労災申請で心を折られないために知るべき現実と対策
はじめに
これは「労災申請のノウハウ記事」ではありません。
もしあなたが今、労基署(労働基準監督署)に足を運ぼうとしているなら、その前に読んでほしい。私が経験した「窓口の壁」と「行政の時計」を先に知っておけば、私と同じように傷つかなくて済むかもしれないから。
タイムライン
2023年2月(日付の記録はなし)
労基署労災課に電話し、労災申請に必要な書類を確認。
厚生労働省のホームページを見ながら「レセプト(診療報酬明細書)は、今まで通院した数年分、全部必要ですか?」と聞いた。
「とりあえず、全部持ってきてください」と担当者にはっきり言われた。
2023年3月1日
病院(事前に電話連絡して説明済み)と薬局(当日に電話連絡して説明済み)へ書類を受け取りに行く。
2023年3月2日
労基署労災課に書類を提出。不受理。
電話で説明を受けた内容と、窓口で言われた内容がまるで違った。
「レセプトは直近1ヶ月分だけで問題ないです。その時は自費でお支払いしてください」「こちらの診断書の月日は修正してもらってください」と言われた。
さらに受付の担当者に「予約はしましたか?」と言われた。コロナ禍以降、予約が必要かどうかを電話で確認し、「予約は不要ですのでそのまま来ていただければいいですよ」と言われていたのに。
この「違和感」が、後の地獄の前兆だったと今なら分かる。
2023年3月11日
再度病院へ。説明をして、自費で支払い、そのレセプトを受け取る。診断書の月日を医師に修正してもらった。
2023年3月16日
労基署労災課に労災申請に係る書類を再提出。ようやく受理。
2023年3月23日〜28日
労働局からの書類を受領し、書類を投函。
この時、労働局から「管内の労基署の調査業務の一部を労働局が担当する」旨の書類も同封されていた。労災申請は本来、労基署が窓口だ。不服があれば審査請求で労働局、さらに再審査請求で東京の労働保険審査会、という順番になる。その途中でいきなり「労働局」が出てきたのは、この書類があったためだ。
2023年5月24日
労基署の個室で面談(聴取調査)。
9:30〜16:00、昼休憩をはさんで約6時間(予定では9:30~15:00)。
聞き取りをしながら担当者がパソコンに入力していくのだが、入力がとにかく遅かった。「私が入力しましょうか」と言いたくなるほど。
ようやく終わりに近づいた頃、「話した内容と合っているか確認してください、不足があれば追加しますので」と言われ、十何ページもある聴聞調書を印刷し手渡され、その場で確認した。正直、誤字・脱字が多すぎて内容確認どころではなかった。誤字を指摘すると「あぁ、ここですよね、分かってます」と不機嫌に返ってきた。それ以上、何も言えなかった。
疲れ切った6時間だった。
2023年5月27日
面談後、不足している説明を追加書類として提出(面談中に書類の追加は可能か確認済み)。
2023年10月16日
進捗確認のため労働局へ電話。
担当者から「もうそろそろまとめます」と返事がある。
この「もうそろそろ」が、一般の感覚とどれだけかけ離れているかを、この時の私は、まだ知らなかった。
2024年1月14日
「もうそろそろまとめます」と言われてから3ヶ月経過。労働局への進捗確認を兼ねた行政相談へのメール送信。やってるのか、という圧をかけるために送った。
2024年1月15日
翌日、労働局から電話があった。行政相談から連絡があったようだ。
2024年1月25日
結果通知が届く。不認定。
行政機関の「3つの真実」
経験を通じて分かったことを、率直に書く。
担当者が制度の内容を知らない
労災課の担当者が、必要書類の正確な内容を把握していなかった。
電話で「レセプトは数年分すべて持ってきてください」と説明を受けたが、窓口では「1ヶ月分のみでいい、自費で支払ってください」と言われ、不受理になった。
申請には期限がある。もしその誤った案内が原因で期限を過ぎていたら、と考えると今でも怖い。
「もうそろそろ」は数ヶ月後を意味する
10月に「もうそろそろまとめます」と言われた結果は、翌年1月だった。行政の時計は、私たちの10倍遅く動く。
だから連絡が来なくても、あなたの提出した書類に不備があるせいではない。
行政は寄り添わない
例えるなら、一昔前のAIだ。暖かみのない「よくわかりません。」を連呼していた時代の。
こちらはドキドキしながら、メンタルをすり減らしながら申請しているのに、窓口は淡々と職務をこなすだけ。しかも正確ではない。
その温度差に、心がじわじわと侵食される。
行政と向き合うための準備
電話したら、必ず記録を残す
「言った・言わない」に個人の記憶力で挑んではいけない。電話をしたら、日時・担当者名・言われた内容をその場でメモする。できればスピーカーフォンにして録音しておく。
私がそれを痛感したのは、「レセプトは全部持ってきてください」と電話で言われ、その通りに準備して窓口へ行ったら覆されたからだ。記録があれば、後から行政相談へのメールで使える動かぬ証拠になる。
医療機関への影響も、行政の落ち度として記録する
私の場合、誤った案内(誤案内)のせいで診断書の修正を医療機関にお願いすることになった。費用はたまたま発生しなかったが、それは運が良かっただけだ。医療機関にただいなる迷惑をかけた事実は変わらない。費用が発生した場合は必ず領収書を取っておくこと。行政相談や審査請求の材料になる。
「行政相談」という手段を知っておく
総務省が運営する、国の行政への苦情・意見・要望を受け付ける窓口が存在する。「もうそろそろまとめます」から3ヶ月音沙汰がなかった時、私はここにメールを送った。翌日、労働局から電話がかかってきた。
「手続が進まない」・「対応がおかしい」、それだけで使っていい窓口だ。知っているだけで、使える手段が一つ増える。
体調は必ず悪化するものだと思って臨む
電話の後、過呼吸になることがあった。万全の状態で臨むこと。
書類の提出期限が迫っていても、無理そうなら「猶予をもらえないか」と事前に連絡しておくと対応してもらえることがある。
権威には権威で対抗する
行政に対抗するなら、根拠となる法律を事前に調べておくか、社労士・弁護士など法律関係者と同行することが一番効く。
最後に
不認定だった。
11ヶ月かけて、何度も電話して、過呼吸になって、誤字だらけの聴聞調書を直させて、それでも不認定だった。
そして届いた不認定通知書(意見書)にも、誤字があった。日本語がおかしかった。大学生の方がちゃんとした文章を書けると思った。
でも怖いのはそこじゃない。その書類には決裁が下りている。担当者だけじゃなく、上の人間、そして労働基準監督署長が読んでOKを出したということだ。
だから私は審査請求をした。
今まさに役所の窓口の前で立っている人へ。窓口の冷たさに傷ついているあなたへ。
傷ついたのは、あなたが弱いからじゃない。
あなたの価値が低いから雑に扱われているわけじゃない。
あなたの気持ちや立場を軽んじているわけじゃない。
行政というシステムが、最初から未完成なんだ。
あなたは尊重されていい人なんだよ。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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