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🎹✏️初心者のための音楽講座⑩|ゆっくりの曲はなぜ難しい?


「速い曲は難しい、ゆっくりの曲なら簡単」──そう思っていませんか?
実はその逆で、ゆっくりの曲こそ“ごまかしがきかない”ため、演奏の真価が問われます。

拍を正確に感じること、長く伸ばす音をきちんと数えること。これができていないと、曲の流れはすぐに崩れてしまうのです。


今回は、モーツァルトのピアノソナタ第8番 第2楽章を例に、ゆっくりの曲に隠れた難しさと、その克服のヒントをお伝えします。


モーツァルトに学ぶ「ゆっくりの難しさ」


出典:モーツァルト《ピアノソナタ第8番 K.310》第2楽章 原典版(ペータース版)

8番のピアノソナタ、第二楽章。聴くと大変穏やかで美しい音楽です。譜面も一見シンプルに見える冒頭ですが、ここで大切なのはまず譜読みの段階で正確にリズムをとらえること。

愛好者の方の場合、ゆったりした曲の場合、雰囲気だけとらえて弾こうとしがちです。
こういった時は、特に「長く伸ばす音を正確に数える」ことを気を付けるだけでも、演奏の質がぐっと引き上がります。また、一見速く弾きそうな16分音符もゆったりしたテンポの中ではどう弾いたら良いのかの感覚をつかむのに案外時間がかかるものです。

休符や空白の時間も音楽の一部です。そこを意識できるかどうかで、曲全体の表情が変わります。


ゆっくりの曲はなぜ難しいか

音の“間”があらわになる
 → 音を出すタイミングがシビアになる
・表現の幅が求められる
 → 一音ごとに強弱・響きをコントロールする必要がある
・持続力が試される
 → 音を保つ時間が長く、脱力や支えができていないと音が崩れる

特に初心者の方の場合、長さをコントロールするための拍の感覚や技術の面で第一関門といえる難しさがあるかもしれません。


初心者への練習のヒント

  • メトロノームを使う
     拍の流れを外からの基準に合わせ、感覚のブレを防ぎます。正確なリズムを捉えるための基本です。

  • 声に出して数える
     「1、2、3、4」と声に出すことで、伸ばす音の長さを身体で覚えます。ゆっくりの時
    は「1と2と3と4と」というように、"裏拍"を意識すると良いです。

  • 算数のように整理する
     リズムが難しく見えるときは、音を小さく分割して考えるとわかりやすくなります。
     たとえば 付点八分音符は「16分音符3つ分」と考えれば、長さがイメージしやすいですね。
     基準になる音符(この場合は16分音符)を決めて、そこにいくつ分入るのかを数えると、リズムを正確につかめます。

  • 焦らず、正確に
     速さや華やかさよりも、正しい拍で弾けているかを大切にしましょう。


まとめと次回予告

ゆっくりの曲はごまかしがきかず、練習では骨が折れるかもしれません。
ですが、拍を正確に感じながら取り組めば、確実に基礎力が身につきます。
それは同時に、音楽の本当の響きを味わう貴重な時間でもあります。

だからこそ、ゆっくりの曲に正面から向き合うことは――最高の練習であり、素晴らしい音楽体験への入り口なのです。

これで「リズム編」は終了です。
次回からは、ピアノでメロディを弾くために必要な譜面の読み方を、わかりやすく解説していきます。

🔷坂本龍一さん自身の演奏による《Aqua》

その“深くゆったりとした響きの魅力”そして、精神性を感じられるでしょう。



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礒山久理/プロフィール
音楽好きな父の影響でクラシックを始め様々なジャンルのレコードを聞いて育つ。音楽教室講師を経て礒山久理ピアノ教室を主宰。生徒の心に寄り添い、楽しみながら上達するピアノレッスンを実践し多くの生徒を育てている。
30代よりバレエピアニストとしてのキャリアを重ね、「バレエとピアノの素敵な関係」「ブルクミュラーフェスティバル(2014年音楽之友社主催)」NHK「ららら♪クラシック」へ出演。又「ティータイムコンサート」等ソロピアニストとしても活動を継続。
「クロワゼ」等バレエ雑誌のほかメディアでの紹介多数。
ピアノを黒河好子、霧生トシ子、田中まり子、アキレス・デッレ・ヴューニュの各氏に師事。北海道教育大学、幼児教育専攻。メンタルヘルス協会心理カウンセラー資格保持。

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