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トマトの出荷規格表を見てトマト農家のすごさを思い知った件



「青いトマトを選ばなきゃダメ」と言われて驚いた技術講習会


わたくしの師匠 故・西出隆一さんはめちゃくちゃおいしいトマトをつくる方でした。その秘密は土づくりにある、ということで、生産者の技術講習会で取引農家の方々数十名とともに西出さんのトマトハウスに行ったときのことです。

どれでもいいからトマトを食べてみろと言われたのです。他人のつくったトマトを食べたことがないのに俺のトマトが世界一おいしい!! とかいうトマト農家のおじさまたちは、それこそ鵜の目鷹の目でトマトの味を確認し始めました。

わたくしはのほほんと近くにあった赤いトマトをもいで、甘くておいしいなあとつぶやいたところ、それを見ていたトマト農家が言いました。

「赤いのなんか食べちゃダメ、赤いのがおいしいのはあたりまえなんだから。こういうときは青いトマトを食べるの。出荷するときのトマトは青いんだから、青くておいしいトマトをつくるのがプロ」

ええーそういうもん? わたくしは少し驚いて、ほんのり赤くなっているトマトをもぎ直しましたがやっぱりおいしくて「おいしいよ?」とそのトマト農家のほうを見ました。
彼はめっちゃくやしそうに「ほんとにおいしいわ」と言いました。あの苦虫を噛み潰したような、負けたあ!! というような彼の顔、まだ忘れられません。

トマトの出荷規格表、色は1番? まっさおですよ?


スーパーの大玉トマト、時期によっては味がイマイチなこともあるし、めっちゃおいしいこともあります。

わたくしはトマトは自分でつくっているのでスーパーで買うことはほとんどないのですが、15年ほど前、とあるJAでトマトの出荷規格表を見る機会がありました。どこのJAというのを出さないという条件で写真を撮らせてもらいました。それがタイトルと以下の写真です。

これを見たとき、西出さんのトマトハウスでトマト農家が言ったことがしみじみ理解できたのです。

ウチのトマトほぼA品以下かも。

まずはタイトル画像をご覧ください。縦位置の出荷規格表を横で撮影しているので少し見にくいのですが、このJAでは出荷基準の色合いは1番だとのことでした。

1番。ほんのり赤くなる少し前って感じですね。西出さんの畑で食べたトマトの色は4番くらいだったので、わたくしの感覚では3か4が出荷規格なのだろうと想像していたので、少し驚きました。

JAの人は淡々と言いました。「前は3番だったんだけど、市場が3だと日持ちが悪いから1にしてくれって言ってきた。市場が言うならしょうがないよね」

なぜ市場は青いままのトマトが欲しいのか

トマトは緑色で収穫しても時間が経てば赤くなってくれる作物です。ということは、まだ熟していない青いうちに採れば色がつくまで置いておくことができるということでもあります。

熟度が低いメリットは何か。まず、収穫後の輸送でアタリなどの傷みが出ないこと。トラックでJA→市場→小売と移動する間もきれいなままでいられます。
スーパーのバックヤードでパッキングされて店頭に並んで売れ残ってもOKだし、バックヤードに置いておくことも可能です。ということで、青いトマトは流通と小売にとってメリットしかないのです。

市場が「日持ちしないからもっと青いやつ」といったのはつまり、収穫後に置いておける時間が短いと困る、ということです。物流費が上がっていたりその産地から出るトマトはとくに時間を置く必要があったのかもしれないけど、そういうことなのでしょう。

これはトマトに限ったことではなく、桃やプラムなどの果物も同じような感じです。熟度が低くても店頭に並ぶ頃にはきれいに色づいているため、消費者が気づくことはありません。

ここんとこ、消費者の存在がどこかに置いてきぼりにされているよなあ、と思います。以前は怒りを感じていましたが、最近は還暦を過ぎたせいか、日本全国で1年中赤いトマトが売られていること自体がすごいことで、それが消費者のメリットかもしれないなと思うようになりました。

だからといって家庭菜園の赤いトマトがおいしいわけじゃない

ということで、わたくしは自分で栽培するようになったのですが、家庭菜園で真っ赤に熟したトマトがおいしいかというと、そんなことはないわけで。ここが家庭菜園の悲しいところです。理由は環境のコントロールができない露地栽培なこと。

家庭菜園のトマトの第一果が実るころはだいたい梅雨入りしていますから、雨がバンバン降ってトマトが水を全部吸っちゃいます。
ビニールマルチでもしていれば少しはいいのですが、わたくしの場合は敷きワラ。水分コントロールがいっさいできないためトマトは水を吸い放題。たまーにかんばつで水が切れた年、比較的糖度がのりやすい3段目くらいまで糖度がようやく6度出るかなって感じです。

師匠の教えを守ってまじめにトマトを栽培していたときですら、6度台後半が出ると小躍りしたほど。もちろん青いトマトではなく、木で赤くなるのを待って収穫した真っ赤なトマトなんですよどうしたらいいのって感じです。

ハウスで環境がコントロールができていれば、青くても6度くらいかんたんに出せるのかもしれませんが、露地の家庭菜園では糖度6度以上、ましてや7度台のトマトなんて夢。土作りがちゃんとできていてマルチも張って、整枝の技術がある人じゃないとムリなんじゃないかと思います。

だからこそわたくしは、青い状態の出荷規格をちゃんと守って、そのトマトに味をのせることができるトマト農家を尊敬しているのです。おいしいトマトをつくっているトマト農家、がんばれ!!

だって自分で作ったトマトの糖度は低いから👇️

規格外の野菜はどうなっている?👇️