテーク・フランセーズ」までを徒歩で目指す。
太陽が燦燦と煌めくカラッとしたフランスの気候。
セーヌ川のほとりを歩きながら、徒歩30分のシネマテークを目指す。

「い…いつ、スリはやって来るんだ!?」
「ど…どこから襲ってくるんだ!?」
そんな『ジョジョ5部』のレクエイムを食らった後のボスのような怯え方をしながら、迫りくるスリの恐怖にビクビクしながら前へと進む。
道中で日本人のおじさんと遭遇!
「あれ?日本人っぽいな!よし!話しかけてみるか!」という出会い厨マインドが功を奏した。
おじさんはどうやら今日がパリ最終日とのこと。
パリ観光のいろはと「ノートルダム大聖堂でパン祭りがやっていること」を教えていただきました!
これは良いことを聞いたぜ…っ!!
明日は「パン祭りナイトフィーバー」だ…っ!!
「あれ?パリって意外と日本人おるやん!実は安全なんじゃね?」という期待感とともに、リヨン駅への曲がり角でおじさんに別れを告げ、熊谷は引き続き、シネマテークを目指すのだった。

緑のベルシー公園を抜けて、時刻は12時頃。
遂にシネマテーク・フランセーズに到着!
なにやら「マリリン・モンロー特集」が組まれているようだった。

「CINEMA THEQU」のロゴは、LAの「HOLLYWOOD」のそれと同じフォントっぽかった。
ひとまず何か映画を観るか!
シネマテーク・フランセーズは映画鑑賞料が安い!
1本あたりの鑑賞料は固定で7ユーロ(約1,300円)!
なんと日本のシネコンよりも安いのだ!
厳重な手荷物検査を抜けて、上映スケジュールの電光掲示板を探す。
今日はグレタ・ガルボに、ロバート・アルトマンの上映があるらしい。
これは胸アツ展開だ!

───あれ?次の上映、14時30分開始じゃね?
今はまだ12時半を回ったかどうかくらいだ。
ここで2時間のロスはしゃばい…っ!しゃばすぎるぞ…っ!!
マリリン・モンロー展の入場料は14ユーロと、映画鑑賞料の倍額の設定。
こんなことなら、アンドリュー・ドミニク監督の『ブロンド』を見ておけば良かった…。
そして途方に暮れる熊谷。
ふと周囲の看板を見渡して「あること」に気付く。
もう一個、常設展あるくね?
「Méliès Museum at La Cinémathèque Française」
そう「ジョルジュ・メリエス美術館」だ───。
ここで恥を忍んでの懺悔だ。
ここまで映画好きを自称していながら、熊谷はメリエス映画を1本も観たことが無かった…!!
「ああ、でっかい月の顔面の人だよね…。そういやFateのサーヴァントにもいたね…」
『月世界旅行』のワンシーンだけ認知している。
それ程度の理解だったのだが、ジョルジュ・メリエスのWikipediaを一読し、何故か妙に心が躍った。
ジョルジュ・メリエス美術館は入場料10ユーロ。
マリリン・モンロー展は入場料14ユーロ。
もう迷いはなかった。
メリエス美術館のチケットを購入し、美術館に足を踏み入れる。

いきなりあの月があったぞ!
メリエス美術館、最高でした!!!!!!
いや、ジョルジュ・メリエス、凄すぎだろ!
館内ではメリエスの人生の軌跡の展示と、なんとメリエスの主要作品が大体観れたのだ!
人生初の『月世界旅行』をジョルジュ・メリエス美術館で視聴…。
なんと贅沢な映画体験なのだろうか。
すげー面白い!
『月世界旅行』が1902年製作って嘘だろ!?
120年前にこれ作ってたのかよ!?
あの月のシーン、これだったのか!!!
メリエスの凄さに感服。
ここから更にぶち上ったのは「ジョルジュ・メリエスVR」の存在である。
VRゴーグルを装着すると、向こう側にメリエスの過去作品が全て登場する仮想空間が広がる。
屋外劇場から物語が始まり、ふと後ろを振り返ると、妖精とサンタクロースみたいなソリ、そしてロケットがビュンビュン飛びまくってる世界観。
さっき見た顔面付きの月がニヤニヤ笑ってる真下で、メリエスの過去作のキャラが次から次へと登場し、最後には『極地征服』に登場する巨大怪物・雪の怪人を倒すのだ。
そしてラストシーンで、実写のジョルジュ・メリエスがお辞儀をして終了。
「あっ、これ進研ゼミでやったところだ!」展開を地で行く、今さっき見たメリエス・オールスターズの登場には魂が震えた。
美術館の出口手前では、宇宙映画のクリップ動画が流されていた。
スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』、ロン・ハワードの『アポロ13』、そしてデイミアン・チャゼルの『ファースト・マン』。
記憶は曖昧なのだが、クリストファー・ノーランの『インターステラー』のワンシーンも流れていた気がする。
満足感ウハウハの中、メリエス美術館を後にする。
ついでに附属の図書館にも寄ってみて、シネマテーク・フランセーズはターンエンド!

1日目・昼② ─── 「最高のサンドウィッチ」を求めて
時刻はまだ14時前。
仮にグレタ・ガルボを観るにしても早すぎるぞ…。
─── あ、腹減ったなあ!
順然たる三大欲求が熊谷を突き動かす。
そうだ、このままバスティーユ広場に行こう!
そのまま市場でサンドウィッチを食べるんだ!
既に心は『ジョジョ4部』の杜王町町民のようなマインドになっている。
どうやら「ヴァラス給水泉」という無料の水汲みスポットがあるらしい。
バスティーユにもあるっぽいので、ここで追加の水も調達だ!
パーフェクト・プランは見えた───!
あとはGeminiに「美味しい店教えて!」とプロンプトを打ち込み、最適解の店に行くのみだ!
Geminiが出した結論は「Boulangerie bo」という店一択。
Googleレビューは807件の星4.2。上々だ!

だいたい徒歩20~30分。よし、歩こう!
自分の想像以上に腹が減っていて力が出ない…。
疲れが出始めていたが、ドーパミンに身を任せてフルスピードで歩み出す。
るんるん気分で「Boulangerie bo」に到着!
ただ入口からショーケースを覗くに、サンドウィッチと思しきものが全く見えない…。
Geminiよ、まさか裏切ったのか!?
震える気持ちで、Google翻訳で「サンドウィッチありますか?(仏:Avez-vous des sandwichs ?)」をフランス語で出力し、店員さんに見せる。
返ってきた答えは「SOLD OUT」。
ぐぬぬ。さすがはレビュー星4.2。さすがの人気店だったようだ。
よし!次点を目指すぞ!
次にGeminiは2つの候補を出してきた。
「Maison Letissier」と「Monoprix(モノプリ)」だ。
前者はレビュー数892件の星4.5。さっきの店の上位互換では?
対するモノプリはまさかのスーパーマーケットの名前だった。
Geminiめ、やってくれた喃!
これはもう「Maison Letissier」一択だ。
さっきの二の舞にならないことを信じ、Maisonに向けて歩き出す。
Maisonに着く頃には腹の減り具合はMAXだった。
これでサンドウィッチなかったら、もうモノプリに直行するしかない…。
そんな覚悟で覗いたショーケースには───。

あった!!!!!!!!!!
サンドウィッチ、あったよ!!!!!!!!!!
奮発してちょっと豪華なベーコンサンド(10ユーロくらい?)を即買いし、地獄の餓鬼のごとき勢いで貪り食う。
本当に腹が減ったとき、人は感情を無視して目の前の飯を食らうのだ。
ドカ食いの果てに、サンドウィッチは僅か10分足らずで胃袋の中へ消えた。
結論、美味しかった!
満腹中枢がぶち上ったのを感じる!
やや血糖値スパイクが起こりつつあるのを感じる!
腹ごしらえもできたし、バスティーユ行くべ!
まずは広場近くのヴァラス給水泉を目指そう。
回復した体力は、熊谷の歩調を早めさせ、気付けば15分足らずでバスティーユ広場への到着を可能とさせた。
ヴァラス給水泉で水を補給!
調子に乗って、持ってた水筒の中身の水をすべてリリースし、ヴァラス水に入れ替えました!
よくよく考えたら、これって硬水じゃね…?
まあ細かいことは気にしないでおこう!

これが本当に無料の給水スポットなのか!?超カッコイイ!
広場にいたキリスト教関連の団体(?)からビラを貰う。
とりあえず「I Love Christ.」と答えて、深い話はせずにスルー。
ミッション系の短大に通っていたくらいなので、決して嘘はついていない。
実はこの問答が、翌日のノートルダム大聖堂で活きるとはまだ知らない。
バスティーユ広場はデカかった。
広場のど真ん中に立っているひときわ大きな塔。
この塔の名前は「7月革命記念柱」と言うらしい。
柱の前でポートレートを撮っていたカメラマンの兄貴に携帯を託し、遠近法を使った記念撮影を敢行。

バスティーユ広場からホテルまでは徒歩10分。
時刻はチェックイン可能時間の15時に近かったし、今戻ればちょうどくらいになるだろう。
サン・マルタン運河と鉄橋を抜け、道中の芝に寝そべってひなたぼっこ。
最終的に15時半頃にホテルへのチェックインを果たした。
1日目・夕方 ─── モンマルトルでの出会いと別れ、そして「Viva la Vida」
受付から預けていたキャリーケースを回収。
4Fのルームキーを貰う。
「もしかして同室に日本人いるんじゃね?」という期待もあったが、どうやらルームメイトは全員海外の方のようだった。
気付けば24時間以上入っていなかった熱々のシャワーを全身に浴びる。
備え付けのシャンプー、ついてなかったぞ!
仕方ないので水で素洗い。
30分ほどでサクッと荷物の展開を完了させる。
時刻は16時30分。Geminiプランにはまだ時間の余裕がある。
「よし!もう一か所くらい、追加でどっか回ろうか!」
さっきまで空腹で死にかけていたとは思えないバイタリティだ。
拡張版のGeminiをフル活用し、追加の観光名所をピックアップする。
出力された結論は、ジャン=ピエール・ジュネ監督、オドレイ・トトゥ主演の傑作『アメリ』の舞台「モンマルトル」だった。
その実いうと、本当は『アメリ』を観ていない。
聖域すぎるって!ほぼ100で俺の好きな映画じゃん!
だからこそ、なんかサラッと観ちゃうのは違うんだよな…で手を付けられていない映画の代表例。その聖域こそが『アメリ』なのだ。
(同じ系統で行くと『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』とかもまだ観ていない。いつか観るのが楽しみだ!)
何はともあれ、モンマルトルは山の上にあるので景色が綺麗らしい。
もしかしたらアメリ系女子や、念願のジュリエット・ビノシュとの出会いもあるかもしれない。
そんな淡い希望は熊谷の足取りを軽くさせた。
だが、ここで初めて気付いたことがある。
モンマルトル、ホテルからの徒歩移動、絶対無理やん───。
この後、凱旋門→シャンゼリゼ通り→エッフェル塔コースを狙うとなると、迷っている時間的余裕は残されていない。
そうだ、電車に乗ろう!
事前にSNCF(フランス国有鉄道)のアプリをインストールしていたが、接続不調で連携ができない…!
こうなったら、窓口で買うしかない!
熊谷はホテルの最寄り駅にダッシュした。
地下鉄の駅到着。
改札窓口は混み合っており、気付けば15分以上のロスタイムが生じた。
大急ぎで窓口でモンマルトルの地図を見せ、「ここまでのチケットをください!(仏:Veuillez me donner un billet pour ma destination.)」と交渉。
Google Mapで調べたところ、モンマルトルまでは2ユーロくらいと表示されていたのだが、渡された請求書には7.5ユーロと書かれていた。
おいおい、なんでやねん!とツッコミたくなったが、もう時間は残されていない。
とりあえず渡された「Navigo Easy」のカードを片手に電車に乗り込む!

後から知ったが「1日乗り放題パス(Navigo Jour)」だった可能性が高い。
地下鉄が一番スリが多いらしい。
リュックサックを手前にかけ、絶対防御姿勢で電車を乗り切る。
電車に揺られること15分くらいで、モンマルトルの最寄り駅に到着!
駅から出て、まず人の多さにビビった…!!
明らかにスラム系っぽい美容室が3軒くらい並ぶ通りを抜け、いざモンマルトル───、その中核たる「サクレ・クール寺院」を目指す!
階段、鬼長い。
さすがはパリ最高峰の寺院だ。山の上というのが次元が違う。

階段を登り切って見えたモンマルトルの全貌。
流石は山頂!パリの街並みのすべてが一望できる最高のポイントだった!

なんとサクレ・クール寺院、無料で入れるらしい!
これはもう、入るしかねえ…っ!!
異様に長蛇な入場列の最後尾。
回転率は速そうだが、それでも入場まで15分くらいはかかるだろうか?
まあ、ゆっくり待ちましょうかね…。
ボーっと携帯をいじろうとした矢先、信じられないものを見た。
待ち列の前方らへん。
そこで麦わら帽子を被り、モンキー・D・ルフィの入れ墨をした黒人のニーチャンがいたのだ!
さすが世界累計発行部数ベスト10の漫画だぜ…。
『ONE PIECE』は万国共通で愛されてるんだな…!
イニャキ・ドゴイに迫る迫真のコスプレには恐れ入ったぜ…。

この光景だけでも驚きなのだが、真の驚愕はルフィと一緒に写真を撮っている観光客の姿だった。
あ、アメリ系女子や!!!!!
び、ビノシュがいるぞ!!!!!!!!!!!
気色の悪い話なのは承知しているのだが、すんげー美人がそこにはいた。
正統派美人ではないかもしれんのだが、刺さる人には確実に刺さりそうなヘッドフォンのサブカル系アジアン・クールビューティーがいたのだ。
ルフィとの会話に何となく耳を寄せてみる。
うーん、少なくとも日本語を話していないことだけは確かだった。
語感的に韓国系(?)なのだろうか?
─── これは話しかけた方がいいのか…?
熟考の末、熊谷は待機列を抜けた ───。
そしてルフィの前に行き、意を決して一言。
「Could you take a picture for me?(日:写真撮ってくれませんか?)」
反応!反射…音速!光速!
咄嗟の反応は、作為的なチキンプレイだった。
ルフィにそう伝えて、ビノシュネキ(仮)に写真を撮ってもらおう!
そこからなんか話してみるか!
やっぱカラックス3部作のアレックスはすごいな!
自分のカスみたいな魂胆とは裏腹に、ビノシュネキは入れ違いで立ち去ってしまった…。
結局、ルフィとセルフ自撮りコースに。
「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」までの道のりは、まだ遠いのかもしれない。

「I Like Doflamingo ! ONE PIECE is so Great Comic!」
そんな他愛のない会話の後、ルフィと別れ、再び待機列に並ぶ。
サクレ・クール寺院の内部は、非常に荘厳だった。
シネマテーク・フランセーズとはまた違った殿堂。
THEヨーロッパの世界遺産級建築物感が凄かった。

じゃっかんバイブスは下がり気味。
寺院の神聖な雰囲気に当てられ、半ばシラフモードで出口に直行する。
寺院の前の鉄柵は、景色見たさの観光客の人だかりができている。
いや、どうやら、それだけではないな…!?
明らかに周囲がアガっている。
ヒュー!とかフォー!とかの歓声が聞こえる。
誰かが、何か歌っているぞ…!
路上ライブだ───────ッ!!!
イケメン・ヨーロピアン路上ライバーが、階段の下で歌を歌っている!
階段は聴衆で埋め尽くされていた!

─── 乗るしかない、このビッグウェーブに。
露店のニーチャンから割高なビール瓶(5ユーロ)を購入し、階段の中腹あたりに座って曲を聴く。
今、まさに彼らが歌っていたのは、コールドプレイの名曲「美しき生命(Viva la Vida)」だ。
「HEY!HEY!COME ON!」
ボーカルからの「ラスサビ、みんなで歌おうぜ!」の合図。
にわかながらも必死に食らいつき、Viva la Vidaを全力熱唱…っ!!
歌ってる最中、階段を下るビノシュネキを発見!
ビノシュネキは相変わらず写真撮影に夢中だった。
クゥ~、このグルーヴに歯止めは効かないぜ…。
消えてゆくビノシュネキの姿を目に焼き付け、とりあえず歌い続ける。
最後に良いもん見れたよ…。
帰国したら『アメリ』観るわ…。
ヒューヒュー!フォーフォー!
何を叫んだのかはイマイチ覚えていないが、とにかく最高にぶち上がった瞬間だったのは間違いない。
ありがとう、路上ライバー兄貴。
少なからずのチップを渡し、記念に写真撮影。

記念の写真撮影もノリノリで協力してくれた。
1日目・夜① ─── 凱旋門の頂上から眺めるパリの夕暮れ
時刻は19時前。
辺りは非常に明るい。まだ昼じゃないか?と錯覚するくらい明るい。
それもそのはず。5月のパリの日没時間は「21時」なのだ。
自分もパリ入りして初めて、この日没時間の事実を知り、時差ボケに拍車がかかるのを感じた。
おおよそGeminiの提示スケジュールから誤差ゼロくらいになりつつある。
モンマルトルを最高に満喫し、次に向かうはパリ最大のアイコンの一つ「凱旋門」である。
実はこの凱旋門、屋上に展望エリアがあり、歩いて登頂できるのだ。
てっきり「門があるだけなんだろうな…」と勘違いしていたので、初めて知った際には普通に驚いた。
凱旋門はパリ市街を繋ぐ12本の幹線道路のど真ん中に位置している。
つまり、凱旋門の屋上では、真にパリの中央からの絶景が楽しめるのだ。
筆者・熊谷は「KKDAY」というサービスを使い、登頂用のオンラインチケットを事前購入している。
3,000円くらい(おおよそ最安値)で買えるので、非常にオススメである。
屋上のキャパは広く、人数制限が無いので、意外と直前でも空きはある。
https://www.kkday.com/ja/product/102801
しかし、どうやら滞在可能時間が最大90分という制約があるらしい。
日没の瞬間、そして噂には聞いていた「エッフェル塔のシャンパンフラッシュ」に合わせたい。
今日のシャンパンフラッシュは「22:00」と「23:00」の2回だと耳にした。
それ即ち、ベストな登頂時間は「20:45~22:15頃」である。
これで夕暮れ(夜に変わる瞬間)と1回目のシャンパンフラッシュ鑑賞をいっぺんにクリアできる…!
登頂入場入り口の混み具合を見るに、20:15~20:30頃に並ぶのが最適解。
時刻はなんやかんやで19:30くらい。
陽も徐々に落ち始めている。
とりあえず凱旋門の真ん前の「シャンゼリゼ通り」に行って時間潰そう!
ヘッドフォンでじゃんじゃかに「オー・シャンゼリゼ」を流しながら、ひとまずシャンゼリゼ通りに足を運んだ。

シャンゼリゼ通りで飯を食う。
そんな淡い期待は、いとも容易に打ち砕かれた。
大前提、20:15まで時間が無く、滞在可能時間がしょっぱかったのもあるが、それ以上に、まず料金帯が高い!高すぎる!
ハイブランドの本店ばっかじゃねえか!
あ、でっかいシャネルの店舗があったよー。
是枝監督の門下生となった田中さくら監督は元気にしているのだろうか…。
帰国したらシャネルの新作を観てみよう。
道中、唯一のマクドナルドの店舗を見つけたが、時間がギリギリすぎた。
夕飯は諦めて、凱旋門に引き返す。
ホテルで荷物を詰め直した時にカロリーメイトを持たなかったこと。
そして、ここでマクドナルドに寄らなかったこと。
この2つの判断ミスが、数時間後、熊谷を二度目の飢餓地獄に突き落とす。
ジャスト20時15分。クマノートに狂いなし。
沈みゆく太陽。凱旋門の前で写真を一枚。
3人のパリピ日本人集団との邂逅を経て、Instagramの連絡先を交換し合う。

そして凱旋門の登頂口を目指す。
一つ物申したかったのは、凱旋門がロータリー中央にある影響で、道路から門までの横断歩道が無い。
幹線道路なので基本的に車通りが非常に多い。
そもそも門まで道路を渡るまでが一苦労なのだ!
想定外のタイムロスで、結局凱旋門まで渡れたのは20:30。
夕暮れ&シャンパンフラッシュ1回目狙いの観光客は多いようで、登頂口の長蛇の列は明らかに最初見た時よりも長く伸びていた。
とりあえず最後尾に移動し、事前に用意したKKDAYからの決裁確認メールを開いて待機。
後続のインドからの旅行者のお姉さんと、Google翻訳を使って会話する。
彼女はどうやらチケットを取っていなかったらしく、その場でオンラインチケットを買っていた。
20:45。予定通り、凱旋門に登頂だ!
セキュリティゲートを抜け、柱の奥の入り口から登頂開始。
合計284段の幾重にも渦を巻く螺旋階段を駆け上る。

フランスの観光地、階段多過ぎ事案だ。
『オトナ帝国』までとは行かずとも、息も絶え絶え、屋上に辿り着く。
屋内に凱旋門の歴史資料やミニチュア凱旋門の模型などがあったが、一目散に展望デッキを目指した。
「花の都」の全貌が、そこには広がっていた。
徐々に陽が落ち始めている。夕景と夜景の狭間のパリは秀麗だった。
さすがはパリの中心だ。360度全方位を見渡せる。
今さっき見てきたモンマルトルも見えたぞ!

何よりエッフェル塔が近い!
間違いなく、凱旋門屋上デッキがベスト鑑賞スポットだ!!!
ここでエッフェル塔を一つまみ…!!!!!!!!!!!

時刻は21:00。さあ、あとは夜を待とう。
この時間まで明るかったパリも、だんだんと「夜」へと変容していく。
徐々に気温も下がっていったので、事前に持ち込んでいたウィンドブレーカーを羽織り、ひたすらにその時を待った。
徐々に明かりが灯っていくパリの街並み。
放射線状に広がる12の幹線道路。そこに連なる家々。
ヘッドフォンでアンドレア・ポッチェリの名曲『Time to Say Goodbye』(サラ・ブライトマンver)を聴きながら、変わりゆく凱下の景色を眺めるのは最高の気分だった。

時刻は21:45。
エッフェル塔を真ん前で観れるテラス東側は大賑わいだ。
観光客の入れ代わりに乗じながら、なるべくエッフェル塔の真ん前の位置を目指して移動する。
22:00。時は満ちた。

エッフェル塔、ピッカピカやん!!!!!!!!!!!!!!
すげー!
「シャンパンフラッシュ」の意味が分かったよ!
それまでもライトアップ自体はされているが、22:00-22:05の5分間。
この5分間だけエッフェル塔の全ライトアップが白く点滅するのだ。
その点灯は、さながら溢れ出るシャンパンの泡のようだった…。

ヒューヒュー!ブラボー!!!!!
ここに酒があれば最高だったのにな!!
この未練は後々に回収されるのだが、この当時の熊谷は知る由もない。
何はともあれ、パリの夜景は最高だったぜ!!!!!!!!!!!
1日目・夜② ─── 極度の空腹とシャンパンフラッシュ2回目への挑戦
実はシャンパンフラッシュ1回目の直前あたりから、とある体の不調を感じた。
圧倒的、飢餓……っ!!!
そりゃそうだろ!!!
この日食べたのは、早朝の機内食、カロリーメイト数本、そして昼に食ったサンドウィッチ1個なのだ。
その割にアクティブに動きすぎだよ…。
当然、腹は減るに決まっている。
くっそ~~~!あの時、マックに寄っておけばよかった…!!
テイクアウトもできただろうに…。
そんな後悔と裏腹に、熊谷の足は帰路とは全く真逆の方向に向けて歩き出していた。
よく思い出してほしい。
最初にGeminiが出力した「最適観光スケジュール」に一体何が書かれていたのだろうか。
21:10 - 21:30 |現場突入・チケット確保
場所: エッフェル塔・南(Sud)または東(Est)の柱
移動: シャイヨー宮からイエナ橋を渡って徒歩。
ミッション: 「階段専用窓口」へ直行。最安の「階段+最上階エレベーター券(約€22.40)」を実弾で購入。
https://maps.app.goo.gl/znTvkXvQSvLbjZff8
21:40 - 22:30 | 頂点への挑戦
アクション: 674段を自力で登り(2階まで)、
そこからエレベーターで最上階(Sommet)へ。
23:00: 2回目のシャンパンフラッシュを「最上階」で体験。 祝杯を挙げるならここ。
我ながらに最高にイカれていると思う。
最終目的地はエッフェル塔真下 ───。
さっきは遠くから見たから、次は間近からシャンパンフラッシュを見るんだ────ッ!!!
凱旋門の階段を全力で下り、足早にエッフェル塔を目指して歩き出す。
徒歩30分くらいか?ギリ間に合うかな…。

バグった思考回路で歩き出したはいいものの、身体は実に正直だった。
─── げ、限界だ…。このままでは死ぬぞ!
耐えがたき空腹感。
そして、夜通しのフライトによる蓄積疲労。
日中のモンマルトル・凱旋門と二度の登頂で限界を超えていた身体。
初日で死んでどうするんだ!
まだカンヌの「か」の字も見てないぞ!
結局、映画も観れていない!!!!!!!!!!
エッフェル塔、断念 ────。
だが、既に中途半端に歩き出していた。
最寄り駅まで戻るのも普通に遠い。
進むも地獄、退くも地獄。
こうなったら、限界まで行こう…っ!
そういや、そんなタイトルの映画もあったなぁ…。
Gemini曰くエッフェル塔本体まで行かずとも、その手前に「View Point」という人気の鑑賞スポットがあるとの出力される。
ここまで行ってみるか…!
とにかく歩く。
そして道中、営業中のスーパーマーケットを発見!
かのモノプリですら「22:00閉店」というこの時世によくぞここまで…。
大急ぎで入店し、陳列棚のサンドウィッチを購入。
本当に腹が減ったとき、人は感情を無視して目の前の飯を食らうのだ。
写真を撮るのもすっかり忘れ、数分足らずで完食。
しかし疲労はそう簡単に回復しない。
普通に足が痛いぜ!
血の滲むような死のロングウォークの果てに、セーヌ川沿いの道路に辿り着く。
─── エッフェル塔が見えてきた。

エッフェル塔、でっけー!!!!
さっきは俯瞰で観たが、近くで見ると流石にデカい。
時刻は22:50。もうここでええのとちゃうんか?
この場所は「アルマ橋」というエッフェル塔から見て2個手前の橋らしい。
しかも、このアルマ橋。
目の前にバス停があり、なんとホテルの最寄までの直通のバスが出ているのだ!
バスの本数は決して多くはない。
どうやら30分間隔で、今が終電2本前くらいらしい。
Google曰く、次のバスは23:05に着くとのこと。
つまりだ…。
★23:00~23:05
バス停の真ん前でシャンパンフラッシュ(2回目)を見る。
★23:05
見終わった瞬間、バスに飛び込む。
★~0:00手前
ホテルに到着!最高の安眠が待っている!
完璧だ!これなら帰れる!
行ける!これでターンエンドだ!
さっき買ったNAVIGO EASYは7.5ユーロ。
当時Geminiで調べた範囲では「3回分の乗車券なのではないか?」という結論が出力されていた。
(どうやら1日フリーパスのようだったのだが)。
チケットは「ホテル→モンマルトル行き」と「モンマルトル→凱旋門行き」の2回しか使ってない!
あと1回は乗れるはずなのだ!
よし、後は待つだけだ…。
アルマ橋のバス停。その真横の橋の上で、その時を待つ ───。

見れた!2回目のシャンパンフラッシュだ!
近くにいた現地のニーチャンに写真撮影を依頼。
彼は携帯を手に取ると、全力でダッシュを決め込んだ…。
とはならず、その場で止まった彼は「お?ビビったか?」みたいな笑みを浮かべ、ノリノリで写真を撮ってくれた。
メルシー!メルシー!
携帯を受け取った時にニーチャンから「10 Euro Please!」と告げられる。
露骨に「げっ!」となったが、ニーチャンは再び「JUST KIDDING!」で流してくれた。
フレンチ・ジョークはあまり笑えないぜ…。
メルシー…メルシー…っ!!!
疲労困憊の中、2度目のシャンパンフラッシュを目に焼き付け、数分遅れでやってきたバスに乗り込む。
NAVIGO EASYはどうやら機能しているようだった。
バスの中でGoogle Mapを起動し、乗り過ごさないように移動を続ける。
その道中、とあるバス停の名前を見た時に、咄嗟に反応してしまった…。

ぽ、ポンヌフや…!!!!!!!!!!!!!!!
レオス・カラックスやん!
帰り道にポンヌフがあったのか…!
途中下車も真剣に考えたが、体力温存を優先。
そのままホテルの最寄りバス停に直行した。
揺れること30~40分。
バス停からホテルを目指す道中、マレの高架下付近が京都の鴨川ばりに路上飲み勢でごった返している現場に遭遇したが、さすがに参戦できる体力は残されていなかった。
出会い厨マインドで、とりあえずそこらへんにいたニーチャンに「Paris is so Great!」とだけ告げる。
ニーチャンは「So Good…!」と一言返してくれた。

かくして、日付変更くらいのタイミングでホテルに生還。
<最終スケジュール>
★6:00
シャルル・ド・ゴール空港(CDG)到着。
★6:00~8:00
SIM問題をクリアする。Uberでホテルまで移動。
★9:00
カンヌ2日目(5月13日分)のチケット争奪戦。
★11:00~13:00
シネマテーク・フランセーズ(ジョルジュ・メリエス美術館)。
★13:00~15:00
サンドウィッチ探し。バスティーユ広場。
★15:00~16:00
ホテルにチェックイン。休憩。
★16:00~18:00
モンマルトルとサクレ・クール寺院。
麦わら・ビノシュネキ・路上ライバーとの出会い。
★19:00~20:00
シャンゼリゼ通り。
★20:00~22:00
凱旋門登頂。夕暮れとシャンパンフラッシュ1回目。
★23:00
2回目のシャンパンフラッシュ。
今振り返るに、怒涛のスケジュールだった。
1日でここまで回った観光客は、そう多くないのではないだろうか。
よっしゃ!寝るか!
カロリーメイトを補給し、この日は就寝…。
と行かないのが、今回の旅の醍醐味である。

なんとなくカンヌ国際映画祭の予約サイトをリロードする。
空いた。
第79回カンヌ国際映画祭、史上最初の上映作品であるギレルモ・デルトロ監督の傑作『パンズ・ラビリンス』に空席が出たのだ!
咄嗟に「Book」マークを即押しする。
すげー…。取れちまったよ…。
予定がガラ空きだった映画祭初日に光明が差した瞬間だった。
ここで気付いた「予約サイトの定期周回戦法」の有効性。
このライフハックにカンヌ入りする前に気付けたのは非常に大きな成果だ。
相手のキャンセルに依存するこのデスマーチが、後にとんでもない結果をもたらすことは、また後日言及することにしよう。
結びに(次回予告)
以上。ここまでがパリ初日───、2026年5月9日(土)の軌跡である。
実は、この段階で記事内の文字数は20,000文字を超えている。
果たして、カンヌに辿り着くまでにあと何万文字が必要なのだろうか…。
本記事のタイトルをどうするか悩んだが、
第62回アカデミー賞作品賞を受賞したブルース・ベレスフォード監督、モーガン・フリーマン、ジェシカ・ラング主演の傑作『ドライビング Miss デイジー』から着想を得た。
実際問題、むっちゃ忙しかったのは事実だ。
まだ実質初日。続く2日目以降も乞うご期待!!!!
<次回予告>
花の都・パリも2日目突入!
チケット争奪戦からのルーヴル参戦!?
まさかの記録的豪雨で大ピンチ!
ノートルダム大聖堂で祈りを捧げるぜ!
最後にあの橋で「恋人」と出会うことになろうとは…!
次回───、
『ありがとう、パリ・ジェントルマン』
この次もサービス、サービスぅ!!!
