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占いで何かを奪った者は 占いからそれ以上を奪われる(バイナン 8)

note公式からメッセージが届きました ↑

これは、
現役の占い師がナンパ師に弟子入りをして、
1000人の女性に路上で声をかけた体験談の連載です。
はじめてご覧になる方は、先にこちらをご覧ください ↓

ラクじゃなかった100人の鑑定練習

前回のレッスンから1週間後

待ち合わせの20分前にモスバーガーに着くと、
ワタルはすでに店内にいて、女性2人組と同じテーブルに座っていた。
何やら、楽しそうにワチャワチャ話し込んでいる。

私は少し離れた席を選び、
前回、ワタルから路上で教えてもらったことの復習と、
今日ワタルに伝える予定のレッスン内容を、
ノートで確認していた。

しばらくして、
ワタルと女性2人組は立ち上がり、店の外へ出た

入口のすぐ外で手を振って別れ、
ワタルだけ、そのまま店内に戻って
私のテーブルにやってくる。

「おつかれ」
「おつかれ」

「さっきの2人は?」

そう聞くと、
ワタルはさらっと言った。

店内にいた2人組に声をかけて
占いをさせてもらったとのこと。
店内でもナンパするんだね……

「先週の占いの宿題
あの子たちでちょうど100人
なんとかノルマ、クリアしたよ」

前回も100人やったと聞いていたから、
正直そこまで驚きはしなかった


ただ、
今回はどこか様子が違った。

「いやー、前回が思ったよりスムーズだったから
今回もいけるかなって思ったんだけどさ
めっちゃ苦労した」

「どうして?」

そう聞くと、
ワタルは少し言葉を選びながら話し始めた。

「習ったことが増えて
読み解ける幅が広がったぶん
1人あたりの時間が、
倍くらいかかるようになってさ

時間が全然足りなくて
どうしようって焦って

今日も朝からずっとやってて
さっきの子たちで、ようやく100人」

なるほど、と思った。

そういえば、
時間配分とか、
話の切り上げ方については、
まだ何も伝えていなかった。

占いのレッスンで
何を話すか
どの順番で伝えるか

ワタルの場合、
こちらの想定を軽々と超えてくる
一筋縄ではいかないな、と改めて思った。

暗算で星回りを導き出すレッスンの効果

それでも、
宿題そのものは、確実に身になっていた

「本命星」と「月命星」を組み合わせることで、
前回よりも、
ずっと解像度の高いアドバイスができたらしい。

あと前回は、スマホアプリに頼らず
暗算で星回りを導き出す方法を教えた。

目の前で占う相手には、
暗算で星回りを出すと、やっぱり説得力が違う

アプリで計算すると、
「その結果、最初からアプリに書いてあるんじゃない?」
と思われてしまうことがある

でも、暗算だと、
その場で導き出している感じが伝わる。

一方で、
Line電話の相手には、
見えない分、
暗算でもスマホでも印象は変わらない。

……まあ、そりゃそうだ。

それから、
居酒屋で占った時の話もしてくれた。

「その日、居酒屋が3軒目で
酔った状態で、占おうとしたら
計算が全然できなくてさ」

ワタルはそう言って笑っていたけれど、
私は……笑えなかった。

どうしても伝えたかったこと

さてさて
3回目の占いレッスン

本当は、
九星気学の続きからをやる予定だった。

でもその前に、
練習とは言え、多くの人を相手に
占い鑑定の実践をしているワタルに
どうしても話しておきたいことがあった。

占い師としての倫理の話だ。

占いは、警察官の拳銃に似ている

「この銃を、憎たらしいあいつにぶっ放したい!」

そう思ったことが、
1ミリもない警察官は、
いるだろうか?

もしかしたら、いるのかもしれない
でも、
拳銃を携帯している警官の多くは、
1度くらい、頭をかすめたことが
あるんじゃないかと思う。

それでも、
実際に引き金を引く人がいないのは、
自制心と倫理観、
そして強固な規律があるからだ。

占いも、
少し似ているところがある。

使い方次第で、
人を助けることもできるし、
人を傷つけたり、
金銭を搾取する道具にもなってしまう。

警察官の銃と決定的に違うのは、
占いには、
強固な規律がないという点だ。

人を助けるために使うのか。
自分の欲を満たすために使うのか。

それは、
占い師一人ひとりの、
自制心と倫理観に委ねられている。

言葉は、刃物になる

占いで、
人を思い通りに動かすことはできる。
搾取することも、理屈の上では可能だ。

でも、それは必ず、
巡り巡って自分に返ってくる。

「人に迷惑をかけてはいけない」
それは当たり前の話だけれど、
長い目で見れば、
自分のためにもならない。

「占いで何かを奪った者は
 占いからそれ以上を奪われる」

私の師匠であるエミさんが
よく言っていた言葉だ。


それから、
酔っているとき。
体調や気持ちが万全じゃないとき

そういう状態で占いをするのも、
絶対にダメだ。

たった「ひとこと」で、
相手の人生が、
大きく揺れてしまうことがある。

占い師にとっては、
何気ない一言でも

言われた側は、
ずっと心に引っかかってしまうことがある。

自分の言葉が、
刃物にも拳銃にもなり得る

その自覚だけは、
忘れないでほしい。

小さな違和感

「わかったよ」

ワタルは、そう言った。

でも、その声が、
少しだけ軽く聞こえた。

まあ、
まだ始めたばかりだ。

この話の重さが、
1度で伝わらなくても仕方ない

先は長い。
また折を見て伝えればいい……


そのときは、
そう思っていた。

この小さな違和感を、
そのまま流してしまったことを、
あとで後悔することになる。

そのあと、
九星気学の続きのレッスンに入った

何事もなかったかのように。

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