松前秋祭りの昔・今・未来【史談会総会講演】
👆️予告noteに書きましたように松前史談会(鷲野共次郎会長、約180人)の総会が3月28日、松前総合文化センターであり、記念講演会で本村青年団の大神輿支部長、宮内龍真さん(38)が秋祭りについて話しました。
総会では鷲野会長が「今年度も協力してやっていきましょう」と挨拶。
事業報告と計画、決算予算、人事案が承認されました。

宮内さんは講演冒頭、喧嘩神輿は漁師の祭りがルーツだが、単なるぶつかり合いではないとしたうえで「神輿同士を激しくぶつけ合って神様の力を高め、地域の発展を願う神事」と紹介。
本村と新立の神輿による鉢合わせは毎年10月14日に夫婦橋(同町浜)、15日早朝に玉生八幡大神社(同町西小泉)であり、100年以上の伝統があると説明しました。

担ぎ棒が短く太いため、担ぎ手に重圧がかかり、強い責任感と一体感を生むといいます。
神輿の各パーツを紹介し、前方の棒を少し長くして組みやすくする工夫や、激しい衝突でも外さない巨大な「蕨手(耳)」、独自のロープ巻きなどの特徴を挙げました。
宮入り・宮出しが松山市の祭りとは逆で、本村がメス(イメージカラーは黄色)、新立がオス(赤)で、メスが先に神社へ向かい、オスがそれを追うという珍しい世界観も紹介。会場からは「ほぉ」という感嘆の声も。


木を強くしなやかにするため担ぎ棒を海水に3〜4日間つける風習があり、今も本村で受け継がれています(現在は1日)。
(福岡県の山笠など担ぎ棒を海水で清める祭りは全国にもありますが、海に漬け込むのは珍しいようです)

そんな特徴的な祭りですが、一時は存亡が危ぶまれたことも。
2019年秋、当時の支部長から辞任の意思表示がありましたが、後継者が決まっておらず、組織運営も不透明な状況でした。
宮内さんの親しい祭り関係の方が急逝したことも重なり、同級生2人と前支部長らで話し合い、「伝統を絶やしたらいかん」と支部長就任を引き受けたそうです。
就任から祭りまで、わずか43日。ノウハウと資金が無い中、無我夢中でなんとか本番を迎えました。
ところがコロナ禍で2021年から3年間中断。
23年から再開したものの、▽担い手不足と祭り離れ▽学校教育との乖離▽警察対応の厳格化▽神輿の老朽化――など課題が山積しています。

宮内さんは就任以来、次々と新しい施策に取り組んできました。
従来の企業寄付でなく、個人も対象とした協賛という仕組みに変更。支援企業数は42社増え、金額も2019年比で88%増加しました。
24年には「喧嘩」相手の新立地区と正式な話し合いの場を持ち、25年には統一ポスターをつくりました。
さらに外国人向けのフィールドワークを受け入れるなど、インバウンドへのアプローチも始めています。
InstagramなどSNSを活用した広報活動をはじめ、会計報告や配布物の整備などにも取り組み、以前あった「怖い」というイメージの刷新や透明性確保を目指しています。
宮内さんは大人神輿だけでなく、松前町で伝統を繋いでいる子供神輿や獅子舞を継続するためにも、かつてのように10月14日の学校授業を午前中だけにすることはできないだろうかと提言。小中学生が祭りに参加しやすい環境のためには祭りの土日開催の検討も必要かもしれない、としました。
また祭りは単なる行事ではなく、地域経済の活性化や、エリア内の絆を育むことで防災対策に繋がると指摘。神輿の無形文化財登録や町内各団体への官民からの助成、町内神輿の統一行動なども展望していました。
質疑応答は活発で、地域の古老が昔の祭りの風景を描写してみせたり、エミフルMASAKIでの統一寄せを要望する人がいたりしました。

会場では鉢合わせの模様がビデオ上映されたこともあり、「迫力あるなぁ、やっぱり」「今年は見に行きます」との声が挙がっていました。
◆
初めて松前の秋祭りを見た昨年「ほのぼのとバイオレンスな空気がほどよく調和してる面白さ」を感じたのですが、その理由が今回の講演会で分かった気がします。
やはりルーツは漁師の祭り。迫力満点なシーンはある。
人が減りコロナ禍を経て、宮内さんのような若い人たちが再興するにあたって、安全性との両立を目指し、家族で楽しめる祭りとして再構築している最中なんですね。そして地域の資産=宝にしようとしてる。
祭りの伝統から新たな歴史へ⋯松前史談会さん、粋なテーマでした。


以上です。
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