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連載: 不幸ブログと現実のキミ⑩

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          第十話

 真百合はマンションで窓の外を眺めていた。
目的がなく不安で、陽菜への謝罪が終わったものの、心胆には雲がかかっている。

「本当に許されるのだろうか?」
 私は自問自答する。
過去の言動が自分自身を苦しめ、ブログを更新した数の罪悪感が頭をひしめき、由奈たちの期待に応えられない自分が情けなく思えた。

 大学へ行っても、ブログを書かなくても、
周りの態度は変わらず、友達と過ごす時間が増えると私は疑心暗鬼になる。
(みんなの本心はなんだろうか)

 自分の気持ちを隠し、笑顔を作ることに必死だった。しかし裏では薬物が欲しくて頭をもたげていた。

 皆、表の姿と裏の姿があり、墓場まで持っていく秘密があるに違いない。私と仲良くしてくれるのも魂胆があり、いつか地獄へ落とされるかもしれない。

 私は辛さで薬物のことを思い出し、心が揺れる。
「一時的にでも楽になれたら……」
考えが自分をさらに追い詰めていく。

由奈や栗子、陽菜とカフェで過ごしているとき、
私は葛藤していた。周りが楽しそうに話すと
「いつ裏切られるか分からない」根拠がないのに孤独を感じる。

 由奈が「真百合、元気ないけど大丈夫?」
心配してくれた。
「大丈夫、ちょっと疲れてるだけ」と答えるが、
本当のことは言えない。

 夜、一人になった私は薬物が入ったポーチを手に取ってしまう。
「これで楽になれるのか?
それとももっと深い闇に落ちるのか?」



 薬物へのきっかけは、高校の後輩で今は大学の同期の浅岡と付き合ってからだ。

 私が浪人生時代に、高校生だった浅岡は、
両親が夜勤のある共働きの家で、私は予備校の帰りに入り浸っていた。

「これ使ったら勉強が捗る」ガムを勧めてくるかのような気楽さで浅岡は私に渡した。
「タバコ?私、タバコは吸わないよ。
浅岡くんは高校生なのに臭いと思った」

「騙されたと思って吸ってごらんよ」
軽い気持ちでタバコに火をつける。

 初めて吸ったタバコはマンガみたいに咳き込んだりしなかった。多分、父親がタバコを吸っていたからだろう。
 吸って吐いてを繰り返すと、まずは受験への不安が嘘のようにどこかへ消え、禁煙できない人の気持ちが充分に伝わった。

 私の身体へ浅岡は慣れた手で弄ぶが、さっきと異なる快感は、未成年が隠れて吸ったタバコのせいか、三回目の行為に及ぶと何も考えられない自分がいた。

「早く帰らないと親がうるさい」
気にしていた昨日と浅岡から離れられない今日。
 私が目覚めると翌日の白昼
「失神した顔の真百合もかわいい」浅岡は笑う。

 家に帰ると両親は不在で、タバコが吸いたくなる自分がいた。

 父親が買い置きしたタバコをくすねて吸ってみたが、タバコの芳香も昨日の快楽もどこにもない。あの果実のような匂いのタバコをスマホで検索してコンビニで買い求めたが、全然違う。

 浅岡に電話すると
「うちに来ないと教えない」と言われ、私はその足で浅岡の家に向かっていた。

 浅岡がくれるタバコは人生の幸せが集約されるだけの気持ちで満たされ、脳が冴え渡る。

 行為に更け
「このタバコの銘柄ってなに?」
そこで自分が薬物を使っていたのを知った。
「昨日の3回戦は別のヤツ。
真百合に塗ったらサルみたいになって笑ったわ。
あれは高いからあげられないよ」

 浅岡の嘲笑がネタバラシになり、でもヘラヘラと笑っている私がいた。

 少々勉強しなくても集中力が著しく高まり、偏差値は鰻登り。
 一浪のお陰か、薬物のお陰か、私は念願の国立大へ合格し、浅岡も私と一緒に入学した。

 いつのまにか、誰かの秘密で自分を覆わないと自分の罪が暴かれるのではないかと怖かった。



「一度だけなら……」という思いが頭をよぎり、
私は現実から逃げるように薬物へ手を出す。
しかし、怖さは消えない。

 ベッドを寝転び、自分の将来について考える。
「私はどうしたいの?」
心には誰にも知られない内に薬物を断つと生まれる希望と、意志の弱さで止められない絶望が交錯している。

 薬物の効果があるときはイヤなことは忘れられたが、肝心な物事や記憶まで消えて、次第にうつ状態が続いた。