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自分を好きでいられる時間を作る

プレゼント、
ちょっとした気遣い、
ひと言の心配り、
ふだんの仕事…

人がよろこんでくれる場面って、実はあちこちに転がってる。
最近、だれかに喜んでもらったこと、あった?
そのとき、自分の胸の温度は何度まで上がった?

つい先日、洋菓子店を営む友人と飲みに行った。
彼女がグラスを置いて言う。
「そろそろバレンタインの準備をしないと」。
え、いまは9月のはじめだよ? 季節外れのセミも驚くやつ。

でも、あの一大イベントが盛り上がるのは、
だいぶ前から黙々と仕込み続ける人たちがいるから。
ステージの袖が充実しているほど、舞台は光る。


バレンタインは1月から始まる

1月の終わりには、街の棚がすっかりバレンタイン顔になる。
デパートの催事場は人、人、人。

「まだ日にちあるのに、みんな早いなあ」と思っていたら、
友人いわく
「まずは自分で味見して、それから誰に何を渡すか考えるの」

うん、それ、理にかなってる。
「単に自分が食べたいだけじゃない?」とツッコむと、
「まあ、それもあるかもね」と笑う。かわいい正直者。

でも本音はみんな似たようなものだと思う。
大切な人に渡すものを選ぶ時間は、悩ましくて楽しい。

だからこそ、バレンタインやクリスマスの時期、
デパートに人が吸い寄せられる。
贈りものって、届く前から、もう始まってるんだ。


あの人に渡すならナッツ入り? ミルク多め? 苦めのカカオ?
箱の色、リボンの幅、手渡しのタイミング。
ぜんぶ“味見”の延長線上にある作戦会議だ。

恋だって同じ。
本番の「好きです」より前に、
静かな味見がいくつもある。

体調が悪い日の短いメッセージ、
忙しい週に添える差し入れ、
帰り際の「気をつけてね」の温度。

甘さはサプライズで、苦味は大人の配分で。


喜びや充足感が多い人の共通点

ドイツの哲学者ニーチェはこんなことを書いている。

いつも機嫌よく生きるコツは、人の役に立つことだ。
その瞬間に自分の存在の意味がふっと浮かび上がり、
それ自体がまっすぐな喜びになる、と。

出典「人間的な、あまりに人間的な」

喜びや充足感が多い人は、
自分のため“だけ”じゃない時間をたくさん持っている。
そういうことなんだと思う。


自分を好きでいられる時間を作る

思い返すと、私の日常でいちばんうれしいのは、
やっぱり「ありがとう」の瞬間。

正直、どれだけ苦労しても、
その一言でご褒美が全部やってくることがある。
たった五文字が、なぜ生きるのか、どう生きるのかの矢印をすっと整えてくれる。

「人は一人では生きていけない」って、使い古された言葉だけど、
自分という存在を確かめる意味でも、ほんとその通りだ。
だれかに役に立つことで、私は「ここにいる」を思い出す。


だから悩む、たった一つのチョコを選ぶのに数日かかることもある。
包装紙は何色にしよう。メッセージカードは手書きにしようか。

思えば、未来に向けて誰かを喜ばせる準備をする時間ほど、
自分を好きでいられる時間ってないのかもしれない。

「今年はビターで攻める?」
「ううん、あの人にはミルクのやさしさが似合う」
そう話すだけで、少し世界がやわらかくなる。

だれかを喜ばせる機会は、思っているよりずっと多い。
今日もひとつ、前もって。
笑ってもらえるように、すこしだけ仕込みをしておく。
それがきっと、自分の機嫌を守るいちばんしなやかな方法だ。

よろこびは、前もって。
そして、できればチョコは少しビターで。
あなたからチョコをもらうだけで十分に甘い出来事だから。


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