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【完全解説】世界の内部監査権威が選ぶ「今年の顔」。第7回ビーコン賞受賞者12人の全貌と内部監査の未来

こんにちは、「IA Insight Lab(IAラボ)」管理人のHIROです。私は現在、米国のシリコンバレーで「世界の内部監査のベストプラクティス」や「内部監査における生成AI活用」の研究とコンサルティングに取り組んでいます。

このシリーズでは、日本の内部監査人が普段触れる機会の少ない「世界の内部監査」の動向を、最新かつ分かりやすくお届けすることを目指しています。とりわけ、アメリカにおける内部監査は日本の10年以上先を行くとも言われており、その先進事例は私自身も学びの宝庫と感じています。

今回は、2025年12月29日に発表されたばかりの「第7回 内部監査ビーコン賞(The 7th Annual Internal Audit Beacon Awards)」についてお伝えしたいと思います。この記事を読むことで、世界で今最も影響力のある監査リーダーたちが誰で、どのような活動が評価されているのか、そして彼らが指し示す「内部監査の未来」について理解することができます。



0. まずは全体のサマリーを紹介

本文を読み進める前に、まずは昨今話題のGoogle Gemini3で作成した、まとめのインフォグラフィック画像を公開しますので、全体の理解促進にお役立ていただければ幸いです。

記事全体のサマリー

参考:インフォグラフィック作成についてはこちら


1. 記事解説:第7回 内部監査ビーコン賞と、世界を導く「灯台」たち

1.1. リチャード・チェンバース氏が選ぶ「ビーコン(灯台)」とは?

まず、この賞の背景について解説します。この賞を主催しているのは、内部監査業界の世界的権威であり、IIA(内部監査人協会)の元グローバルCEOであるリチャード・チェンバース氏です。

2019年、彼は過去10年間にわたり「ソートリーダーシップ(思想的指導力)」と「提言・擁護(Advocacy)」を通じて内部監査専門職に多大な貢献をした人物を表彰し始めました。当初は一度きりのリストのつもりでしたが、その反響の大きさから、毎年の伝統行事へと進化しました。

「ビーコン(Beacon)」とは「灯台」や「篝火」を意味します。
チェンバース氏はこの賞を通じて、講演、出版、教育、そしてデジタルプラットフォームでの関与を通じて専門職を前進させている個人を「業界を照らす光」として称えています。

今年の選考には、世界25カ国から100件以上の推薦が寄せられました。チェンバース氏は、候補者たちのソートリーダーシップの深さ、多様性、品質に感銘を受け、「わずか10年前には想像もできなかったレベルに業界が到達している」と評しています。

そして今年、12名の個人がその並外れた貢献を認められ、受賞者として選出されました。

1.2. 僭越ながらご報告:私HIROも受賞者の一人に選ばれました

ここで、読者の皆様にご報告があります。今回発表された受賞者リストの中に、僭越ながら私、HIRO(Hiroyuki Tsuchida)の名前も掲載いただきました。

記事では、「長年にわたり、ビーコン賞は世界の内部監査専門職に数々の輝かしい新星を紹介してきた。今年、その栄誉は日本のHiroyuki (Hiro) Tsuchidaに与えられる」と紹介されています。
新星として世界のトッププレイヤー達と共に表彰をいただき、本当に身が引き締まる思いです。

私は2025年、日本の内部監査の未来を前進させることに注力し、AI主導の内部監査変革に関する世界的な議論に貢献してきました。特に、著書『The AI-Driven Internal Audit』を通じて、AGI(汎用人工知能)時代における「AX(AIトランスフォーメーション)」を提唱したことが評価されました。

米国のCEO Weekly誌などにも取り上げていただき、「Hiro Tsuchidaにとって、これは単なる技術的な破壊ではなく、専門職の未来を定義する極めて重要な瞬間である」と評されたことは、身に余る光栄です。

また、振り返ると私はちょうど1年ほど前にこのIAラボを立ち上げて、業界の発展のために、様々な内部監査/GRC情報の発信を行ってきました。
この1年間の努力がこのような形で報われ、嬉しい限りです。栄誉ある賞の名に恥じないように、今後も精進して参ります。

1.3. 【完全保存版】2025年 ビーコン賞受賞者たちの全プロフィール紹介

私以外の11名の受賞者たちは、まさに世界の内部監査を牽引するトップランナーたちです。彼らがどのようなバックグラウンドを持ち、何を専門としているのか、リチャード・チェンバース氏の記事に基づいて紹介します。

今回は5大陸11カ国から選出されており、非常に多様性に富んだラインナップとなっています。彼ら全員で、LinkedInだけで約25万人の専門家にリーチしているという影響力の大きさにも注目です。

世界からの選出者たちと共に(上段左から2人目がHIRO)

① Gehan Alharbi 氏(サウジアラビア)

彼女は今回が初受賞であり、サウジアラビアから初めて選出されたソートリーダーです。

  • 現在の役職:
    リヤド航空(Riyadh Air)のジェネラル・オーディター。

  • 影響力:
    LinkedInで約19,000人のフォロワーを持ち、サウジアラビアから世界の舞台へと内部監査の未来を形作る、目に見える信頼性の高い発信者です。

  • 活動:
    実務でのリーダーシップに加え、公の場での教育、大規模な能力開発を行っています。「AuditMentor」という専門的な学習イニシアチブの創設者でもあり、現職および将来の内部監査人に実用的な知識と学習リソースを提供しています。

② Rania Bejjani 氏(英国)

彼女も今回が初受賞ですが、業界では既に知られた存在です。

  • 専門性:
    エグゼクティブとしての経験、グローバルな視点、戦略的思考、そしてメンターシップを融合させ、内部監査の声と価値を高めています。

  • 2025年の貢献:
    内部監査機能の運営方法の改善、意思決定者への影響力の行使、将来への準備において貢献しました。

  • 特筆事項:
    自身のポッドキャストシリーズ「Impact Legacy with Rania」を立ち上げました。

③ Robert Berry 氏(米国)

今回で5回目のビーコン賞受賞となり、同時に「ライトハウス賞(Lighthouse Award)」(5回以上受賞者に贈られる特別賞)も受賞しました。

  • キャッチフレーズ:
    「内部監査人がより良い質問をするのを助ける(helps internal auditors ask better questions)」を掲げていますが、チェンバース氏は彼が「より良い答え(better answers)」も提供していると評しています。

  • ブランド:
    「That Audit Guy」として知られ、LinkedInで23,000人以上のフォロワーを持ちます。X(旧Twitter)でも活発に活動しています。

④ Salih Ahmed Islam 氏(トルコ)

トルコの尊敬される内部監査専門家であり、過去にも受賞歴があります。

  • 強み:
    何十年にもわたる実務経験とグローバルなリーチを持ち、内部監査の倫理やその他の重要なトピックについて鋭い洞察を提供しています。

  • 出版:
    著書『The Operational Audit Blueprint – Definitions, Internal Audit Programs and Checklists for Success』は、実務家にとって人気のリソースであり続けています。

  • 影響力:
    おそらく業界で最大規模となる、約60,000人ものLinkedInフォロワーを持っています。

③ Tom McLeod 氏(オーストラリア)

2020年に初受賞して以来、今回で3回目の受賞となる、世界的に認められた内部監査およびリスクのリーダーです。

  • 専門分野:
    特に人工知能(AI)の活用に関して、専門職に「より大きく考える(think bigger)」ことを促しています。

  • 最近の活動:
    記事「25 Things I Learnt About AI in Internal Audit in 2025(2025年に内部監査におけるAIについて学んだ25のこと)」は、AIの変革力を説く優れたコーチングの例です。

  • 影響力:
    AIへのタイムリーな注力により、彼の発言に耳を傾ける約35,000人のLinkedInフォロワーを集めています。

⑥ Tracie Marquardt 氏(カナダ)

今回が2回目の選出ですが、長年にわたり業界の女性のための擁護者として名声を築いてきました。

  • ブランド:
    「The Audit Alchemist(監査の錬金術師)」と自称しています。

  • 活動:
    コミュニケーション・コンサルタント、基調講演者、モチベーショナルトレーナーとして活躍。ポッドキャスト「Inspiring Women in Audit」を通じて、世界中の女性(および男性)に洞察とモチベーションを提供しています。

  • 影響力:
    10,000人以上のLinkedInフォロワーを持ち、ウェブサイトを通じても活発に発信しています。

⑦ Chidambaram Narayanan 氏(オマーン)

内部監査、IT監査、リスク管理、ガバナンスにおいて20年以上の経験を持つ、再受賞のビーコンです。

  • 2025年の活動:
    21,000人のLinkedInフォロワーに対し、AIの実用的なツールと使用法についてコーチングを行いました。

  • 評価:
    チェンバース氏は彼を通じて、「オマーンという国が、世界にとって内部監査の知恵の泉であることを思い出させてくれる」と評しています。

⑧ Karem Obeid 氏(UAE)

2024年に初受賞し、2年連続の受賞となります。2025年はさらに印象的な活躍を見せました。

  • 焦点:
    内部監査の「人間的側面(Human side)」を高めることに注力し、革新、倫理、リーダーシップを融合させて専門職への信頼を強化しています。

  • 変革:
    AI、ESG原則、データ分析を活用し、内部監査を「戦略的で付加価値を生むパートナー」へと変革することを提唱しています。

  • 受賞歴:
    7月にIIA Globalから「CAE of the Year Award(年間最優秀最高監査責任者賞)」を受賞しました。

⑨ Tom O’Reilly 氏(米国)

「The Internal Audit Collective」を設立し、2024年に初受賞しました。

  • コミュニティ運営:
    彼が立ち上げたSOXおよび内部監査のトッププロフェッショナル向けコミュニティ「The Collective」は、わずか1年強で700名以上の専門家が参加する規模に成長しました。

  • AIへの注力:
    多くの受賞者同様、AI採用のチャンピオンです。11月に『The Gen AI Playbook for Internal Audit — Volume I』を出版しました。

  • 影響力:
    約35,000人のLinkedInフォロワーを持ち、重要なソートリーダーとしての地位を確立しています。

⑩ Ursula Schmidt 氏(ルクセンブルク)

今回で3回目の受賞となります。

  • スタイル:
    ユーモア、誠実さ、実体験を交えた「ストーリーテラー」であり、内部監査を理論的・複雑なものではなく、実用的で人間味のあるものにしています。

  • 評価:
    ノイズを切り裂き、内部監査人が点と点を結びつけるのを助けるリーダーです。

  • 著作:
    Internal Auditor Magazineに寄稿した記事「Building a Better Auditor: The Difference of Authentic Leadership」などが貢献として挙げられます。

⑪ Renato Trisciuzzi 氏(ブラジル)

長年のIIAリーダーであり、2025年にリストに復帰しました。ラテンアメリカおよび世界中で知名度を高め続けています。

  • 出版:
    2025年に『Os 4 pilares da liderança imbatível(無敵のリーダーシップの4つの柱)』を出版しました。

  • 影響力:
    21,000人以上のLinkedInフォロワーを持ち、過去1年間で100以上の投稿が20万以上のビュー/リアクションを生み出しました。InstagramやXでも活発です。

⑫ Hiroyuki Tsuchida 氏(日本)

そして私HIROが最後の個人受賞者として選ばれました。

⑬ ライトハウス賞(The Lighthouse Award)

これは、ビーコン賞を過去に5回以上受賞した人物に一度だけ贈られる、全業績に対する賞です。
昨年の受賞者である Hal Garyn氏(米国)、Rainer Lenz氏(ドイツ)、Norman Marks氏(米国) に加え、今年は前述の Robert Berry氏(米国) が新たに加わりました。

ここで名前が挙がっている「Rainer Lenz氏(ドイツ)」は、世界で「ガバナンスの庭師」というイニシアティブを行っており、なんと先日私が「日本初のアンバサダー」に選ばれています。


2. 日本の内部監査への適用:世界のトレンドから私たちが学ぶべきこと

2.1. 世界の潮流は「AI」と「人間性」の融合

今回紹介した12名のプロフィールを詳細に分析すると、明確なトレンドが見えてきます。それは「AI(テクノロジー)」と「人間性(ヒューマンスキル)」の二極化、あるいはその融合です。

私(HIRO)やTom McLeod氏、Chidambaram Narayanan氏、Tom O’Reilly氏のように、生成AIやAIツールの活用を強く推進し、具体的なプレイブックや「AX(AIトランスフォーメーション)」を提唱する動きが大きな潮流となっています。これは、世界中の監査人が「もはやテクノロジーを無視しては監査が成り立たない」と認識している証拠です。

一方で、Karem Obeid氏やUrsula Schmidt氏、Tracie Marquardt氏のように、「人間的な側面」「倫理」「ストーリーテリング」「リーダーシップ」「女性活躍」といった、テクノロジーでは代替できない領域を深掘りするリーダーたちも高く評価されています。

これは日本の内部監査人にとって非常に重要な示唆を含んでいます。
私たちは往々にして、「AIを導入するか、人の判断を重視するか」という二項対立で考えがちです。しかし、世界のトップリーダーたちは、「AIで効率化・高度化しつつ、人間ならではの洞察や倫理観で価値を届ける」という両輪を回しているのです。

2.2. 日本の監査人も「発信」で世界とつながれる

今回の受賞者リストを見て痛感するのは、「発信すること」の重要性です。
受賞者の多くは、LinkedIn、ポッドキャスト、ブログ、書籍などを通じて、自分の知識を惜しみなく共有しています。

  • Robert Berry氏の「That Audit Guy」

  • Tracie Marquardt氏の「The Audit Alchemist」

  • Rania Bejjani氏の「Impact Legacy」

彼らは自分自身をブランディングし、キャッチフレーズを持ち、コミュニティを作っています。
日本には「秘すれば花」という文化がありますが、グローバルな文脈において、そして組織内でのプレゼンス向上において、黙って仕事をするだけでは不十分かもしれません。

私自身、シリコンバレーから情報を発信し続けたことで、今回のような評価をいただくことができました。これは私に限った話ではなく、日本の優れた監査実務やカイゼンの精神は、言語の壁さえ越えれば、世界で十分に通用するコンテンツになり得ます。

2.3. 明日からできるアクション:組織の「ビーコン」になるために

リチャード・チェンバース氏が提唱するように、私たち一人ひとりが組織における「ビーコン(灯台)」になることができます。

  1. テクノロジーへの適応:
    Tom McLeod氏やTom O'Reilly氏のように、AIについて学び、小さな実験を始めてみましょう。「2025年にAIについて学んだこと」をリスト化するだけでも、それは立派なアウトプットです。

  2. 人間味のある監査:
    Ursula Schmidt氏のように、ユーモアやストーリーテリングを取り入れ、監査報告書を「読ませるもの」「行動したくなるもの」に変えてみましょう。

  3. コミュニティへの参加と発信:
    Salih Ahmed Islam氏やGehan Alharbi氏のように、知見を共有しましょう。社内のイントラネットで「監査の気づき」を発信するだけでも、あなたは組織内のソートリーダーになれます。

今回の受賞者たちのプロフィールは、単なる名簿ではありません。彼らの活動一つひとつが、私たちが目指すべき「現代の内部監査人」のロールモデルなのです。

この記事を通じて、世界の最前線で活躍する彼らの情熱が、皆さんの日々の業務への刺激となれば幸いです。私も「ビーコン」の一員として、引き続き日本の皆様に有益な情報をお届けしていきます。


この記事は、私個人の専門家としての継続学習のため、また内部監査業界の発展のために投稿しています。「いいね」や「フォロー」で応援いただけると励みになります。それでは、次回の記事でお会いしましょう!


引用元:

Richard Chambers, "The 7th Annual Internal Audit Beacon Awards," Richard Chambers Blog, December 29, 2025.


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