【4/30(水)まで】春の星々(140字小説コンテスト2025)春の文字で作った選考委員の作品を紹介します!
「季節の星々」は季節ごとの課題の文字を使ったコンテストです(春・夏・秋・冬の年4回開催)。
春の文字 「原」
選考 ほしおさなえ 季節の星々選考委員会
応募期間 2025年4月1日(火) 0:00 〜 2025年4月30日(水) 23:59
作品数 ひとり3編まで
今期(2025年度)より、選考は星々の運営に代わり、年間グランプリ(2022年度までは「星々大賞」)の受賞者(へいた/のび。/石森みさお)と星々の140字小説担当の四葩ナヲコで結成する「季節の星々選考委員会」が行います。
選考委員会の紹介代わりに、委員4名もそれぞれ作品を執筆しました。
春の課題文字「原」を使った作品をお楽しみください!
国内最後の『ふるさと』に住む私たちは、原風景保存計画の引継ぎのために日々の生活を詳細に記録する。不便な土地を捨てて私たちが離郷するので、今後は引継ぎを受けたプロ移住者がここを運営していくそうだ。でも彼らが根付くころに生まれるのはだれかの新しい懐かしい景色で、それでいいと私は思う。
耳先生が亡くなって20年が経つけれど、机には原稿用紙が置いてある。生前、耳先生は「物書きなんて仕事は大嫌いだ」と繰り返していた。そして同じくらい「でもまた書きたくなっちゃうんだよな」と言っていた。だから耳先生の机には原稿用紙が置いてある。また、書きたくなっちゃってもいいように。
母方のおじは倹約家である。独身でいつも同じ服を着ている。「趣味は」と聞くと「原価計算」と答える。毎年誕生日に商品券をくれる。株主優待でもらったのだと得意そうに言う。わたしの結婚式に真新しいスーツを着てきて親戚中を驚かせた。「いくらしたの?」と母に聞かれて恥ずかしそうに笑っていた。
原っぱに手足を広げ寝ころぶ。青空が眩しくて目を閉じる。背中の下でひしゃげた葉の細い草は、張りめぐらせた根から水を吸い上げている。名も知らぬ虫たちが行き交う土の中は、きっと湿って温かいだろう。このまま朽ちていけるのなら。服の汚れを丁寧に払い立ち上がる。どこかで鳥がチチチ、と鳴いた。
「春の星々」は4月30日(水)までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去の受賞作などは以下のリンクをご覧ください)
受賞作の速報はnoteやX(旧Twitter)でお伝えするほか、星々マガジンをフォローしていただくと更新のお知らせが通知されます。
優秀作(入選〜2次選考通過の作品)は雑誌「星々」(年2回発行)に掲載されます。
また、年間グランプリ受賞者は「星々の新人」としてデビューし、以降、雑誌「星々」に作品が掲載されます。
ご応募お待ちしております!
